仮想通貨は「債務」ではなく「財産」
ハッキング被害を受けて破産したニュージーランドの仮想通貨取引所Cryptopiaを巡る裁判で、被害者は取引所所有の資金に対して権利が有するという判決が出た。
取引所の保有する約1.1億ドル(約119億円)の残高について、債権者や株主と元ユーザーの間で、分配方法が争われていた裁判である。
今回、判事は、仮想通貨が1993年の会社法に基づく「財産」であるとして次のように述べた。
「Cryptopiaが保管していた仮想通貨は、無形の私有財産の一種であり、明確な価値があるものだという結論に達した。仮想通貨は単なる情報であり、それゆえ財産ではないという主張は単純化したもので、現在の状況では間違っていると考えられる。」
Cryptopiaはこの判決について、「仮想通貨はアカウントの保有者に所有されるもので、会社の資産ではない」とのコメントをSNSで行なった。
(1/2) Today, 8 April 2020, Justice Gendall delivered his judgement finding firstly, cryptocurrencies are “property” within the definition outlined in s2 of the Companies Act 1993 and secondly, that account holders' cryptocurrency were held on multiple trusts, separated by …
— Cryptopia Exchange (@Cryptopia_NZ) April 8, 2020
取引所の債権者とユーザーの間で、どのように資産を分配するかという点が争点になっていたが、判事が、仮想通貨は単なる債務ではなく財産として分類したため、ユーザーに有利な判決となっている。
仮に仮想通貨が通常の債務として分類されていた場合、ユーザーと債権者の両方で残高が分割される形となる。
償還時期はまだ不明
昨年1月のハッキングで、Cryptopiaは計17億円以上に相当する仮想通貨(主にETH)を盗まれたが、約1億1000万ドルの仮想通貨が残っていた。
昨年5月に破産プロセスを監督するよう任命されたGrant Thornton New Zealandは、どのユーザーがどの仮想通貨を保持しているかの詳細を、現在も確認中である。Cryptopiaでの記録管理が不完全であったためだという。
よって、同取引所の残高がいつ、どのように分配されるかは未だ不確かだ。
参考:裁判記録