ビットコインハッシュレート急回復
仮想通貨ビットコインのハッシュレートが急回復している。
BTCネットワークのハッシュレートは、3月13日の相場急落を受け、一時100EH/sを下回って推移していたが、歴史的な難易度マイナス調整が実行された3月26日を底値に急反発。すでに過去最高水準までハッシュレートを戻しつつある。
コロナ危機に伴う価格の急落の影響で、採算が取れなくなったマイナーの撤退に繋がったとの見方が広がっていたが、市場の続落がない状況を確認したマイナーが半減期に向けて採算事業に出戻りしている可能性がある。
大手マイニングプールPoolinの幹部(VP)Alejandro De La Torreによると、マイニングハッシュレートの回復には3つの理由がある。
- 新たなマイナーの参入、またはマイニングマシンの導入
- 他のSHA-256チェーンからの切り替え(BCH・BSV→BTC)
- 半減期前の駆け込み需要
#Bitcoin hashrate climbing like CRAZY! Around 15 EH/s less than previous ALL-TIME HIGH. could be due to 1. new batch of miners being switched on 2. some switching of miners from other SHA-256 coins #BCH #BSV 3. everyone trying to squeeze the last amount of profits before halving https://t.co/VooBJyP4RN
— Alejandro De La Torre (@bitentrepreneur) April 14, 2020
BTCマイニング上昇背景
事業拡大するマイナーの動き
半減期後に報酬が減少するためマイニング事業に旨味がないとの指摘もある一方で、価格の上昇や採算性を踏まえて新たにマイニング事業に参入する企業も多くある。
米国で数少ない上場ビットコインマイニング企業の1つであるRiot Blockchainもその一社。最新のニュースでは、新たに北米の拠点を契約し、購入したS17ビットコインマイニングマシンの一部を稼働させることがわかっている。
稼働するコロラドの拠点を含めると、Bitmainからは4000台のマイニングマシンを購入しており、事業拡大規模はコンピューターパワー(ハッシュパワー)を240%増加させる規模に相当するという。
また、日本関連企業では、SBIグループ傘下で仮想通貨のマイニング事業を展開する企業SBI Cryptoも、コスト効率の良い拠点へ一部拠点を移動。Whinstone USが新たに建設する米国の巨大データセンターで、マイニング事業を開始することが報じられた。
2020年内の新たなマイニング戦略を打ち出すSBI Cryptoは、マイニングプールの開発による収益規模の拡大も見込んでいるという。
最新マイニングマシン
大手仮想通貨マイニング機械メーカーのBitmain(ビットメイン)も、最新マシンS17+とT17+を出荷しており、電力効率が高い最新機器の導入で、ハッシュレートを強化するマイナーが出ていることも予想される。
「Antminer S19」の1回目のセールでは、販売開始当日に完売しており、半減期前は中国国内向けに限定された形で販売が行われた。
他のSHA-256チェーンからの切り替え
他のチェーンから採掘対象を切り替える動きについては、SHA-256アルゴリズムを採用するBTC、BCH、BSVのネットワークを対象とした同一のASICマシンで、任意に採掘対象を切り替えることが可能な点がその理由だ。
特に、先に採掘報酬が減額したBCHとBSVチェーンは、採掘時の収益性がBTCと比較して一時的に劣勢に。経済的合理性に基づいたマイナーが、BTCネットワークに採掘対象を切り替えた可能性が高い。
プールによっては、採算性に合わせて自動で採掘通貨を切り替える契約を提供しているところもあり、プール契約をしているマイナーのハッシュレートは移動しやすい傾向にある。
半減期後のBCHとBSVのハッシュレート推移をみても、その動きは一目瞭然だ。
ハッシュレート上昇の重要性
ハッシュレートの上昇することで、ネットワークに多くのハッシュパワーが関与、悪意のある攻撃に対してネットワークが耐性を強化できるネットワークセキュリティが強化される。
このことからも、一般的には、分散化したプールステータスの状況下でハッシュレートが上昇することは、ビットコインの価格にもプラスに作用する。BTC価格との相関係数も全期間を通して0.6〜0.7で推移しており、強い相関を示す一つの指標になる。