中国の異例な報道
中国の主要公式メディア(新聞紙・ネット新聞・テレビ番組)が、暗号資産(仮想通貨)市場の強気相場について報じていたことが確認された。仮想通貨の取引を全面禁止する国としては異例となるメディア露出だ。
中国事情通のDovey Wanが当内容をSNSに掲載し、「中国メディアが、なんの目的でこのような組織的な取組みを取ったのか不明だ」とコメントした。
Hmm this is an interesting propaganda vibe from CCP’s official media outlets as “参考消息”, Xinhua and CCTV2
— Dovey 以德服人 Wan 🪐🦖 (@DoveyWan) September 25, 2020
the headline “cryptoasset is the best performing asset YTD” was featured on all avenues, news paper, online media and TV
It’s rare for such a coordinated effort pic.twitter.com/2g6VDsV5SE
具体的に、中国の政府系新聞紙「参考消息」や、新華社(ネット新聞)、CCTV2(テレビ)が、仮想通貨市場は今年において最もパフォーマンスの良い資産として報じた。
内容では、ブルームバーグの仮想通貨指数「Bloomberg Galaxy Crypto Index」を引用し、米ブルームバーグが報じた仮想通貨の全体パフォーマンスが株、ゴールド(金)や債権よりも年初来の上昇幅を超えていたことなど、幅広く取り上げた。
テレビ番組では、「仮想通貨市場の時価総額が3400億ドル超」や、「分散型金融への受け入れが改善」などの内容も放送された。
Dovey Wanはメディアの動きを受け、その「動機」や「理由」が理解しがたいと指摘。「国内では、為替市場へのコントロールを強化しているため、仮想通貨を間接的に宣伝することは本末転倒だ」、と言い、「しかも、デジタル人民元の普及のため、わざわざ仮想通貨を伝える必要もないだろう」と話した。
中国の中央銀行は国内の資産を外貨に流れないように米ドルなどの購入制限を設けており、FX市場をコントロールしている。仮想通貨の取引禁止もその政策の一環に該当すると見られている。
OTC取引業者で銀行口座凍結事例
昨日報じたように、中国の中央銀行(PBoC)が資金洗浄対策強化の一環として、一部の仮想通貨OTC業者の銀行口座やクレジットカードの利用を凍結していることが確認された。
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国内で取引所が禁止されているため、人民元からUSDT(テザー)などへ換金するための主要経路となるOTC取引は、中国の仮想通貨投資家を支える重要なゲートウェイだ。最新の動きでは、銀行の強化した資金洗浄対策を受け、複数のOTC業者は口座が凍結事例が確認されており、「3年以内銀行のカードを通じたOTCのトランザクションが禁止される」といった厳格な対策が講じられたという。
こういった状況に置かれる中国で、政府が運営するメディアがなぜ仮想通貨の大盛況を報じたのか、ますます不思議だ。