マスク氏のツイッター買収成立
米国の著名投資家であるイーロン・マスク氏は27日、SNS大手ツイッター(Twitter)社の買収を完了した。
マスク氏はツイッター社の敵対的買収を今年10月末に完了する見込み。ユーモアを兼ねて、シンクを持ちながらTwitter本社へと入る(sink in)動画を投稿した。
Entering Twitter HQ – let that sink in! pic.twitter.com/D68z4K2wq7
— Elon Musk (@elonmusk) October 26, 2022
また当初の計画通り、これまで公開されてきた株式の非上場化も決行される。ツイッター社の公開株式は11月初旬までに、ニューヨーク証券取引所(NYSE)など関連市場で上場廃止扱いとなる。
ツイッターのBio欄を「Chief Twit」に変更したマスク氏は、さっそくTwitter経営陣の人事に着手し、Parag Agrawal CEO(最高経営責任者)やNed Segal CFO(最高財務責任者)、そしてVijaya Gadde CLO(最高法務責任者)の解任を命じた。
これに際して、マスク氏は以下のようにツイッターで声明を発表した。
私がツイッターを買収した理由は、人類の未来にとって、決して暴力に訴えることなく、健全な形で様々な信条を討論できるデジタルかつ共通の広場(タウン・スクエア)を持つことが重要だと考えたからだ。
現状のSNSは拡散力の高さゆえに、極右と極左のエコーチェンバー(自分と類似した思想が集まり増幅する場所)に分裂し、さらなる憎悪を生み、社会を分裂させかねないという大きな危険性がある。
また、伝統的なマスメディアも閲覧数(クリック数)を追求する過程で、このような極論を煽動し、収益をもたらすあまり対話の機会が失われていたように感じる。
このような理由で私はツイッターを買収した。お金を稼ぐ目的でもなく、愛する人類を助けるために決断した。このような目標を目指す過程で最善を尽くしたとしても失敗する可能性が非常に高いことは重々認識しており、だからこそ謙虚に行っているつもりだ。
しかし、誰でも自由に参加できるツイッター上だとしても、”どんな発言をしても罰せられない”ような地獄絵図にするわけにはいかない。
各国の法律を遵守することに加え、我々のプラットフォームはすべての人を温かく迎え入れ、好みに応じて好きな体験を選択できるようでなければならない。
Dear Twitter Advertisers pic.twitter.com/GMwHmInPAS
— Elon Musk (@elonmusk) October 27, 2022
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トランプ氏、ツイッター復帰か
言論の自由を重視するマスク氏による買収成立により、2021年1月にツイッターアカウントを凍結された米ドナルド・トランプ前大統領が、ツイッター運用で復帰できる可能性が浮上している。
トランプ氏は2021年1月6日、米大統領選挙の結果に不服を感じたデモ集団が過激化して米議会に突入した「米連邦議会襲撃事件」を扇動したという理由で、ツイッターのアカウントを凍結(事実上の永久追放)されていた。
1月6日事件は現在も、米議会の諮問委員会で議論が続くなど、未だに米国で物議を醸すセンシティブな題目となっている。
当時のツイッター社CEOだったジャック・ドーシー氏は「健全な会話(発言の自由)の促進に最終的に失敗した。結果として誇れることではないが、やむを得ない決断を迫られた」と説明していた。
Twitter上での様々な発言で世論を二分したトランプ氏だったが、ツイッター上での同氏の追放は、言論の自由に関する議論を呼んだ。
Twitter社のアカウント凍結に続き、フェイスブックやユーチューブなど大手SNS各社も相次いでトランプ大統領のコンテンツを非公開にする動きが発生。大手テック系企業による言論の規制が行われたとして、米保守派の支持層からは批判が強まっていた。
その後、トランプ氏自身でSNSプラットフォーム「TruthSocial」を設立したり、保守派向けのSNSプラットフォーム「Parlor」などがローンチされた。ツイッターに代わる代替的なSNSプラットフォームを目指したが、アマゾンウェブサービスからサービスの非対応が実施されるなど、一部の支持層を除き、マスアダプションに達したとは言い難い。
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仮にアカウントの凍結が解除された場合、トランプ氏は代替手段として活用する「Truthプラットフォーム」における投稿をツイッターにも掲載する方針を表明している。
バイナンスもマスク氏の買収を支持
なお、買収には大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスなども出資する形で参加する。バイナンスのCEOであるチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは、以下のようにコメントした。
イーロンのツイッターに対する新たなビジョンの実現を支援することができ、大変嬉しく思う。
仮想通貨とブロックチェーン技術の利用と普及を促すため、我々はソーシャルメディアとWeb3を結ぶ役割を担っていきたい。