仮想通貨も利用者保護を強化
日本の金融庁は、暗号資産(仮想通貨)の普及など金融のデジタル化が進む中で、利用者保護を強化することを検討している。
7月に設置した「デジタル・分散型金融(DeFi)への対応のあり方等に関する研究会」を通して、システムの安定を維持しながら、金融サービスの発展を阻害せずに利用者を保護できる方法を2022年夏までにまとめるという。時事通信社が報じた。
分散型金融(DeFi)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などのサービスが提供されている。
▶️仮想通貨用語集
金融庁は先月19日、送金手段や証券商品等のデジタル化への対応などを検討する本研究会の設置を発表。その発表では仮想通貨に加え、中央銀行デジタル通貨(CBDC)やNFT(非代替性トークン)を意識した記述も見られている。
研究会の設置について金融庁は、社会経済全体のデジタル化が進む中、ブロックチェーン技術の活用を含め、金融のデジタル化が加速しているとした上で、「民間のイノベーションを促進しつつ、合わせて利用者保護などを適切に確保する観点から、送金手段や証券商品などのデジタル化への対応のあり方等を検討する」としていた。公表した資料では、狙いや課題を記している。
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動きを本格化
金融庁は先月8日、イノベーションを促進する取り組みの一環として「デジタル・分散型金融企画室」も新設した。
公式サイトでは、ブロックチェーンの「国際共同研究」プロジェクトを通じた、分散型金融システムのガバナンスの課題に関する取り組みなどを紹介しており、金融庁はデジタル化への対応を本格化させている。
時事通信社によれば、大和総研の長内智主任研究員は金融庁の取り組みについて、「デジタル技術の進歩は早い。規制では全体の枠組みを作って、個別の案件については、その都度判断できる柔軟性が必要である」と指摘したという。