はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

クレディスイス経営不安で相場全面安、ビットコインのドミナンス急進に3つの理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

15日の米NY株式市場では、ダウは前日比280ドル(0.87%)安、ナスダックは5.9ドル(0.05%)高で取引を終えた。

米国でシリコンバレー銀行などの破綻が相次ぐ中、欧州の大手金融クレディ・スイスを巡る財政懸念が再燃したことでクレディ・スイス株が暴落。銀行関連株を中心に売りが膨らんだ。

業績不振にあえぐクレディ・スイスに対し、筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンクの会長が「追加出資」に応じない構えを見せたことが株安を加速させたとみられる。

これに先駆け14日には、過去2年間の財務報告の内部管理について「重大な弱点があった」と発表。是正するための方針を打ち出していた。

関連:クレディ・スイスの経営不安を受け、スイス中銀が緊急声明

その後、スイス中央銀行およびスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)が「現段階では水準以上の資本要件は満たしているが、必要に応じてクレディ・スイスへの流動性提供を行う」と発表したことで株価は反発。

これにより、クレディ・スイスは最大500億スイスフラン(約7兆円)規模を借り入れる準備ができたという。

過去前例のないFRB(米連邦準備制度)の金利引き上げペースから、債券運用などで巨額の含み損を抱える金融機関は氷山の一角とする見方があるなど、金融リスクに対する先行き不透明感が高まっており、予断を許さない状況にある。

関連:米国株一進一退 米PPI鈍化やクレディ・スイスの信用不安拡大で|16日金融短観

関連:仮想通貨投資家にもオススメの株式投資、日米の代表的な仮想通貨銘柄「10選」

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.66%安の24,351ドルに。

BTC/USD日足

イーサリアム(ETH)が前日比3.33%安、XRPは3.27%安、ポリゴン(MATIC)が6.91%安となるなど、ビットコインと比較して主要アルトの下落率が高い。

BTCドミナンス上昇の背景

相場の乱高下に伴い、ビットコインの市場占有率を示す「ドミナンス」が上昇している。

BTCドミナンス 週足

年初来の反発局面では、ビットコイン以上に値動きの激しいアルトコインへと投機資金が集まる場面も散見されたが、直近ではアルトコインよりもビットコインの方が堅調な値動きを見せており、下落率が低く上昇率が高い状況にある。直近1週間でBTCドミナンスは43.6%から45.6%まで急増した。

主な理由としては、以下の3点が挙げられる。

  1. 欧米発の金融危機リスク
  2. ステーブルコインの信用不安
  3. アルトコインの有価証券問題

1つめは、2008年9月のリーマン・ショック以降最大規模となる米大手銀行の経営破綻を受け、避難資金の一部が国債のほか、金(ゴールド)やビットコインといったオルタナティブ資産に向かっている点がある。リスク資産と相反しやすい金利低下やドル安の恩恵もあり上値を伸ばした。

米ニューヨーク市場では、金先物価格が高騰。一時1オンス=1,937ドルまで上昇している。

XAU/USD 週足

2つめは、昨年5月に発生したアルゴリズム型ステーブルコインの「UST(TerraUSD)」の崩壊や、比較的安全性が高いとされてきた米ドル連動型のステーブルコイン「USD Coin(USDC)」のディペグ(Depeg)を発端に、ステーブルコイン市場の信頼性を揺るがしていることがある。

USDCのディペグは、米銀シリコンバレー・バンク(SVB)破綻の影響が発端にあり、USDCを発行するサークル社の準備資産の内、33億ドル(約4450億円)が引き出せなくなったことに起因する。

その結果、「1USDC=1.0ドル」を維持できなくなり大幅乖離。一時0.82ドルまで急落し、仮想通貨市場の混乱を招いた。

USDCの価格推移

その後、米連邦準備制度および財務省が全預金保証措置を打ち出し、USDCのペグは回復。サークル社CEOの声明で、「USDC準備金の100%が安全に管理された状況にある。引き出し対応は銀行の営業時間開始とともに再開される」と言及されたことも好感された。

また、時価総額上位で取引所の基軸通貨などに利用されるステーブルコインの内、パクソス(Paxos)が発行を手がける「Binance USD(BUSD)については、SEC(米証券取引委員会)がWells Noticeで提訴を示唆したほか、ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)による新規発行停止命令を受け、終焉を余儀なくされた。

少なくとも2024年2月までは償還が保証される。

最も普及するステーブルコイン「USDT」を発行するテザー社においても、コマーシャルペーパー(CP)や銀行預金、国債などで構成されるUSDTの裏付け資産をめぐり、懐疑的な声は常に付き纏ってきた。

テザーはそのような状況を受け、準備金からコマーシャルペーパーを排除し、安全性の高い米国財務省証券(米国債)に置き換えたほか、2023年にかけて担保付融資をゼロにすると発表。会計事務所の報告書を公表するなどして透明性の担保に努める姿勢を強調した。

23年2月には、債券ポートフォリオの運用について米大手証券会社キャンター・フィッツジェラルドが行っていることがウォール・ストリート・ジャーナルに報じられた。

3つめは有価証券問題である。

米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は9日、暗号資産(仮想通貨)取引所Kucoinを証券法違反で提訴。

連邦裁判所ではなく州裁判所ではあるものの、法廷において“未登録有価証券”としてイーサリアム(ETH)を名指ししたのはこれが初めて。同取引所に上場する銘柄については、ルナ(LUNA)およびUST(TerraUSD)も証券に該当するとの見解を示した。

イーサリアムは、昨年実行されたハードフォーク「The Merge(ザ・マージ)」によって、合意形成アルゴリズムがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に変わり、ステーキング可能となった。これについて米SECのゲンスラー委員長は、「ステーキングプロトコルで利益を得ることができるPoS系仮想通貨は、すべて証券と見なされる可能性が高く、SECの管轄下にある。」との認識を示している。

今年4月に予定される大型アップグレード上海を経て、これまでステーキングされた分が引き出せるようになるため一定の売り圧力になるとの指摘があり、ビットコインドミナンス上昇の一因とする見方もある。

関連:ETH「上海」アップグレードとは? ステーキング解除とETH売り圧に関する各社見解まとめ

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/24 水曜日
17:57
2025年の調整局面 過去サイクルの「仮想通貨の冬」との違いは?
2025年後半、仮想通貨市場は調整局面を迎えている。しかし過去2度の「冬」とは決定的に異なることがある。トランプ政権の支援、ETF普及、規制整備が同時進行。従来の4年サイクルが崩れる可能性も。2026年の市場展望を専門家の見解とともに解説する。
16:51
ガーナで仮想通貨取引が合法化、2024年取引高は4700億円規模
アフリカのガーナ議会が仮想資産サービスプロバイダー法案を可決し、約300万人が利用する仮想通貨取引を正式に合法化。中央銀行がライセンス発行・監督を担当し、2024年の取引高は4,700億円規模。個人の取引を保護しつつ、事業者には厳格な規制を適用する新たな枠組みを解説。
14:17
ビットコインとイーサリアムに資金集中 仮想通貨市場は年末調整局面へ=Wintermute分析
大手マーケットメーカーWintermuteの分析によると、仮想通貨市場ではビットコインとイーサリアムへの資金集中が加速。機関投資家は夏以降一貫して買い圧力を維持し、個人投資家もアルトコインから主要通貨へローテーションを開始している。
13:25
取引所クリプトドットコム、スポーツ予測市場でトレーダー募集 利益相反の懸念も
仮想通貨取引所クリプトドットコムがスポーツ予測市場のトレーダーを募集している。流動性提供を担当する職務内容だが、利益相反に当たるとの議論も浮上している。
10:20
ブラックロック、ビットコインETFを「今年の3つの投資テーマ」に選出
最大手資産運用会社ブラックロックが、仮想通貨ビットコイン現物ETF「IBIT」を2025年の上位3つの投資テーマに選出した。米国債などと並ぶ投資先として位置づけている。
09:46
コインベースがベース経由でSOL入出金に対応
コインベース取引所が23日、ベースネットワーク経由でのSOL入出金機能を開始。チェーンリンクとの協力により、外部ブリッジを使わずソラナとベース間の直接送金が可能に。ただし日本を含む一部地域では利用制限あり。
09:45
IMF「エルサルバドルのBTCプロジェクトに関する議論は継続中」
IMFは、エルサルバドルに関する職員の報告を公開。報告は40カ月間の中期融資制度のレビューに関する内容で、同国の仮想通貨ビットコインのプロジェクトにも言及している。
08:30
米Amplify ETFs、ステーブルコインとトークン化特化の新ETFを上場
米Amplify ETFsがステーブルコイン技術とトークン化技術に投資する2つの新ETFを発表した。ステーブルコイン市場は2030年に3兆7000億ドル、トークン化資産は3兆6000億ドルへの成長が見込まれている。
07:20
ロシア中銀、適格投資家以外の仮想通貨購入の認可を政府に提案
ロシア中銀は、仮想通貨規制のコンセプトを考案して政府に対して法改正の提案を行ったと発表。提案の内容や今後の計画を説明している。
06:55
ソラナ特化型ウペクシ社、シェルフ登録で柔軟な資金調達体制を構築
米上場のソラナ特化型企業ウペクシが米SECにシェルフ登録届出書を提出し、未使用のエクイティラインを解約する計画を発表した。資本調達の効率性向上とコスト削減を目指す動きとなる。
06:20
ビットコイン、金・銀と乖離し上昇に遅れ 大口売り圧力が要因に
仮想通貨ビットコインは金や銀と異なり最高値から30%下落したまま推移。8月以降ナスダックとの相関が乖離し、大口プレイヤーからの売り圧力が上昇を阻んでいると分析された。
05:35
米アリゾナ州、仮想通貨免税法案を提出
米国アリゾナ州で仮想通貨を州税から免除する法案が提出された。連邦レベルでは200ドル未満のステーブルコイン取引を非課税とする超党派法案の草案が発表された。
12/23 火曜日
18:30
CircleのStableFXとは?外国為替をステーブルコインで効率化する戦略を読み解く
1日1,400兆円超のFX市場に、Circle社がステーブルコインで挑む。StableFXの仕組み・強み・日本円ステーブルコインJPYC採択の背景まで、戦略を読み解きます。
18:16
ビットコイン、インフレ調整後の購買力ベースでは10万ドル突破せず=Galaxy分析
ギャラクシー・デジタルの研究者がインフレ調整後、ビットコインは「真の10万ドル」に未達と指摘。しかし日本の投資家は円安効果により米国投資家を大きく上回る実質リターンを獲得。円キャリートレードの典型例を分析。
18:00
edgeX(エッジエックス)とは?エアドロップ情報・使い方を解説
edgeX(エッジエックス)は累計取引高5,900億ドル超の永久先物DEX。独自トークンの発行やエアドロップも予定されています。本記事では特徴や使い方、流動性提供の方法、手数料・リスクまでわかりやすく解説します。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧