バイナンス上場への料金
世界最大手仮想通貨取引所バイナンスは、Blockstack(STX)の新規上場に際し、25万ドル(約2700万円)に相当する833,333STXを運営企業Blockstack社から受け取っていることが分かった。
バイナンスは、上場手数料を課さないとしていたことから、一部の投資家らを中心に物議を醸し出した。バイナンスとBlockstack社の両社は、「上場手数料」ではないとの声明を発表するに至ったようだ。
バイナンスは、STXを取り扱う最初の取引所として注目された。というのも、Blockstack社は以前、米証券取引委員会(SEC)のRegulationA+とRegulationSの規定に基づき、合計2300万ドル(約25億600万円)の資金調達に成功したプロジジェクトで、規制に準拠した仮想通貨プロジェクトとして大きな注目を集めていたためだ。
上場を告知したバイナンスは先週、Blockstack社に上場手数料は課さないと発表。バイナンスの担当者はThe Blockに対して今回の仮想通貨授受に対して、以下のように説明した。
「上場手数料は、プラットフォームの技術コストに当てるものだけを指す。この件は最初のプレスリリースには記載しなかったことではある。Blockstack社CEOのMuneeb Ali氏は、今回支払った25万ドルを『期間の長さにかかる手数料』と呼んでいる」
25万ドルという額は、SECのRegAに基づいた価格を基準に計算されているという。
何年もの間STXの上場を継続し、Blockstack社の長期目標に協力してもらい、バイナンスにSTXの経済圏を守ってもらうために支払う料金とAli氏は述べている。また、「我々が今後共同で行うマーケティングキャンペーンに関するマーケティング手数料でもある。再度説明するが、これは上場手数料ではない。そして、近いうちにマーケティングキャンペーンは行う予定だ」と説明した。
上場手数料の定義
Ali氏は、これは上場手数料ではなく、マーケティング手数料だと説明。しかし、The Blockの本記事の執筆者Frank Chaparro氏は、米ナスダックのマーケティング部門で勤務していた。そこでIPO(株の新規公開)を行うチームとも一緒に仕事をして、株の公開にも携わったことがある。その経験からすると、バイナンスとBlockstack社の説明は理解しがたいという。
企業が株を公開する際、ナスダックやNYSEのような取引所は幅広いサービスを提供するが多額の料金を課す。サービスとはIPOに関わることから、マーケティングや投資家との関係に係るサービス、また指標の提供だ。バイナンスとBlockstack社は好きなように25万ドルを名付けることができるが、Chaparro氏が本件について20年超の経験を持つ金融業界の複数の幹部と話したところ、みんな同じ意見だった。つまり、これは上場手数料ということだ。
米国を拠点にするある証券取引所の幹部は、「バイナンスとBlockstack社は金融ではなく、言葉の技術を利用している。アヒルのように歩き、アヒルのように鳴いたらそれをアヒルだとみなすように、これは上場手数料だ」と話しているという。「期間の長さにかかる料金」という表現も、結局は上場に関する料金だと語った。
また、金融サービスのリサーチャーとして30年の経験を持つLarry Tabb氏は「ナスダックやNYSEに上場する際の契約を見ると、マーケティングと上場は密接に関係している」と述べている。
では、なぜバイナンスとBlockstack社は上場手数料という表現を使いたがらないのか。
ある取引所の幹部は、「上場手数料」が規制対象であることに関係しているかもしれないと話す。米国の株では当たり前とされる上場手数料が、まだ新しい仮想通貨業界では長い間、批判の対象になっている。評判が悪化することを避けるためというのも1つの理由だろうと語った。
バイナンスは昨年10月、上場手数料の全額を、同社の慈善事業団体「Binance Charity Foundation(BCF)」に寄付すると発表した。各プロジェクトは上場手数料を提示する必要があり、バイナンスはその許可の下で寄付を行う。
今回の25万ドルも寄付するのかという質問に対し、バイナンスの担当者は「寄付はしない。これは上場手数料ではない」と回答している。
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