- 機関投資家がビットコイン投資信託を選ぶ理由
- 米大手仮想通貨投資ファンドであるグレースケール・インベストメンツのビットコイン投資信託で、現物価格との乖離が断続的に発生している。多額の資金流入によるものとの指摘がある。
ビットコイン投資信託の魅力
機関投資家は、米大手仮想通貨投資ファンドであるグレースケール・インベストメンツの投資信託「Grayscale Bitcoin Trust(GBTC)」に、多額の資金を投資している。通常のビットコインの価格と乖離が見られるプレミアムが発生している。
GBTCは、投資家自身が資産を保有することなく、ビットコイン(BTC)に投資ができる金融商品だ。ビットコインの現物価格を基準にした投資で、メインストリームの投資家にも親しみやすいとされている。GBTCは、1受益証券当たりのビットコイン保有比率が、ビットコイン市場価格に連動する投資成果を目指す。
Crypto Briefingの記事執筆時点で、GBTCの市場価格は12.85ドル(約1380円)だった。その時のビットコインの値段から算出した実際の価格は10.48ドルだっため、22.6%のプレミアム(価格乖離)が発生していた。
仮想通貨のデータ分析企業Digital Assets Dataのトップ Ryan Alfred氏は「大半の投資家、特にウォール街の投資家は資産をカストディアンに預けることを習慣にしている」と説明。このプレミアムは、GBTCが、投資家自身が秘密鍵を保有しなくていいという利便性から発生していると解説している。
仮想通貨特有の問題である「秘密鍵」の漏洩やハッキングリスクなどが皆無であり、GBTCはその需要の高さから「高いプレミアム(価格乖離)」が発生することがある。
またGBTCは年間の手数料が2%と安いことも魅力だ。2013年設立のグレースケールは、最初にGBTCの提供を始めたアドバンテージがあり、その後もライバルは少ない。
Alfred氏は、機関投資家はGBTC以外の商品には投資はしていないと話す。多くの投資家にとって、仮想通貨は現在でも二次的な資産であり、この点もGBTCにプレミアムをもたらす要因となっている。
Alfred氏によれば、プレミアムの上昇は、ビットコインの強気相場のシグナルだという。米ETF専門ファンドのVanEck社とスポンサー企業SolidX社が今週提供を開始した、機関投資家に限定したプライベート「ビットコイン投資信託」で、さらにウォール街の投資家が仮想通貨に注目するようになり、流動性の増加も期待される。
現在、デリバティブ商品の取引高は、従来の仮想通貨取引の数字を上回っているという。これは現在の市場を機関投資家が先導しつつあるサインだ。