2030年のビットコイン価格予想
欧州リヒテンシュタインに本拠を置き仮想通貨の財務分析を行うCrypto Research Reportは、先週発表した最新レポートで、ビットコインを中心に四つの主要仮想通貨の価格予想を行った。
そのタイトルの通り、「フィッシャーの交換方程式を用いてビットコイン価格のモデリング」を行った結果、レポートでは今後10年間でビットコイン価格が飛躍的に上昇する可能性があると主張している。
仮想通貨の普及が見込まれる分野
レポートでは、仮想通貨に関する全てのユースケースの経済規模を合計した「獲得できる可能性のある最大の市場規模」(Total Addressable Market=TAM)に対し、それぞれの市場へどれほどの普及が見込めるかを予測する事で、仮想通貨の価格予想を算出している。
レポートは、ビットコインを含む仮想通貨全体のTAMは、およそ212兆ドル(約2京2714兆円)と見積もった。
仮想通貨を価値保存コイン、ユーティリティコイン、ステーブルコインとプライバシーコインの四つのカテゴリーに分け、それぞれの有効なユースケースが見込まれる分野として、次のようなものを挙げた。
なお、レポートで価格予想分析を行ったビットコイン、ライトコインおよびビットコインキャッシュは価値保存コイン、イーサリアムとステラはユーティリティコインに分類されている。
- 交換機能と勘定単位 (TAM:126.8兆ドル)価値保存およびステーブルコイン
- 消費者ローン(TAM:42兆ドル)ステーブルコイン
- オフショア口座 (TAM:19兆ドル)価値保存、ステーブル、プライバシーコイン
- 準備通貨 (TAM:11.7兆ドル)価値保存コイン
- 価値の保存 (TAM:7兆ドル)価値保存コイン
- オンライン決済 (TAM:3.4兆ドル)全てのコイン
- 送金 (TAM:7060億ドル)価値保存およびステーブルコイン
- マイクロペイメント (TAM:6170億ドル)全て
- 銀行口座を持たない層の金融包摂 (TAM:3800億ドル)価値保存およびステーブルコイン
- ゲーム (TAM:1490億ドル)ユーティリティコイン
- オンライン・ギャンブル (TAM:590億ドル)ユーティリティおよびプライバシーコイン
- 仮想通貨取引 (TAM:182.5億ドル)全てのコイン
- ICO資金調達 (TAM:73億ドル)ユーティリティコイン
- STOの資金調達 (TAM:5.7億ドル)全てのコイン
さらに、特異なケースとして納税忌避の手段としての市場も取り上げている。 (TAM:6000億ドル、価値保存、ステーブルコインおよびプライバシーコイン)
仮想通貨の普及率
各ユースケースにおける将来の通貨利用を想定した「普及率」を割り出すのに、レポートでは世界の仮想通貨ユーザー数を、仮想通貨取引所への登録者数やウォレット数等から推定し、およそ4000万人以上のユーザーが存在すると仮定した。
また、TAMに対し10%の市場を獲得するという「控えめのシナリオ」を選んで予測を行ったという。その結果、2030年の予測は、39.7万ドル(約4250万円)に、イーサリアム(ETH)は3,644ドル(39万円)に達すると予想した。なお、この結果には、将来価値を現在価値に換算する割引率は適用されていない。
将来の普及率は?
レポートは、2019年末のビットコイン価格(1BTC=7200ドル)はTAMの0.44%にも満たないことから、ビットコインは未だ普及曲線のごく初期の段階にあると分析。普及率が10%に達した場合は、40万ドル(約4290万円)近くに達するとの結論に至ったようだ。
しかし、経済理論に基づき多くの要素を考慮した上で算出された価格予想だが、実際、仮想通貨がどれほど普及するかは世界各国の規制状況や、天変地異に準ずるようなコロウイルスのパンデミックなど予測不能な外部要素も大きいため、一つの価格予想モデルとして参考程度に留めるのが賢明かもしれない。