BitMEXに新CEO
暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEXの親会社100x Groupが、BitMEXのアーサーヘイズ元CEOの後継者として、新たなCEOを迎えることを発表した。同社は、米国司法省やCFTCによる告発を受け、一時的に事業継続が危ぶまれる状況にあったが、今後の事業に向けて新体制を整えた。
新たにCEOに任命されたAlexander Höptner氏は、21年1月1日よりCEOとしての役割を受け持つ。
Höptner氏は、ドイツの大手証券取引所「ドイツ取引所(Deutsche Börse AG)」傘下の仮想通貨関連子会社「Boerse Stuttgart Digital Ventures」でCEOとして務めた経験を持つ。100x Groupは公式声明で、「ドイツ取引所はHöptner氏のリーダーシップの下、ドイツおよびEUにおいて仮想通貨の取引サービスを提供する初めての伝統取引所となった」と紹介している。
同氏はTheBlockの取材で、米国での複数の法律訴訟についてコメントを控えたが、出来高の減少などの現状について、「現在BitMEXは他社と比べやや落ち着いてきているが、これまで培ってきたノウハウや能力を活用し顧客やパートナーのニーズに応えていきたい」、と話した。
また、「Höptner氏を起用することで、BitMEXはより広いビジョンを展開していく」としているため、仮想通貨デリバティブ以外のプロダクトにも着目する可能性がある。
具体的な事業プランを明かしていないが、同氏はブロックチェーン基盤の伝統デリバティブを提供することも事業にあると言及した。伝統デリバティブは仮想通貨以外の金融デリバティブを意味し、それらの金融商品をトークン化する仕組みになる。
縮小するBitMEXのOI
2019年に全盛にあったBitMEXは、2020年3月のコロナ・ショック時に取引所サービスが停止したことや、米司法省の告発および強化されたKYC体制を受け、顧客離れが加速。
ビットコイン先物未決済建玉(OI)の市場占有率は、2019年9月の40%から、2020年11月の11%まで縮小した。
一方、主に機関投資家が利用する大手CMEのOI規模は依然として最大級にある。
関連:仮想通貨バブルからビットコインが成長した点は──米ブルームバーグが5つ指摘
BitMEXは20年10月2日、米司法省(DOJ)と米商品先物取引委員会(CFTC)より、銀行秘密法(BSA)などの「米国法逃れ」だとして告発された経緯がある。この影響で、カリスマと謳われたアーサー・ヘイズ元CEOや、CTOを含む人物が役職から解任され、新体制が発足している。