仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)データ分析企業Messariによれば、米大手仮想通貨取引所Coinbase Proにて9日、Chainlink(LINK)の日間取引量が、時価総額1位のビットコイン(BTC)を大きく上回った。
コインベースは昨年10月、プロトレーダー向け「Coinbase Pro」のアプリをローンチしている。
CoinGeckoのデータによれば、7月上旬に4ドル台で推移していたChainlink(LINK)価格は、8月10日に前月比113.7%高の14.1ドルまで高騰。バイナンスコイン、Bitcoin SV、Litecoinを抜き去り、Coinmarketcapの時価総額6位まで急浮上した。
分散型のオラクルネットワークプロジェクトChainlink(LINK)は、Smart Oracleなどの技術を使用したシステム開発を行うSmartContract社が、コーネル大学やUCバークレーなどの教員が主導するブロックチェーン研究機関「IC3」と協力して開発したものだ。
過去には、SmartContract社とSWIFTが、Chainlinkを使ったブロックチェーン実証実験で成功を収めている。昨年10月には「trusted computing」のフレームワークを発表。IntelやHyperledgerが協賛企業に挙がったことで急騰するなど、注目度が高まった。
発表されたフレームワークは、ブロックチェーン上での一部計算をオフチェーン上で実行することでトランザクション軽量化を図るほか、計算結果をChainlink oracle経由でブロックチェーンに渡すことでパブリックブロックチェーンの課題であるプライバシー問題も解決するとされる。
これらの課題は、今まで企業がブロックチェーンを利用するのを踏み止まる要因として指摘されており、新たな解決策により企業の需要が促進されると見られる。
さらに先日、異なるブロックチェーン間の相互運用性を図る大型プロジェクトPolkadotがChainlinkのデータベース管理システムである「オラクル」機能の統合を発表した。
分散型金融(DeFi)や分散型アプリ(dApps)のポテンシャルが広がることが期待されており、Kyber NetworkやSynthetixなど複数の大手DeFiプラットフォームが、Chainlinkのオラクル機能を採用するなどDeFiセクターからの実需が高まった。韓国のトップ銀行の外国為替レートを分散型金融(DeFi)に提供することが分かったことも追い風に。
これらの動向が、昨今のDeFiバブルで思惑に拍車をかけたものと見られる。
米仮想通貨(暗号資産)取引所GeminiのCEOを務めるウィンクルボス兄弟のTylerは今年4月、Chainlink(LINK)について、「ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の黎明期」と重ね合わせ、将来性に対する期待感を示している。
I really appreciate the passion of the $LINK Marines. Their fervor and dedication reminds me of the early Bitcoin and Ethereum communities. Unlike many other crypto armies, they are dedicated to a project that has real promise and technical merit.
— Tyler Winklevoss (@tylerwinklevoss) April 15, 2020
Crypto Fear&Greed Indexが過熱
10日のビットコイン(BTC)価格は、前日比0.58%安の126.2万円(11,890ドル)に。12,000〜12,100ドルのレジスタンスラインを抜けられずに反落した。
一方、急落直後のリバウンドに勢いが見られるほか、日を追うごとに下値を切り上げており、10500ドルの節目と週足の長期トレンドラインを同時ブレイクしイーサリアム(ETH)やXRP(リップル)などの主要アルトコインが追従したことで、マーケットの押し目買い意欲も伺える。
ビットコインやその他主要通貨の市場センチメントを追跡する「Crypto Fear&Greed Index(恐怖と強欲指数)」は78/100に達している。1BTC=9200ドル台で推移していた1ヶ月前は、中立を示す44/100だったことから大幅上昇していることがわかる。
直近高値圏で乱高下しており、思惑の交錯する局面と言えそうだ。
海外アナリストCrypto Michaël(@CryptoMichNL)は、相場の過熱感を背景に一旦調整を挟んでから高値を超えて再上昇すると予想する。
南米圏のビットコイン需要
経済危機に苦しむ南米のアルゼンチンとブラジルは、2020年のビットコインの週間取引量において、新高値を記録した。 新型コロナウイルスのパンデミックによって、経済状況はさらに悪化しているという。
背景には、現地通貨の規制により米ドルやユーロでの資産退避が困難な事情がある。インフレ上昇を防ぐためにビットコインを買わざるを得ない状況に陥っているという。
分析企業Arcane Researchの最近のレポートによると、ビットコインのローカル取引において、アルゼンチンの法定通貨が過去2か月間で169%、ブラジルの法定通貨が過去2か月間で20%の成長を記録している。
Did you know that #bitcoin has broken its all-time high vs Argentine Peso, Turkish Lira and Brazilian Real?
— Arcane Research (@ArcaneResearch) August 10, 2020
Read more in our weekly market update tomorrow: https://t.co/lzyWGnxYoi pic.twitter.com/gDapPrNqlF
ブラジルの法定通貨「レアル」は、5月以降の新型コロナの感染拡大が金融の混乱に拍車をかけ、米ドルに対して30%以上切り下げた。
アルゼンチンは、季節的に調整された失業率を年間インフレ率に加算することによって計算され「悲惨指数(Misery index)」でベネズエラに次ぐ、世界2位という不名誉な称号を得ている。
2019年の悲惨指数は、ベネズエラ、アルゼンチン、イラン、ブラジル、トルコ、南アフリカの順にランクインされた。