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「仮想通貨に法的根拠を」 アルゼンチンで法案提出へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨に法的根拠を与える法案

アルゼンチンで暗号資産(仮想通貨)に法的な枠組みを与え、その採用を促進する法案が提出されようとしていることが判明した。

この法案は、最年少議員の一人であるイグナシオ ・ トーレス氏が準備しているもので、地元メディアが入手した文書によると「仮想通貨の民間・商用取引および運用に適用される包括的な規制枠組みを構築することを目的」としている。

また、仮想通貨を支払い、貯蓄、投資の手段として、また個人や法人間の取引に使うものとして制度化することを目指すという。

採択されれば、銀行や企業も、仮想通貨を使用する選択肢を得られることに繋がる可能性がある。一例としては、銀行が仮想通貨カストディを行えるようになることだ。

トーレス議員は次のように語った。

私たちの目的は、金融資産としての仮想通貨を認識することだ。全体的な規制については、公共歳入連邦管理庁(AFIP)の権限であるため、今回の法案の役目として考えてはいない。しかし、他の国が持つような法律を持つということのコンセンサスを得たいと思う。

具体的な規制ルールを定められるものではないが、仮想通貨に法的な確実性を与えて、その分野で投資や雇用創出、開発スキームを促進するものだとした。

デジタル・ペソも発行可能に

この法案を作成するにあたって、トーレス議員はビットコインATMを提供するAthena Bitcoinの運営マネージャーであるエフライン・バラザ氏、フィンテック企業BithanのCEO、アルベルト・ベガ氏に相談したとしている。

ベガ氏によると、アルゼンチンの環境には問題があり、仮想通貨企業が理由もなく銀行口座を閉鎖されてしまうこともあるという。こうした恣意的なルールに危機感を抱いており、仮想通貨という新興技術について本格的に話し合うための議論の場が必要だという主旨を語った。

一方、バラザ氏は、この法律がもし採択されれば次のようなことが可能になると説明する。

  • 国家が法的基準に基づき、どの仮想通貨プロジェクトを承認するか決定できる。
  • 企業は、公開ブロックチェーンなど、ある法的基準を満たすビジネスモデルを持てる。
  • 仮想通貨セクター内の企業に出資しようとする国際的なベンチャーキャピタルが法的確実性を持てる。
  • 資産の保有を公的に宣言できる。

さらにバラザ氏は、米ドルを裏付けとする仮想通貨USDCがあるように、アルゼンチンの法定通貨ペソの電子表現として機能する仮想通貨の基礎を築くことも可能になるとした。

この法案の文面はすでに準備ができており、11日には財務情報ユニット(UIF)に提示され、その二日後には議会に提出される見込みだ。

資産保護手段としての仮想通貨

この法案作成の背景としては、アルゼンチンで仮想通貨取引が活発であることが考えられる。

アルゼンチンではインフレにより2019年に法定通貨ペソの価値が約40%減少した。貯蓄を守る手段として米ドル購入が盛んだが、政府はこれを抑制するため米ドル購入に35パーセントという高額の税金を課している。

この課税導入の報道があった9月には、アルゼンチンの仮想通貨市場では米ドルとペッグされたステーブルコインDAIの価格と取引高が急上昇。

アルゼンチンでは特にパンデミック以降、ビットコインの取引高も急激に増えており、P2Pのビットコイン取引所Paxfulがアルゼンチン人1113人を対象としたアンケート調査では、調査対象者の74%が仮想通貨は資産を保護するための最良の手段と答えた。

関連:アルゼンチンで米ドル購入に35%課税 仮想通貨に注目集まる

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