
イーサリアムの開発計画
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は17日、イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。
期間別に目標を示し、長期的な基本方針は安全性、簡潔性、最適性の3つであることなどを説明。また、イーサリアムは時間の経過とともに安定性が向上していくことなど、ユーザーのメリットにも言及した。
今回ブテリン氏が登壇したイベントは、16日から19日まで大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンス「EDCON」。プレゼンの内容はSNSで公開されており、EDCONの公式Xアカウントは投稿をリポストしている。
プレゼン用の資料によると、イーサリアムの短期的な優先事項は拡張性の向上。L1チェーンであるイーサリアムブロックチェーンのガスリミット(ガス上限)を分散性を維持したまま引き上げることや、ゼロ知識証明を活用した「ZK-EVM」をツールに使用することなどを記載している。
ZK-EVMとは
ゼロ知識証明を活用したロールアップ技術「ZKロールアップ」を導入したスケーリングソリューション。イーサリアムの仮想マシンと互換性や等価性を持つ。
なお、ゼロ知識証明とは証明(Proof)プロトコルの一種。証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズムを指す。
また、短期的な優先事項には、ユーザーのプライバシーの向上も挙げた。具体的には、ユーザーが支払いや投票、DeFi(分散型金融)での取引、アカウントの操作を行う際のプライバシーを高めるとしている。
次に、短中期的な優先事項は相互運用性の向上だとした。ここで強調しているのはL2ネットワーク。トラストレスにL2間で資産を送信できるようにしたり、ゼロ知識証明を介してL2の決済を速く行えるようにしたりすることなどを説明している。
続けて、中期的な優先事項としてブロックの確定を速くすることにも言及。その上で、どうやってこれを安全に実現するかが困難であると課題も指摘した。
最後に、長期的な目標は「リーン・イーサリアム」だとし、上述した3点を基本方針とすることや、量子耐性を備えることなどに触れている。リーン・イーサリアムの構想については7月に、イーサリアム財団のブログでも説明されていた。
関連:新構想「リーン・イーサリアム」とは? 今後10年の開発目標=ETH財団
ユーザーにとっての意味
ユーザーを対象にしたスライドでは、安定性の向上以外にも、拡張性と有用性が数年で着実に向上すると説明した。
また、トラスト(信頼)を最小限にしたユーザー体験が、より多くの利用者にとって実現可能になるとも説明。今後は、信頼の前提が着実に減少していくとした。
他にも、L1のイーサリアムの信頼性と安全性を優先していくことも記載している。
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