FRB、来年まで月600億ドルの米国債買い入れへ
米連邦準備銀行(FRB)が、今年10月15日より、少なくとも2020年の第2四半期まで、毎月継続して600億ドル(約6兆5千億円)の米国債を購入すると発表した。
この目的は、銀行システムに「十分な蓄え」を用意しておくことにあり、金融政策を変更することではないという。
毎月の購入ボリュームは、銀行システムにどれだけ流動性が必要か、FRBが知見を得るにつれて、調整される予定となっている。
短期金融市場の混乱に対応か
今回の措置は、最近の米短期金融市場の混乱に対応したものだ。
米連銀は、流動性の指標として知られる「レポ取引市場」の金利が約2.25%から10%に急上昇したのち、9月中旬にレポ市場に「翌日物資金」を供給、金利の安定を図っていた。
米ダラス地区連銀のカプラン総裁は、今回の買い入れは、量的緩和(QE)ではなく、追加的な金融緩和措置でもないと述べた。施策の主な理由としては、米国債の発行急増により、金融システムの流動性が下がっていることであり、対抗措置として流動性供給を増やす必要があるとしている。
また金融危機後の規制によって、銀行が以前より多く準備金を保有しなければならないことも背景にあると語った。
連邦準備銀行は、まず準備高を約1.5兆ドル(約162兆円)に引き上げることを目指す。しかし、一部の識者は、適切な量は1.6兆ドル(約173兆円)から1.8兆ドル(約195兆円)の間だと主張している。
トランプ氏は数ヶ月にも渡って、FRBに対してバランスシートを縮小するのをやめること、また最近では金融政策を完全に緩和することを要求してきた。だがFRBによると、今回の措置は、その要請に答えるものではないという。
財務省債権の買い入れは、短期金融市場を円滑に運営することが目的で、こうした買い入れは金融危機後の数兆ドルに及ぶ買い入れとはまったく異なり、「家計と企業の支出、および全般的な経済活動」に大きな影響はほとんど及ばないと繰り返し強調した。
一部の投資家は、今回の発表は、FRBが短期金利を安定させるために必要に応じて行動する用意があるという兆候だと推測している。