- 機関投資家マネーの流入
- 米大手仮想通貨投資ファンドのグレースケールが発表した第3四半期レポートから、仮想通貨投資信託への日間の資金流入額が最高を記録した。機関投資家資金の流入と投資家属性も明かした。
機関投資家マネーの流入
米大手仮想通貨投資ファンドのグレースケールが発表した第3四半期(7月から9月)のレポートから、仮想通貨市場に機関投資家の資金が流入していることが改めて明らかになった。同社トップのMichael Sonnenshein氏が語った。
Sonnenshein氏は米仮想通貨メディアThe Blockに対し、「今期は1日で7500万ドル(約82億円)超の資金流入があった。これは1日の流入額としては最高だ。」と話している。この金額は、Sonnenshein氏が2014年に米金融大手のJPモルガンからグレースケールに来て以来、最大の額だという。
本レポートによると、資金流入の勢いは第3四半期に最高水準に達し、2億5500万ドル(約280億円)というグレースケールの1四半期での最高額を記録した。こうしてこの1年間の流入額も4億1200万ドルという最高額を記録。機関投資家や裕福な個人投資家やヘッジファンドに代わり、合計で20億ドル(約2180億円)超の資産を運用していたことになる。
また本レポートからは、第2四半期と比較して、仮想通貨ファンドにもかなりの資金流入があったことが分かっている。最重要商品のビットコイン投資信託(GBTC)を除く仮想通貨ファンドの運用資産の総額は、第3四半期だけで1億700万ドル増加した。
グレースケールは仮想通貨関連のファンドを10種類運用している。例えば、Zcash(ZEC)やイーサリアムクラシック(ETC)に関連した商品から、14日に米金融取引業規制機構(FINRA)の認可を取得したばかりの「Grayscale Digital Large Cap Fund(DLC)」がある。DLCはOTC市場で取引される。
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Sonnenshein氏は最近の成長の要因は、グレースケールが5月に開始したキャンペーン「Drop Gold(金を”投げ捨てる”)」にあると考えている。これは米国の投資家にゴールド(金)の保有をやめて、ビットコインへの投資を促すものだ。本キャンペーンに取り組むチームは小さいが、セールスへの地道な取り組みがグレースケールの戦略のキーになっていると指摘した。
Sonnenshein氏は、グレースケールのチームは投資家に会うためにかなり外を回っていると話す。米シカゴや、カナダのバンクーバーに数日間滞在したこともあると説明。「興味深いのは、我々が1つの場所に2、3日滞在するだけでは時間が足りないことだ。全投資家に会うためにはチームで手分けしなくてはいけないし、実際ミーティングをキャンセルしたり、スケジュール変更の電話をしたりメール送らなくはいけなくなっている場合も多い。全員と会うには時間が足りなくなっている」と充実ぶりをアピールした。
億単位の資金
顧客の内訳についてSonnenshein氏は、従来のファンドや投資家は現在でも市場を傍観していると思われがちだが、成長の大部分を牽引していると説明する。
また「機関投資家の多くが仮想通貨のヘッジファンドとは限らない。全てとまでは言わないが、グローバルなマクロ経済戦略に基づくファンドがかなり多い。そういった機関投資家はおそらくデジタル資産を法定通貨を補うものと考えていたり、世界で起きている経済や政治の混乱を全て考慮している」と語った。
またSonnenshein氏は、有価証券のような資産構造は、コインベースでアカウントを作ったり、仮想通貨に直接投資するのに比べ、仮想通貨市場への投資方法として機関投資家の好みに合っているとも話す。それでもグレースケールでの投資にはリスクもある。「例えば、需要と供給のバランスに不均衡が生じ、ファンドの価格が基になる仮想通貨の価格と完全に相関しないことも多い」とSonnenshein氏は説明した
グレースケールの総運用資産額は100億ドル(約1兆900億円)を超え、Sonnenshein氏は、顧客に応じて100億ドルから150億ドルの間で推移すると話す。分析企業「Eureka Hedge」のデータによれば、現存する1万超のヘッジファンドの内、このような規模のファンドは約8.5%だという。
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