ドルからの大移転
米有力紙ブルームバーグの分析によると、米国人は安全資産とされる米ドルの貯蓄からビットコインや株、ゴールドのようなリスクの高い商品に移りつつある。
その背景は、米ドルのイールド(利息)の激減だ。新型コロナの影響で、多くの米国人は将来の経済的不安に対し、以前よりも米ドルを預金していた。しかし、米連邦準備制度による金融緩和政策や経済刺激策の影響で、銀行の定期預金金利はほぼゼロとなる、投資先として米ドルの魅力は衰えてきたという。
下図:「ハイイールド口座のレートが右肩下がり」
一方、3月の「コロナショック」による米国株の暴落以来、ビットコイン、米国株指数、およびゴールドなどの資産はすでに2桁の上昇率を記録しているため、投資家にとって米ドルよりもリスク・リターンの高い投資先として魅力が増している。
下図:「2020年3月23日〜7月1日、ビットコイン、S&P500、ゴールドの上昇率」
Bankrateの調査によると、28%の米国人は株式を長期的投資先と選ぶ。昨年より20%増えたという。一方、ドル預金を選ぶのは18%にとどまり、8年間の最低水準となったことがわかった。
一例として、カリフォルニア州在住の28歳のBrian Harrington(男性)はブルームバーグの取材に対し、長期的景気後退を懸念し、ハイイールドの預金口座にある15,000ドル(約160万円)をビットコインに変換する予定を明かした。
また、ほとんどの資金をハイイールドの預金口座に預けている35歳のMeyer Denney(男性)は株やインデックスファンドのようなボラティリティの高い商品よりも、より安定な社債や生活必需品セクターに投資したいと考えているという。
実際、ほかの主要法定通貨に対する米ドルの価値が早いペースで落とされ、Financial Timesの報道によると、「7月はこれまでの10年間で米ドルにとっての最悪な月だ」。
一方、経済シンクタンク「Economic Policy Institute」の経済学者Heidi Shierholzは、警戒される経済状況や医療費用の発生などの緊急事態に備え、余分な資金を用意する必要があると指摘した。
参考:ブルームバーグ