はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム「フサカ」実装直後にPrysm障害、1.8億円の報酬損失が判明

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

事後分析を公開

イーサリアム(ETH)の大型アップグレード「フサカ」は4日に無事完了したが、実装直後にソフトウェアバグにより、主要クライアントPrysmでネットワーク障害が発生した。この障害でバリデータが総額382ETH(当日時価約1億8,860万円相当)の報酬機会を失っていたことが明らかになった。

Prysmは、イーサリアムネットワークを支えるコンセンサス層クライアントソフトウェアの一つで、Prysmatic Labsによって開発されている。バリデータ(検証者)がブロックの生成や検証を行うために使用する基盤ソフトウェアであり、イーサリアムの分散型ネットワークを維持する重要な役割を担っている。

Prysmチームはこの「フサカメインネットPrysm事件」の事後分析で、ステート再計算(state recomputation)のアルゴリズムが適切に最適化されておらず、実環境下での十分なストレステストが行​​われていなかったことが根本原因であると特定している。

フサカがブロック18,200,000で有効化された直後、Prysmノードは過去ステート(historical state)の過剰生成により、リソースが大量消費され、深刻なパフォーマンス低下が発生した。ブロックの確定が遅延し、DoS(サービス拒否)攻撃を受けたかのような事態に陥った。

Prysmコア開発者のTerence Tsao氏は、「過去ステートの生成は計算とメモリを大量に消費するため、並行して大量のステート再生が行われると、ノードがDoS攻撃状態に陥る可能性がある」と説明。これがアテステーションやブロック確定の遅延につながった。

最終的にPrysmのバリデーター参加率は75%まで急落。ネットワークは41エポックにわたって正常に機能せず、その結果、約382ETH相当のバリデータ報酬が失われた。

イーサリアム財団は即座に、Prysm運営者に向けて緊急対応手順を発表した。バリデーターは緊急回避策を適用し、開発者側も恒久的な修正版(v7.0.1とv7.1.0)をリリースした。その結果、ネットワーク参加率はほぼ99%まで回復し、障害発生から24時間以内に通常運用に戻った。

関連:イーサリアム「フサカ」実装完了、レイヤー2取引手数料削減

クライアント多様性がネットワークを救う

Prysmを実行しているバリデータは、イーサリアムのノード運営者全体の約18~22%を占めている。beaconcha.inによると、事件発生時には約22.71%のバリデータがPrysmクライアントを使用していたが、その後18%まで低下した。

Offchain Labsは、Prysmがイーサリアムのバリデーターベースに占める割合がさらに大きければ、今回の障害はより深刻な影響を及ぼしていた可能性があると述べた。同社は、イーサリアムのクライアント多様性が、より広範なネットワーク障害を防ぐ重要な要素であると指摘している。

今回、ネットワークへの負荷が増加する中、Lighthouse、Teku、Nimbus、Lodestarなどの他のクライアントは、正常にブロック検証を続けた。その結果、イーサリアムネットワークのコンセンサスは維持され、ブロックのファイナライズも継続された。

ステーキングプロトコルLido Financeは、他のステーキングソリューションと比べて影響は最小限だったと報告。分散型のバリデーター運営体制によってネットワークのレジリエンスが保たれたと指摘した。

一方、Miga Labsのデータによると、Lighthouseがイーサリアムのコンセンサスクライアントとして最も多く利用されており、バリデーターの51.39%を占めている。

Offchain Labsは、ネットワークの3分の1以上を占めるクライアントに障害が発生した場合、ファイナリティの一時的な喪失や、より多くのブロック生成の失敗を引き起こす可能性があり、さらに3分の2以上を占める場合は、無効なチェーンを最終確定させてしまうこともあり得ると指摘した。

一つのソフトの欠陥がネットワーク運用に支障をきたす可能性を低減するため、開発者やエコシステム参加者は、バリデータに対し、代替クライアントへの切り替え検討を促している。

関連:トム・リー氏、「イーサリアムは既に底打ち」 先週690億円相当を購入

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/16 火曜日
18:08
米SEC委員長が警告、「仮想通貨が史上最強の金融監視システムになる恐れ」
SEC委員長が仮想通貨タスクフォース円卓会議で、過度な規制により仮想通貨が史上最強の金融監視システムになる恐れがあると警告。国家安全保障とプライバシー保護のバランスを強調し、トランプ政権の方針と一致する姿勢を示した。
17:22
ナスダック、23時間取引体制を提案 仮想通貨取引モデルが影響か
ナスダックが1日23時間の株式取引体制を米SECに提案。仮想通貨の24時間取引が投資家の期待を変化させたことを背景に、2026年後半の導入を目指す。NYSEも22時間取引の承認を取得済み。
16:15
ペイパル、SparkでPYUSD貯蓄商品をローンチ 年利4.25%
ペイパルがSparkと提携し、年利4.25%のPYUSD貯蓄商品を開始。10億ドルの預金目標を掲げ、Paxosの連邦免許取得により規制面での優位性も確保。
15:27
中国で仮想通貨マイニング施設が大規模停止か 当局が2週間前に警告
中国新疆で仮想通貨マイニング施設の大規模停止が報じられた。ビットコインのハッシュレートが急落し、40万台のマシンが停止したとの推定も。2021年の全国取り締まり後、地下で復活していたマイニング活動に再び規制の動きか。
13:30
2025年ブロックチェーン人気ランキング、XRP初のトップ10入り=CoinGecko
CoinGeckoが2025年ブロックチェーン人気ランキングを発表した。ソラナが2年連続トップとなるも関心度は12ポイント減少した。XRPレジャーが初のトップ10入りを果たし、SuiとBNB Chainのシェアが大幅に拡大した。
13:00
Visa、銀行向けステーブルコイン事業支援を開始
決済大手Visaが「ステーブルコイン・アドバイザリー・プラクティス」を立ち上げた。銀行や企業のステーブルコイン戦略構築を支援する。
11:07
トランプ関連のアメリカン・ビットコイン、1000BTCを追加購入
トランプ関連のアメリカン・ビットコインが12月に1000BTC以上を追加購入。上場企業上位100社の保有総額は108万BTC超に達し、企業のビットコイン財務戦略が加速。
11:05
SBIとスターテイル、信託型円建てステーブルコイン共同開発へ
SBIホールディングスとStartale Groupが日本の金融規制に準拠した円建てステーブルコインの共同開発でMOUを締結。信託型3号電子決済手段として2026年度1Qのローンチを目指す。
10:20
仮想通貨「市場構造法案」採決は2026年に先送り
米上院銀行委員会がビットコインなど仮想通貨の市場構造を定める「市場構造法案」の採決を来年に先送りした。超党派による協議が継続中だ。
10:05
仮想通貨投資商品、先週は約1340億円の資金が純流入
仮想通貨投資企業CoinSharesは、デジタル資産投資商品全体の先週における資金フローは約1,340億円の純流入だったと報告。ビットコインなどの原資産別のデータも公開している。
09:59
ビットコインのアクティブアドレスが1年ぶりの低水準に、マイナー収益圧迫
ビットコインのアクティブアドレスが66万件と1年ぶりの低水準に落ち込み、マイナー収益も減少。Glassnodeによると、ETF承認後に取引がオンチェーンからETF経由にシフトしており、手数料の低迷が続けば長期的なネットワークセキュリティに懸念が生じる可能性がある。
09:35
メタマスクがビットコイン対応を追加、法定通貨での購入や送金が可能に
イーサリアム最大級のウォレット、メタマスクがビットコインのネイティブサポートを発表した。法定通貨での購入、ネットワーク送金、他の仮想通貨との交換機能が利用できるようになった。
08:30
ビットワイズ、ハイパーリキッドETFの修正届出書を提出 
ビットワイズが16日、ハイパーリキッドETFの修正登録届出書を提出し、ティッカーシンボルと運用手数料を設定した。ブルームバーグのアナリストは、通常こうした動きは上場が近いことを示すと指摘。
08:05
ビットコイン一時80万円下落、米規制先送りと雇用統計前で市場に警戒感広がる|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは直近24時間で一時約80万円下落した。米上院で市場構造法案の審議が2026年へ先送りされることが決定されたことに加え、米雇用統計が16日に発表されることを受け、投資家の警戒感が高まったことが主な下落要因である。
07:50
トランプ大統領のFRB議長候補、仮想通貨支持派ハセット氏に反対の声=CNBC
CNBCによると、FRB議長候補として有力視されていたケビン・ハセット氏に対し、トランプ大統領に近い高官らから反対の声が出ている。トランプ氏は13日、ケビン・ウォーシュ元FRB理事が候補リストのトップに浮上したと述べた。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧