仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
暗号資産(仮想通貨)市場では、16日22時すぎにビットコインが大台の2万ドルを突破。 その後17日にかけて、22,000ドルを超えるまで騰勢を強めた。奇しくも、3年前の仮想通貨バブルで当時の最高値を記録したのは、17年12月17日である。
11月下旬に19,500ドルを付けた際、そのまま調整挟まず2万ドルを超えた場合には大きな反落も予想されたが、12月上旬の19,800ドルからの大幅下落を含め、2度に渡る調整が相場のアク抜けとなった。大口の利確による売り圧力を分散させたか。
3年前は、誰もが認める仮想通貨バブルであったが、今回は様相が異なるとの指摘も少なくない。「あぶく銭」という言葉にもあるように、バブルとは資産価格が、投機によって実体経済から大幅にかけ離れて高騰する状況を指す。
しかし、今回は証拠金(レバレッジ)取引主導の一過性の上昇ではなく、地に足ついた機関投資家による現物保有需要と、コロナ禍に伴う金融緩和マネーの流入が著しい。そのような状況下において、米決済大手PayPalや米国で主流の株式・仮想通貨投資アプリ「ロビンフッド」、米決済大手SquareのCash Appアプリなどのリテール買い、CME先物及びグレースケールの投資信託を介した機関投資家の買いが需給好転に拍車をかける。
足元の過熱感はあるものの、ここ数ヶ月の直近相場におけるデリバティブ取引所の資金調達率(Funding Rate)は、過去の強気相場と比較して沈静化、ショートポジションの増加と踏み上げ相場を示唆していた。
機関投資家の増加と少ない資金を元手に高レバレッジ運用を好む個人投資家の相対的な減少は、狼狽売りを助長するボラティリティ(市場変動性)低下に寄与している可能性があり、Googleトレンド推移など一般関心度からも、かつての仮想通貨バブル時の熱狂にはほど遠い状況が見て取れる。
これらのファクターからも、直ちに「バブル崩壊」というような事態が訪れることは考えにくい。
関心集まるビットコインの代替資産性
20年5月に4年に1度の「半減期」を迎え、市場供給が半減するなか、インフレを懸念する上場企業によるオルタナティブ資産としての大量保有事例も相次ぐ。米ドルなど法定通貨のインフレーションは、中央政府の量的緩和による紙幣の大量増刷に起因するもので、世界経済の下支えを最優先に置いていることから、日本円も例外ではない。
FRB(米連邦準備制度)は、量的緩和での国債買い入れのほか、「ゼロ金利政策」を23年末まで続行する見通しを示している。これにより、株式市場は実体経済と乖離した官製相場の様相を呈しているが、歴史的な量的緩和に伴うインフレーションで物価が上昇すれば、相対的に現金(預貯金)の価値が目減りする懸念がある。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、コロナ終息の目処が立つまで大規模な金融緩和を通じた経済支援の継続を表明したほか、パウエル議長も「ゼロ金利政策」を続ける強力なフォワードガイダンスを改めて確認し、債権など資産購入の新指針も示している。
同議長は景気判断について、新型コロナの感染拡大がつづく現在、依然として厳しい状況にあるとの見解を示し、「金融当局として、今後もあらゆる手段を講じて経済支援する」ことを表明した。
アルトコインも全面高
ビットコイン高値更新を受け、国内に上場するメジャーアルトも物色されている。
XRP(リップル)保有者に対するSparkトークンの権利確定日を12日に終え、続落していたしていたXRP(リップル)は、45円台から58円台まで大幅反発した。
関連:Flare Network、XRP(リップル)保有者へのSparkトークンスナップショット完了を報告時価総額最大のアルトコインである(イーサリアム)ETHは、年初来高値を更新して650ドルを記録。前日比10%高、前月比33%高、年初来では350%高とビットコインを超えるパフォーマンスを見せてきた。その一方、過去最高値2万ドルを塗り替えたビットコインと比較すると、イーサリアム価格の最高値は18年1月13日に記録した1420ドルであり、年初来で大きく価格を伸ばした現在でさえ、ピーク時の半分未満にすぎない。
現在50円前後を推移するXRPの過去最高値は400円超、20円台を推移するXEMの過去最高値は200円超となっており、アルト市場における下落トレンド時の資金抜けの激しさを物語っている。
イーサリアム価格の高騰は、CMEが「イーサリアム先物」取引を21年2月上旬にローンチすることが判明したことも後押しした。グレイスケールの投資信託イーサリアムトラスト(ETHE)が、SEC(米証券取引委員会)の報告会社「Reporting Company」に正式登録されたことも含め、潤沢な資金力を有する機関投資家のゲートウェイとなることが期待される。
DeFi(分散型金融)をはじめ、dApps(分散型アプリ)、NFT市場の活性化、次世代チェーンであるETH2.0の進展なども見込めることから、イーサリアムが今後もアルト市場をけん引することが予想される。DeFi Pulseのデータによれば、DeFiに預け入れられた仮想通貨の総価値を示すTVLは右肩上がりの成長を遂げ、157億ドル(1.6兆円)を上回った。
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海外アナリストのyTedd(@TeddyCleps)氏が指摘するように、ETHチャートはペナントを上放れ勢い付いており、830ドル付近まで主要な上値抵抗線が見当たらないなど、テクニカル面も良好といえそうだ。その反面、過熱するビットコインに再び調整局面が訪れた場合は、大きく連れ安となる可能性があるため注意したい。
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