中国内モンゴルの電力会社、仮想通貨採掘業者へ「安価な電力供給」を停止か=報道

内モンゴルが安価な電力供給を停止か

仮想通貨マイニングが盛んな中国の内モンゴル自治区の電力会社が、採掘業者へ電力を安価で供給することを取りやめる方針を発表したことを、中国メディア「微信」が報じた。

この方針は、内モンゴルの電力企業「内蒙古电力有限责任公司」が24日、内モンゴルの産業情報技術庁(政府官庁)のマイニング企業を対象とした電力供給停止に関する「通知」を受けた対応としている。

通知の内容として、国および内モンゴル自治区が施行する「クラウドコンピューティングおよびビッグデータ産業の健全的発展の方針」をもとに、電力市場から企業が仮想通貨のマイニング業務から撤退するよう仕向けることだ。

報道によると、大型マイニングファームを含む21のマイニング企業が影響を受けることになる。しかし、具体的な企業名は発表されていない模様だ。

昨年11月に、内モンゴル自治区の産業情報技術庁は、マイニング企業の調査を行っており、それが実体経済とは無関係で、監督を避け、エネルギーを大量に消費していると指摘した。

今回の措置は、この調査による結果と見られる。マイニング事業を電力会社からサポートしても、内モンゴル地域全体へ利益が生み出されることはないと判断した模様だ。

内モンゴルでは一部の産業を優遇して安価な電力を提供していたが、その優待措置がマイナーに対して停止されれば、業者が使う電力価格を約三分の一増加させることになると試算している。中国マイナーが多く拠点を置く地域で、マイニング業界への影響も警戒される。

以前にも同様な方針が打ち出されたが、今回では工業IT庁の通知内容が細かいため、本腰にマイニング業務が排除される恐れがある、と業者は「微信」に話した。また、中国北西部の山岳地帯である新疆でも同様の措置が行われることになるのではないかと懸念しているという。

中国のマイニングに対する政策は曖昧

中国の仮想通貨マイニングに対する政策は一貫しておらず、地方ごとにも異なっている現状がある。

2019年に国家開発改革委員会が発表した産業構造調整案では、仮想通貨マイニングは淘汰されるべき時代遅れの産業リストに入っていたものの、その後11月時点ではリストから削除された。

一方今年5月には、中国四川省の地方当局が、仮想通貨マイニングの禁止を示唆する通告を発表。

水力発電事業を行う企業に対し、マイニング企業の招致を即座に中止し、データセンター企業がこれからマイニング業務を行わないように通告した。従わない場合、人民政府に調査を勧めたり、事業禁止や罰金などの行政措置を行うとしている。

しかし、この発表については、中国事情通のDovey Wanなどから、地方政府の狙いは税金支払いを要求することであり、マイニング自体を問題視しているのではないと指摘があり、強制力はないとの声も挙がっている。

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BTCハッシュレート約7割を占める中国

ケンブリッジ大学の研究所オルタナティブ金融センターのデータによると、2020年1月から4月の期間で、中国がビットコイン(BTC)ハッシュレート全体の約70%を占めている。

乾季には内モンゴルの安価な石炭と風力を利用、雨期には四川省と雲南省で豊富になる水力発電を利用することで電力コストを抑えられることも、中国でマイニングが盛んである理由の一つだ。

もし仮に、今回の内モンゴル自治区の通達が実行され、他の地域もこれに続けば一時的にBTCハッシュレートの低下につながる可能性もある。

将来他の国が台頭してくる可能性も

尚、仮想通貨カストディサービス企業「Casa」の創設者Jameson Loppは中国にマイニングが集中していることについて分析し、長期的に見れば、中国がいつまでも優位を保つわけではないと意見した。

現在中国は安価な電力と産業インフラの両方が備わっている数少ない土地であるが、今後その他の地域でも多くのマイニングチップが生産され、安価な電力と発達した産業インフラ両方が入手できるようになれば、中国以外にもマイニングに最適な地域が登場するという。

現在、中国以外ではBTCマイニング量ランキングの上位に米国、ロシア、カザフスタン、イランなども挙がっており、こうした地域での採掘事業の今後も期待される。

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