ビットコインとの相関低いアルトコイン
年度末を迎え、新たな年度がスタートした。第4四半期(米Q1)は、仮想通貨市場が最も乱高下したと言っても過言ではないほど、市場価格の騰落率に大きな変動が見られた。
5月に控える半減期などを材料に、急ピッチな高騰で一時100万円を超えたビットコインも、新型コロナ蔓延に伴う経済危機で加速した現金化に影響されて下落した株式市場などとの相関性を強めた。
仮想通貨市場と金融市場との相関性も活発化、金融政策やマクロ経済の動向に業界の意識も向き始めるなど、新たな動きにも繋がった。
仮想通貨取引所バイナンスのリサーチ部門は1日、金融資産やアルトコインとビットコインの相関性を分析するレポートを公開。第4四半期(米Q1)の仮想通貨市場を振り返った。
対ビットコイン:アルト、金融資産との相関係数
仮想通貨市場パフォーマンス
第4四半期の仮想通貨市場パフォーマンスは、若干のマイナスで終えた。最も大きな変動ポイントは、ビットコインが3月12日に記録的な大暴落で、1日の変動率では過去最大規模となる日間騰落率-37.5%を記録した。
一方、年初の価格と比較してプラスで推移するアルトコインも複数見られている。
時価総額2位のイーサリアムも、+3.07%とプラス水準に。ビットコインSV(BSV)やテゾス(XTZ)、チェインリンク(LINK)、レオ(LEO=bitfinexの独自トークン)などは20%を超えるプラス水準で、四半期の取引を終えた。
バイナンスリサーチは、重要ニュースや、メインネットの立ち上げ、フォークなど、プロジェクト固有の要素が市場高騰に影響したと解説している。
ビットコインとの相関係数で確認すると、これらの銘柄はビットコインとの相関性が最も低い値を示した。個別銘柄の要因で買いが先行した可能性を示している。
興味深いポイントとして挙がったのは、ビットコインに対して正の相関性が低いとされたビットコインSVが、ビットコインキャッシュとは0.73を示している点。昨年にもハードフォークが起こった通貨間で、値動きが意識されていることが示された。
金融資産のパフォーマンスと相関性
金融市場のパフォーマンスでは、長期国債、金、CMC200(仮想通貨関連指数)、ビットコイン、S&P500、銀、Russell 2000、原油の順に並んだ。
仮想通貨関連指数とビットコインは、比較対象に挙がった資産のなかで、金に次ぐ3番目と4番目に位置している。
最も落ち込んだ原油は、3月30日に17年ぶりの安値に急落。原油WTIは一時20ドルを割り込んだ。第4四半期を通じて、約3分の2の価値を損失したことになる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う広範な都市封鎖の影響が、欧州や北米などに波及。石油需要が大幅に減少したことで、供給過多に繋がった。
ビットコインと金融資産の相関係数
結果から見ると、S&Pとの相関係数は0.57。最も高い相関を示したのが、Russell 2000(小型株市場インデックス)で0.64となった。相関係数としては「中」程度に相当する。
一方で、ビットコインとの相関性が指摘されたのは、新型コロナによる経済危機が表面化して以降の値動きであったため、月別ではより相関性を示していた可能性もある。
相関係数については、ビットコインが最も急落した3月12日を含む週で、S&P500との相関が、直近2年間で最高の0.6を記録したことをSantimentが報告している。
出典:バイナンスリサーチ