はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX

欧州証券市場利害関係者グループ:仮想通貨と ICOの規制枠組みの中での明確化を助言  

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

証券市場利害関係者グループ(SMSG)の報告書
欧州証券市場監督局(ESMA)の内部組織で、ESMAと証券市場参加者との協議の促進や、政策策定に対する技術的助言を行う、証券市場利害関係者グループ(SMSG)は、既存の規制下で、仮装通貨とICOを規制する方策についての助言をまとめた報告書を発表した。
ICOが有価証券としての規制対象となるか
ESMAは、今月初めにICOが有価証券としての規制対象になるかどうかは、ケースバイケースで見極めるとの方針を発表している。さらに、世界的な規制動向としては、今月、金融活動作業部会(FATF)の総会が開催し、来年6月を目処に、仮想通貨規制のガイドラインを公表し、世界各国の司法当局の対応を求めていく方針を明らかにしている。
 

証券市場利害関係者グループの助言

EU証券市場の監視機関である、欧州証券市場監督局(ESMA)の内部組織で、ESMAと証券市場参加者との協議の促進や、政策策定に対する技術的助言を行う、証券市場利害関係者グループ(SMSG)は、既存の規制の下で、仮装通貨とICOを規制する方策についての助言をまとめた報告書を発表した。

10月19日付の報告書は、投資家へのリスクに焦点を当てており、大部分の仮想通貨とICOの規制は既存の枠組みの中で行えるものの、そのためには、「コモディティ」「有価証券」など関連用語の解釈範囲を示すことなどを含む、より明確なガイドラインの提供が欠かせないとしている。

その中で、譲渡可能な支払いに使われるトークン(ビットコインなど)や、ユーティリティトークンは投資商品と同様に扱われることが多く、投資家保護と市場における不正行為取締りという面においては、その譲渡能力と代替性の観点から、従来の資本市場におけるリスクと非常に類似したリスクが発生すると述べている。

そのため、適応する既存の規制の枠組みとして、1月に施行されたEUのMIFID II(第二次金融商品市場指令)を挙げ、ESMAは、この法令の下で仮装資産の規制を検討し、MiFID II条項の明確化を促すべきであると助言している。

また、SMSGは、ESMAにはEU規制の条項を変更する権限はないという認識を示しつつも、これらのトークンを、MiFID IIの金融商品リストに加えるよう に欧州委員会へ提言を行うことを強く勧めている。

そして、このようなトークンがMiFID金融商品になった場合、支払いトークンの流通市場も、市場濫用行為規制(MAR)の対象である「多角的取引施設」(Multilateral Trading Facility=MTF)または「組織化された取引施設」(Organised Trading Facility=OTF)として認定される枠組みが整い、該当トークンに関する投資助言業者も、MiFIDの対象となる。

なお、この報告書では、暗号トークンを次のような3種類に分けている。

  • 決済機能を持つトークン 
  • ユーティリティトークン
  • 資産トークン(asset token)

この中で、ユーティリティトークンに関しては、譲渡可能なものは投資リスクの面からも、上記のMiFID II規制で取り締まる必要があるが、譲渡可能でないユーティリティトークンに関しては、規制される必要がないと述べている。

また、「資産トークン」とは、「新規ビジネスの資金調達」に使われるもので、コモディティまたは有価証券としての役割を果たす、と定義している。

その上で、SMSGは、該当トークンが、金融商品であるか、譲渡可能な証券であるかを判断する必要があると述べている。

そして、ESMAが、MiFIDが言うところの「譲渡可能証券」の定義を明確にした上で、財政的権利を与える譲渡可能な資産トークンについては、MiFIDの「譲渡可能証券」とみなすべきかどうかについても、はっきりさせるべきだと、SMSGは助言している。なお、資産トークンが譲渡可能でない場合には、規制の必要もないと述べている。

さらに、この報告書で、SMSGは、トークンを基盤にしたスタートアップのための、国によるサンドボックスやイノベーションハブを過度に規制すべきではないが、同時に、「国によるイニシアチブの十分な質、透明性、並びに法的安全性」に関する調整が必要であるとの見解を示している。

ICOが有価証券としての規制対象となるか

この報告書に先立ち、ESMAは、今月初めにICOが有価証券としての規制対象になるかどうかは、ケースバイケースで見極めるとの方針を発表している。

またESMAは、今年2月には、2018年の優先事項として、仮想通貨やICOを含む金融イノベーションの分析と対応を挙げていたが、2019年には、重要優先事項の一つとして、仮想通貨およびフィンテック活動の監督関連事業に、111万ユーロ(約1.5億円相当)の予算を割り当てたことが明らかになっている。

さらに、世界的な規制動向としては、今月金融活動作業部会(FATF)の総会が開催され、来年6月を目処に、仮想通貨規制のガイドラインを公表し、世界各国の司法当局の対応を求めていく方針を明らかにしている。

FATFは、資金洗浄対策やテロ資金対策などにおける国際的な協調指導、協力推進などを行う政府間機関で、仮想通貨が金融市場での存在感を増すに伴い、明確なAML(アンチ・マネーロンダリング)基準の提示が求められていたことを受け、今回の総会では、仮想通貨関連業者への規制ガイドラインの段階的更新を進めていくと、報告している。

また金融安定理事会(FSB)も、仮想通貨が現時点では世界的な金融の安定を脅かすものではないものの、いずれ最先端の新興技術である仮想通貨は既存の金融システムを脅かす可能性があるとの観点から、仮想通貨に対する監督や規制整備の必要性をとしている。

仮想通貨が驚異的な価格暴騰を見せ、仮想通貨元年と呼ばれた2017年に対し、2018年は仮想通貨規制元年とでも呼べるほど、世界の規制当局の大きな動きが相次いで報告されている。

CoinPostの関連記事

来年6月を目処に仮想通貨規制のルールを発表|FATF総会
マネーロンダリングを監視する金融活動作業部会(FATF)が2019年6月に、仮想通貨規制のルールを発表し、世界各国にその法的執行を求める意向を明らかにした。 世界における規制基準が見込まれ、市場の健全化にも繋がるとされる。
仮想通貨XRP(リップル)は有価証券ではなく通貨|前SECメンバーが理由を明かす
米国証券取引委員会(SEC)前メンバーMichael Didiuk氏は、最高裁が作成したハウェイテストを基準に「仮想通貨XRP(リップル)は、有価証券ではなく通貨である」と論じ、その詳細について説明した。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/14 火曜日
18:47
Hyperliquidの大口投資家、トランプ一族との関与を否定 再びビットコインを大規模ショート
トランプ関税発表直前にビットコイン7億ドルをショートし約2億ドルの利益を得た大口投資家が、再び3億4千万ドル規模のBTCショートポジションを構築。インサイダー取引疑惑が浮上するも本人は否定。市場では1.3兆円規模の強制清算が発生し史上最大級の暴落に。
18:24
JPモルガンがビットコイン取引サービス参入へ カストディは外部委託で対応
JPモルガンのデジタル資産部門責任者が、顧客向けビットコイン取引サービスの提供を正式に確認した。カストディ業務は外部委託を検討し、コインベースとの提携も強化。大手金融機関の暗号資産市場参入が本格化する中、JPモルガンの戦略的アプローチとは。
18:04
シティバンク、2026年に仮想通貨カストディ事業参入へ
米大手金融機関シティバンクが2026年に暗号資産のカストディサービスを開始する計画を発表。ビットコインやイーサリアムなどを機関投資家向けに保管する。トランプ政権下での規制整備を背景に、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカとともにステーブルコイン事業への参入も本格検討中。ウォール街の暗号資産市場への本格進出が加速している。
18:00
「Bitcoin Core v30.0」リリース、データ制限の引き上げでコミュニティの意見が対立
ビットコインソフトのアップデートであるBitcoin Core v30.0が2025年10月12日にリリースされた。OP_RETURNの上限が80バイトから10万バイトへ大幅に引き上げられ、コミュニティで賛否が分かれている。ビットコイン本来の目的との整合性やノード運営リスクが議論されている。
17:26
欧州最大手アムンディ、ビットコインETN市場参入を準備
欧州最大の資産運用会社アムンディ(運用資産2.3兆ユーロ)が2026年初頭にビットコインETNを発行予定。MiCA施行で規制環境が整備される中、機関投資家の暗号資産投資が本格化。米国ブラックロックのIBIT(971億ドル)に続く動きとして注目される。
17:22
ハイパーリキッド、HIP-3実装で永久先物市場の自由構築が可能に
ハイパーリキッドがHIP-3を実装し、開発者が許可なしで独自の永久先物市場を構築することを可能にする。仮想通貨HYPEを一定以上ステーキングすることなどが条件だ。
16:56
コインチェックでIEO「Fanpla(FPL)」10月21日開始 音楽事務所10社以上が協力
音楽ファンクラブ大手Fanplus協業のIEO「Fanpla(FPL)」詳細。10月21日申込開始、11月11日上場予定。700超のファンクラブと400万人基盤という既存インフラを持つ点で過去IEO案件と一線を画す。コインチェック過去実績は抽選倍率24倍・最高23倍に急騰。投資判断に必要な情報を網羅。
16:55
三菱UFJモルガン・スタンレー証券、デジタルアセット事業を開始
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が14日、デジタルアセット事業を開始。債券型セキュリティトークンの取り扱いとデジタル証券取引サービス「ASTOMO」をリリース。不動産STを10万円から投資可能に。
16:30
イオレ、仮想通貨とAI融合のスーパーアプリ「Neo Crypto Bank」の詳細を発表
イオレが暗号資産金融事業戦略を発表。2027年にWeb3.0スーパーアプリを公開し、キャッシュレス決済市場1%・年間1.2兆円を目指す。AI統合で次世代金融インフラを構築。
12:00
ソラナのリキッドステーキングの稼ぎ方|JitoSOLの仕組みと手順
ソラナのリキッドステーキングについて、仕組みから始め方まで徹底解説。JitoやMarinadeなど主要プラットフォームの始め方、年利5-7%の運用方法まで完全ガイド。
11:58
史上最大フラッシュクラッシュ後の仮想通貨市場、トランプ大統領の発言受け乱高下続く
トランプ米大統領による突然の関税発表で、仮想通貨市場は190億ドル超の強制清算という史上最大のフラッシュクラッシュを経験した。しかし週明けには114,000ドル台に回復。機関投資家の押し目買いと過剰レバレッジ解消の両面から市場を分析。イーサリアムL2 Baseのトークン発行検討など、実用化への動きも紹介。
11:18
チャイナルネッサンス、BNB財務企業の米上場を計画=報道
チャイナルネッサンスは、仮想通貨BNBの財務企業を創設するために910億円超の資金調達に向けた協議を行っていることがわかった。この財務企業は米国で上場する計画である。
10:38
「仮想通貨ETFへの流入、トランプ関税ショックの影響は軽微」=CoinShares
トランプ大統領の対中関税発言による市場急落にもかかわらず、ビットコインETFなど仮想通貨投資商品への影響は軽微で流入は週間4,830億円に達した。CoinSharesが分析する。
08:41
68億円相当のBNB、ミームコイントレーダーにエアドロップへ
BNBチェーンは、仮想通貨市場が大荒れしたことを受け68億円相当のBNBをエアドロップする計画を発表。今回はミームコイントレーダーを支援すると説明した。
10/13 月曜日
12:25
430億円規模に、バイナンスが「異例の補償」実施 トランプ・ショックに関する価格異変で
仮想通貨取引所バイナンスがトランプ関税による市場下落時の不具合で損失補償を発表した。USDe、BNSOLなどのディペッグで強制清算が発生した背景がある。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧