「デジタル・ユーロ」を商標登録申請
欧州中央銀行(ECB)が「デジタル・ユーロ」というサービスの商標登録の申請を行ったことがわかった。ブルームバーグが報道した。
9月22日付で、ドイツの企業Bock Legalを代理人として、欧州連合知的財産庁に申請した。
ECBが検討を進めている中銀発行デジタル通貨(CBDC)の名称と考えられる。尚、まだ承認はされていない。
申請情報によると、案件の分野としては4方面が登録されており、主に以下のような項目が記載されている。
(1)コンピューターのハードウェア、ソフトウェア等
オンラインでグローバルに電子的手段で商取引を実行したり、トークンの売買、管理、決済、ダウンロード、記録、管理を可能にするシステム。
(2)金融、貨幣、銀行サービス
クレジットカードおよびデビットカードサービス。支払い取引データの検証、分析、および評価。外国為替取引に関する財務情報。トークンの発行と償還。外国為替取引業務、暗号化プロトコルを組み込んだデジタル通貨またはデジタルトークンが、分散型プラットフォーム上で、商品やサービスの決済手段として、また様々な機能やブロックチェーンを構築・操作するために使用されるもの。
(3)プログラミングサービス
電子商取引用のソフトウェアに関連するプログラミングサービス。ブロックチェーンにおけるソフトウェア設計、開発、実装。コンサルタントが提供するアドバイスとサービスの提供。
(4)電子商取引の分野におけるユーザー認証サービス
通信回線上の電子商取引の分野におけるユーザー認証サービスの提供。
欧州連合は間もなくCBDCについての検討結果を発表
ユーロ圏はまだ、中央政府のデジタル通貨「デジタル・ユーロ」を発行するかどうかについて決定を下しているわけではない。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は先月10日のイベントで、現在欧州連合は「デジタル・ユーロ」の利点、リスク、運用上の課題などを調査しているところで、数週間以内に検討結果を発表し、公開協議を行うと語った。
銀行部門の空洞化や民間部門のソリューションの混雑など、CBDCを発行する上でのリスクなどの課題についても検討しているとみられる。
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プライバシー保護と法的順守について調査
ECBは2019年に、R3社、Accenture社と協力して、「中央銀行デジタル通貨における匿名性の調査」を実施している。
実証実験も実施し、R3社のブロックチェーンプラットフォームCordaを使用して、2つの仲介業者、中央銀行、マネーロンダリング防止(AML)機関という4つの関係機関のやり取りを設定し、資産転送を行った。
結果については、AML/CFT(資金洗浄・テロ資金調達対策)を行いつつ、ユーザーの身元情報や取引履歴などプライバシーを匿名に保つことができたと報告している。
中央銀行も民主主義の政権下で、取引仲介機関も、ユーザーの同意がなければ、そのプライベート情報を閲覧することはできない仕組みを徹底。ECBは、ユーザーのプライバシーを保護しつつ法的順守を行うシステムを開発することが可能であるとの結論を出した。
ただ、取引に関与していない関係者に見える情報の量を減らすことや、スケーラビリティが確認されていないなど課題も残ったとしている。
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欧州連合はこうした調査結果なども踏まえて課題を討議していると考えられる。しかし討議結果の公表より先に特許申請を行ったことからは、ECBのかなり前向きな姿勢が窺われる。