はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

SECが適格投資家および私募市場のハードル引き下げ、仮想通貨資金調達に追い風か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SEC新ルールのメリット

米証券取引委員会(SEC)が日本時間木曜日、「適格投資家(Accredited Investor)」の定義範囲を拡大し、新たな適格条件を加えたことを発表した。

これまで、所得か資産条件を満たすと、団体でも個人で適格投資家になり得て、SECに登録されていない、いわゆる私募証券を購入する「特権」を与えられる。

SECのレギュレーションDのRule 501によると、適格投資家になる条件として、未登録証券の専門知識を示す十分な教育を受けていることや、関連職務経験を示せるほか、重要な財務的条件として以下のように規定している。

  • 所得条件:過去2年間で、個人で年収20万ドル以上、夫婦で30万ドル以上あること
  • 資産条件:個人単独または夫婦で、純資産が100万ドル以上あること
  • 事業体が民間の事業開発会者または資産が500万ドルを超える組織
  • 適格投資家である株式所有者で構成する事業体

一方、新たに加えられた条件では、上述の厳格な所得・資産条件を満たせなくて、「専門知識、経験、または資格を基準に、適格投資家として見なすことが可能」としている。例えば、私募証券の販売などに従事する経験や資格を持つ個人など、SECに登録している投資アドバイザーが当てはまる。つまり、多額な資産を所有しない投資に詳しい人でも私募市場に参加する機会が増える意味だ。

また、今後より多くの資格証明書の持ち主も適用範囲に加える可能性もある、とSECは説明した。

個人の適用範囲の拡大のほか、先住アメリカ人の部族政府、政府機関、家族の資産管理ファンド、そして海外の法律に準ずる企業や団体も、500万ドル以上の資産を管理している場合では適格投資家として見なされ得るという。

SECの今回のルール改正を支持するPeirceコミッショナー(愛称:クリプトママ)は、投資家を保護する観点から、裕福な個人の純資産ではなく、専門知識などの金融リテラシーが基準になるべきだとコメントした。

個人の経済ステータスは、損失の程度を軽減することはできるが、資産の所有程度では、必ずしもその人の金融リテラシーを証明できるわけではない。

実際、「富」を金融リテラシーの基準としていた昨今では、低所得でありながらも金融・投資に詳しい国民を差別していた。

ークリプトママ

仮想通貨投資への影響は

SECが「適格投資家」の定義を拡大したことで、これまでいわゆる富裕層に限った私募証券への投資だけでなく、一部の仮想通貨のプライベートセールや、グレースゲールの仮想通貨投信の私募への参加も可能になることが見込まれる。

関連ビットコイン投資信託、投資額が20年上期に約90%増加=グレースケール

SECはこれまで複数の未登録トークンセール(ICO)に対して取り締まりを行い、罰金などを科していた。合法なトークンセールは、私募証券としてSECに報告する必要がある。そのため、業界の一部では今後、より多くの個人投資家が適格投資家に限定するトークンセールに参加し、これまでよりも多くの資金を市場に流入させることに期待感を寄せている。

しかし、一部の有識者からは慎重な意見もみられる。今回のルール改正は市場が思うほど限度を緩めたわけではないと指摘。法律事務所Kelman Lawのパートナー弁護士Zachary Kelmanは昨年ルール改正が提案された際にCoinDeskに対し、「SECの動きは、私募市場に参加できる個人の範疇を有意義に拡大したわけではない」とコメントした。

また、名門大NYUの法学教授Andrew Hinkesは今回の動きを受け、このように分析した。

現時点では、特に有意義な変更ではなさそうだ。多く証券引受業者がおそらくすでに適格投資家になっているため、今回の定義拡大では、私募証券を販売している登録業者が適格対象に加わることになるぐらいだ。

ただし、今後より多くの資格証明書の持ち主も適用範囲に加えられることがもたらし得る「投資家範囲の拡大」は有意義になるだろう。より多くの投資家が私募に参加してほしいのであれば、それらの政策を支持する議員に投票することを推薦する。正式に法律になれば、より確実になるからだ。

参考:SEC

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/10 水曜日
12:50
米商務長官の次男が運営するキャンター・フィッツジェラルド、金保護付きビットコインファンを提供開始
米キャンター・フィッツジェラルドが金価格による下落保護機能付きビットコイン投資ファンドを正式開始。5年満期で値上がり連動、金で元本保護を提供する新商品。
10:40
仮想通貨市場構造を定める「クラリティ法案」支持の条件は? 米民主党議員12名らが公開
米上院の民主党議員12名がクラリティ法案を支持する条件を公開した。CFTCへの追加権限付与、ステーブルコイン利回り禁止などを要求。トランプ大統領の仮想通貨事業を批判した。
10:23
暗号資産のデジタルウォレット、Bitget WalletとMetaMaskの機能比較と選び方
デジタルウォレットの特徴比較ページ。Bitget Walletは130以上のブロックチェーン対応、GetGas機能でUSDT/USDCでガス代支払い可能、3億ドル保護基金付きの次世代ウォレットです。MetaMaskとの詳細比較も紹介。
10:15
ハイパーリキッドが過去最高値更新、USDH提案で21チームが参加
人気DEXのハイパーリキッド(HYPE)が9日に55.04ドルで過去最高値を更新。USDHステーブルコイン提案にエテナやパクソスなど21チームが参加し注目を集めている。
08:30
世界2位のイーサリアム保有企業シャープリンク、自社株買いを開始
米シャープリンク社が9日、自社株買いプログラムの実行開始を発表。約36億ドル相当のイーサリアムを保有し、株主価値の長期的向上を目指す。
08:10
米Cboe取引所、ビットコインとイーサリアムの長期型先物を11月から開始予定
Cboeグローバルマーケッツが11月10日からビットコインとイーサリアムの継続先物取引開始を発表。10年満期で定期的なロールオーバー不要の新商品。
07:20
米国初のドージコインETF、木曜日上場予定 ビットワイズの申請は承認延期
レックス・シェアーズとオスプレー・ファンドのドージコインETF「DOJE」が木曜日に取引開始予定。一方でSECはビットワイズのドージコインETF承認を延期した。
06:25
メタプラネット、海外募集でビットコイン追加購入に1800億円超充当予定
メタプラネットが10日に海外募集による増資を決議した。調達資金2041億円のうち1800億円以上をビットコイン購入に充当し、トレジャリー戦略を強化する。
06:05
バイナンスがエテナUSDe導入を発表、2.8億ユーザー向けに報酬付き担保機能を提供
世界最大の仮想通貨取引所バイナンスがステーブルコインUSDeを全プラットフォームに統合。先物取引担保や報酬機能を提供し、資本効率向上を図る。
05:40
ジェミニが今週IPO予定、ナスダック投資報道を否定
ウィンクルボス兄弟創設のジェミニが今週金曜日にナスダックでIPO予定。ナスダックの5000万ドル投資報道は否定されたが、パートナーシップは継続。
09/09 火曜日
19:13
リップル社、BBVAとスペインで協業 仮想通貨保管を支援
BBVAスイスはRipple傘下Metacoの「Harmonize」を導入。高水準セキュリティとマルチチェーン対応でカストディサービスを強化。
18:08
イオレ、約160億円規模の資金調達でビットコイン購入とNeo Crypto Bank戦略を推進
イオレ社が約160億円の資金調達を発表し、全額をビットコイン購入に充当する。SBI証券を中心とする第三者割当増資で、Neo Crypto Bank戦略の展開を目指す。ビットコインの長期保有とレンディング事業で収益基盤を強化し、暗号資産を活用した分散型金融プラットフォームの構築に関する詳細は10月の戦略発表会で公開予定。
13:10
不正コード混入で仮想通貨オンチェーン送金にすり替えリスク、専門家指摘
ハッカーがNPM開発者アカウントを乗っ取り、週10億ダウンロードのライブラリに仮想通貨盗難コードを仕入込んだ。ウォレットアドレス置換による新たな攻撃手法が明らかに。
12:35
プーチン露大統領顧問が米国批判「仮想通貨を国家債務削減に利用」
ロシアのプーチン大統領顧問が米国のステーブルコイン戦略を批判した。国家債務を減少させるために金融ルールを変更していると主張している。
10:40
米初のチェーンリンクETF申請、ステーキング機能付き
グレースケールがSECにチェーンリンク現物ETFのS-1登録届出書を提出した。GLNK銘柄でNYSE Arcaに上場予定で、ステーキング機能による追加利回りも検討している。え

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧