はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン送金拠点世界一は”インド洋の真珠”セーシェル共和国=仮想通貨分析会社レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

8年間のビットコイン送金の流れを分析

ビットフューリー・グループのブロックチェーン分析会社、クリスタル・ブロックチェーンが、8年間にわたる仮想通貨取引所間の国際的なビットコインの流れを分析したレポートを発表した。分析したデータに基づいて、金融作業部会(FATF)の「トラベルルール」が、今後、取引所とビットコイン送金のあり方にどのような影響をあたえるかについても考察している。

クリスタルの調査手法

最新レポートでは、2013年から2020年上半期までの、70カ国、455取引所間の国境を跨いだビットコイン取引の詳細な分析結果を報告しているが、ビットコイン市場の変遷と仮想通貨規制の影響などが浮き彫りになった。

ブロックチェーン調査ツール「クリスタル」(Crystal)は、法執行機関並びに金融機関向けに設計されており、パブリックブロックチェーン・エコシステムの包括的な視点を提供し、疑わしい取引や関連機関をマッピングする役割を果たす。

今回の調査では、同じ取引所に属するビットコインアドレスをクラスター化し、取引所クラスター間におけるビットコインの直接取引に関するデータのみを扱い、独立したウォレット等関連のトランザクションは含まれていないとのことだ。また登録された国ごとに取引所を分類した。

調査結果

・調査対象となった全取引所の約17%にあたる78取引所が登録国を持たない(もしくは情報非公開)が、登録された取引所が最も多い上位10カ国は以下の通り:

1. イギリス(50)、2. 香港(27)、3. シンガポール(26)、4. アメリカ(26)、5. 日本(15)、6. 中国(14)、7. エストニア(13)、8. セーシェル(12)および韓国(12)、10. 英領バージン諸島(10)およびマルタ(10)

なお、G20という観点から見ると、欧州連合の取引所は62、G20諸国の中で最も取引所の数が少ないのは、メキシコ(3)とアルゼンチン(3)、ロシア(2)およびインドネシア(2)となる。

・2013年には、G20登録の取引所がビットコイン送金の91%を占めていたが、2020年上半期には、その取引量は45%に減少した。(以下全て米ドル建てで換算)

・2020年上半期に、取引所間で直接送金されたビットコインの総取引量は約330億ドル(3兆5400億円相当)で、昨年の同時期に比べ35%増加した。

・2020年上半期の総取引量のうち、セーシェルに登録した取引所が送金の31%を占め、その大半はバイナンスとフォビ(Huobi)によるものだという。

仮想通貨取引所の変遷

レポートでは、市場の発展と規制の影響をビットコイン送金の流れを比較し、仮想通貨取引所の変遷を次の三つの段階に分けている。

  • 第一段階: 2010年から2016年:仮想通貨の導入段階
  • 第二段階: 2017年から2018年:仮想通貨の採用段階
  • 第三段階: 2019年から2020年:規制の強化

仮想通貨の導入段階では、仮想通貨に対する規制が整備されておらず、機関投資家も存在しなかったため、取引所は登録する国の選択には注意を払う必要がなかったようだ。

第二段階に入るとICOの導入やビットコインの高騰により、各国の規制当局が詐欺行為防止などのため、規制整備を進めていく。この間、中国人民銀行が中国における仮想通貨取引の禁止を発表している。

この段階において、取引所はより柔軟な規制体制を提供する国に移転したり、また新しく取引所を設立する際には、規制を念頭に国を選択するようになってきた。

そして2019年から現在にかけて、多くの国が仮想通貨に対する一定の法的枠組みを採用している。中でも、昨年FATFが仮想通貨事業に対する新しい基準を発表したように、マネー・ロンダリング防止を主眼においた規制が中心となっているとレポートは指摘している。その結果、取引所の規制準拠のコストが大幅に増大し、事業撤退やオフショアへ移転するケースが発生しているという。

セーシェルの台頭

セーシェル共和国は、インド洋に浮かぶ人口10万人弱の115の島々からなる島国。その面積は種子島とほぼ同じという小さな国だが、ビットコインの年間送金額では、2015年以降一貫して1位となっている。またビットコインの着金額でも2017年以降はアメリカを抜いて1位となっている。

ビットコイン年間送金額トップの国 ビットコイン年間着金額トップの国

レポートでは、前述のようにセーシェルで事業登録しているバイナンスとフォビの取引規模が、群を抜いて大きいことがその要因だとしている。セーシェルがトップに立つ傾向は今年上半期でも変わっていない。一方、G20諸国に登録している取引所による取引量は大幅に減少している。なお、G20のほとんどがFATFの加盟国だが、セーシェルはFATFに加盟していない。

今後の予測

FATFは、7月7日、昨年6月に公表したトラベルルールへの仮想通貨関連事業者(VASP)や関連団体の進捗状況を評価した「暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たなFATF基準についての12ヵ月レビューの報告書」を公表した。報告書では、VASPは引き続き、トラベルルールへの対応を推進し、2021年6月までに導入することが求められている。

G20諸国に登録された取引所は、FATFのトラベルルールの対象になると考えらるため、規制へのコンプライアンスはより複雑になるものと見られる。その結果、取引所の運営コストが増大し、取引所の統廃合が進むとレポートでは予測している。

また、登録先が不明な取引所はすでに減少傾向にあるが、FATFガイドラインの導入後は、全体の取引額に対する割合が1%を切ることになるだろうと予想している。(2013年の取引額は2.7%>今年上半期で0.4%)

出典:Crystal Blockchain

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/22 土曜日
10:55
米当局がビットメイン製品を国家安全保障リスクで調査、トランプ関連企業も1万6000台使用
米国土安全保障省が中国メーカーのビットメインを調査し、機器がスパイ活動や電力網破壊に使用される可能性を指摘。トランプ大統領の息子たちの会社アメリカン・ビットコインも1万6000台を購入した。
10:05
コインベース、ソラナのミームコイン取引所「ベクター」を買収
コインベースがソラナ基盤SocialFiプラットフォーム「ベクター・ファン」を買収すると発表した。年内に取引完了予定で、ソラナエコシステムへの参入を拡大し、すべてを取引できる取引所の構築を目指す。
09:35
ベセント米財務長官、ビットコインバーにサプライズ訪問 仮想通貨業界への影響は
スコット・ベセント米財務長官がビットコインバー「Pubkey DC」を訪問し、仮想通貨コミュニティで話題になっている。業界関係者の反応と今後の影響を解説する。
08:25
NYSEがグレースケールのXRPとドージコインETF承認、25日上場予定
NYSEがグレースケールのドージコインとXRP ETFの上場を承認し、11月25日に取引を開始する。今週はビットワイズのXRP ETFやフィデリティのソラナETFも上場し、アルトコインETF市場が急拡大している。
07:45
「仮想通貨財務企業などの上場後の事業の大幅変更について対応を考える必要」JPXのCEO
日本取引所グループの山道CEOは、ビットコインなどを保有する仮想通貨財務企業への規制強化は現時点では検討していないと説明。一方で、事業の大幅変更については対応を考える必要があるとも述べている。
07:05
個人マイナーがビットコイン採掘に成功、1億8000万分の1の確率を克服
極めて小規模な個人マイナーがわずか6TH/sのパワーでビットコインブロックの採掘に成功し、約26万5000ドル相当を獲得した。確率は1億8000万分の1で、近年最も幸運なソロ採掘となった。
06:25
トム・リー率いるビットマイン、初の配当実施もイーサリアム保有の含み損は6250億円超 
イーサリアム最大の企業保有者ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが11月21日、2025年8月期通期で純利益3億2816万ドルを計上し、大手仮想通貨企業として初めて配当を実施すると発表した。しかしイーサリアム価格下落で含み損は40億ドル超に達している。
06:02
金持ち父さん著者キヨサキ、3.5億円分ビットコインを売却し広告事業投資へ 以前の姿勢から一転
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏が11月22日、約225万ドル相当のビットコインを売却し、外科センターと看板広告事業に投資すると発表した。以前の「売らずに買い続ける」発言から一転した。
05:45
マイケル・セイラー、指数除外懸念に反論「ストラテジーはファンドではない」
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は主要株価指数からの除外懸念に対し「我々はファンドではなく上場事業会社だ」と反論した。
11/21 金曜日
17:25
米ビットコインETF、1週間で大規模な資金流出が2回
11月20日、米ビットコイン現物ETFは9億300万ドル(約1,395億円)の純流出を記録し、史上2番目の規模となった。1週間前の記録を更新。ブラックロック、グレースケール、フィデリティの主要3ファンドで流出の大部分を占め、全ETFで純流入ゼロという異例の事態に。
16:38
予測市場が急成長 カルシ(Kalshi)が1500億円調達と報道も
予測市場カルシが2ヶ月で評価額2倍超の110億ドルで10億ドル調達。取引量は10月に過去最高の44億ドルを記録。競合ポリマーケットも120億〜150億ドルでの追加調達を協議中で、予測市場への投資が加速。
16:33
暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税が実現したら?押さえておきたい税務のポイント|Aerial Partners寄稿
仮想通貨の申告分離課税が現実味を帯びてきた今、投資家が知っておくべき税制変更のポイントを解説。税率の一定化、損益通算、特定口座の導入可能性など、制度導入後の注意点と準備すべきことをわかりやすく紹介します。
16:10
CAICAテクノロジーズ、JPYC決済ソリューションの提供を開始
CAICAテクノロジーズが日本円ステーブルコインJPYCの決済ソリューション提供を開始。企業向けにコンサルティングサービスと決済モジュールを提供し、ステーブルコイン決済の導入を支援する。
16:03
ナッジ、ステーブルコイン決済・還元対応クレカ「HashPortカード」発行開始
HashPortとナッジが日本初となる後払い型クリプトクレジットカード「HashPortカード」を発行開始。ステーブルコインJPYCで決済・還元が可能で、利用額の0.3%をJPYCで還元。年会費無料、カード発行手数料2,500円。
15:44
金融庁が語る暗号資産規制改革の全貌──銀行参入、インサイダー規制、DEX対応の狙い|独占取材
金融庁独占取材。暗号資産規制の金商法移行について、銀行グループ子会社の参入、インサイダー取引規制導入、分散型取引所(DEX)対応の狙いを詳しく聞く。投資家保護と健全なイノベーション両立への取り組みを解説。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧