CEO個人の影響力に値札を
米フォーブス誌は15日、実業家イーロン・マスク氏の資産が史上初めて6,000億ドル(約93兆円)を突破したと報じた。この驚異的な数字の背景には、同氏が率いる宇宙企業スペースXの企業価値が8月の4,000億ドル(約62兆円)から12月には8,000億ドル(約124兆円)へと急騰したことがある。
関係者によると、スペースXは来年の新規株式公開(IPO)を目指しており、評価額は約1兆5,000億ドル(約233兆円)に達する見込みだ。実現すれば、イーロン氏は世界初の「兆万長者」(資産1兆ドル超)となる可能性が高い。
一方、著名アナリストのトム・リー氏は先日開催された2025 Binance Blockchain Weekで、仮想通貨のトークン化技術による企業価値の新たな分解手法を提唱した。イーロン氏の資産急増は、こうした「CEO個人の価値」を定量化する試みに、現実味を与えている。
トム・リー氏が提唱する「トークン化」は、単なる資産の分割を超えた革新的な概念だ。同氏はテスラを例に挙げ、従来の株式では一括りにされていた企業価値を細分化できると説明する。
具体的には、特定日の収益の正味現在価値(NPV)、製品ストリームの現在価値、特定地域のNPVなど、個別の価値要素ごとにトークン化が可能になるという。
そして最も注目すべきは「テスラ株をトークン化すれば、イーロン・マスク本人を買うことの暗黙的価値を分離できる」という指摘だ。これは、企業価値の中でCEO個人が持つ影響力やブランド価値を、独立した投資対象として取引できることを意味する。
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手法確立が課題
このトークン化構想は、従来とは異なる投資手法として業界関係者の関心を集めている。理論上は、投資家がテスラという企業全体ではなく、「CEOの経営手腕」「電気自動車事業」「特定地域での収益」といった個別要素を選んで投資できるようになる。
イーロン氏のケースは、この構想の現実性を示す好例となっている。スペースXの企業価値が短期間で倍増した背景には、同社の技術力に加え、イーロン氏個人への市場の信頼が大きく影響していると見られる。
もし仮にトークン化が実現すれば、投資家は「イーロン氏が経営するスペースX」ではなく、「イーロン氏という経営者そのものの価値」に直接投資できるようになる。
ただし、同氏の資産93兆円のうち何割が「CEO個人の価値」によるものかという問いは、現時点では明確な答えがない。技術的な仕組みはもちろん、法規制や会計基準との整合性など、クリアすべき課題は少なくない。
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