スタートバーン社が新サービス開始
「アートxブロックチェーン」に取り組むスタートバーン社は25日、ICチップ内蔵のシールやカードと連動したアート用ブロックチェーン証明書発行サービス「Startbahn Cert.」のベータ版をローンチしたことを発表した。
スタートバーン社はブロックチェーンを活用し、アート作品の流通を支えるインフラ「Startrail(旧Art Blockchain Network)」を構築している。Startbahn Cert.は、アート作品に対するStartrailブロックチェーン証明書と、その情報に紐づいた「ICチップ付き作品管理タグ(以下、ICタグ)」を併せて発行・管理できるサービス。国内外のギャラリーや画廊、美術系の学校、証明書発行団体等に向けて販売することを想定している。
ICタグを作品そのものに貼付することによって、作品の所有者は簡単にブロックチェーン上の証明書情報へアクセスできるようになる。ウェブのインターフェースを通して、事業者は証明書の発行・移転が、所有者は証明書情報の閲覧が可能。アート作品の実物とブロックチェーン上の情報の紐付けを容易に行えるようになる。
スタートバーン社は本サービスの初期導入として、2019年10月にスタートバーン社との事業提携を発表した東方文化支援財団に対し、3000枚のICタグ付きブロックチェーン証明書を有償で供給する。アーティスト支援の一環として、東方文化支援財団は希望する人の中から選考し、ICタグを無償で提供するという。その他にも複数の団体にStartbahn Cert.を導入することを予定している。
スタートバーン社の代表取締役で最高経営責任者(CEO)の施井泰平氏はコインポストの取材に対し、今回のサービスを通し、ブロックチェーンで変わるアートの未来について、以下のように語った。Startrailは、作品やアーティストの信頼を守ることはもちろん、次世代に文化を残し、また深い理解を育んでいくための新しいアートインフラです。
ブロックチェーンを活用したStartrail証明書を発行することで、真正性の担保、来歴の記録、二次流通の管理を実現し、アート業界の多様なステークホルダー(アーティスト、事業者、コレクターなど)にベネフィットを提供することを目的としております。
今回ローンチを発表したStartbahn Cert.では、ICチップを通して作品とStartrail証明書を接続させることができます。実作品とブロックチェーンの紐付けを強化するだけではなく、ウェブやスマホを通じて簡単に証明書の発行や内容の閲覧ができるようにすることで、より現行のアート業界の商慣習に親しみやすいサービスとなっています。
本サービスをきっかけにStartrailがアート業界で広く普及し、アートの流通・評価インフラとしてアート取引を活性化させ、アート業界の裾野を広げてくれることを期待しています。
またアート業界にブロックチェーンが実導入される点について、現在の進捗状況、アート業界側の反応に関しては以下のように回答している。
Startrail(当時仮称:Art Blockchain Network)は2018年にテストネットとしてローンチされて以来1年以上の期間をかけて、改修してまいりました。
Startbahn Cert.も多くの事業者の方からの、実作品との紐付けに関するご意見・フィードバックをもとに開発しました。
すでに5000枚近い証明書の発行が予定されており、多くの事業者様から支援していただいております。また今後もヒアリングを続け、継続的に追加機能の開発を実施する予定です。
Startbahn Cert.は今後も機能の追加や拡張を進めていくという。例えば、展示会でのQRコードによる情報提供サービスだ。また、中長距離で読み取れるUHFチップを追加で埋め込むことによって、倉庫管理と連動させるサービスなどを検討している。