クリプトアセット事業が大幅な収益増
暗号資産取引所コインチェックを傘下に収めるマネックスグループは、2021年第3四半期の決算を発表した。2021年のQ1からQ3における累計の連結税引前利益は89.4億円と、前年同期比で約2.9倍となった。
特にクリプトアセット事業が成長し、利益貢献度としては日本セグメント(38%)を抜き全体の40%を占めた。セグメント利益としては第3四半期単期で24.2億円となり前期比で3.3倍を記録、グループ入り後として最高益を更新した。
決算説明会では、取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本 大氏によって、コインチェックはリップル社のインセンティブプログラムに参加していない旨、コインチェックがIPOをするべきという方針に変わりないことなどが語られた。
暗号資産への取り組み
コインチェックにおいては取引所運営をコア事業とし、バーチャル株主総会支援事業やIEO、NFTマーケット、ステーキングサービスなどを展開している。
暗号資産市場が「非常に好況」だったことにより、販売所取引、特にアルトコインの取引が活況となったとし、トレーディング収益はQ1~Q3で163%増加、前四半期比では133%のプラスとなった。
コインチェックはアプリダウンロード数と取り扱い通貨数では国内トップと維持しており、今後は固定費抑制や新規事業の開発により相場低迷時にも利益を確保できる体制を整えるとしている。
また、新規事業であるNFT交換サービス提供については、松本CEOからの今年中に始めていくとするコメントに留まった。
来期からより強化
なお、来期からは、累計純利益の一部をコインチェックの旧株主に支払うアーンアウト条項が終了し、コインチェックの利益は全額がマネックスグループに帰属するという。
コインチェックのIPOについて松本CEOは、取引所は銀行のレギュレーションに近づいていくため、強い資本を獲得するべきという当初の考えに変更はないとした。
また、仮想通貨ETFについて松本CEOは、日本の法制度では現状では難しいとしながらも、常に視野に入れているとした。
そのほか、マネックスグループには米国セグメントにて投資教育メディアや暗号資産交換サービスを提供するTradeStation Crypto(TCI)が存在しており、TCIは当四半期で約200万ドル(約2億円)の収益となっている。
関連:コインチェック、3年ぶりのCM再開に込めた想いを明かす
ブロックチェーン関連への取り組み
そのほか、マネックス証券が新たに始めるESGファンドにおいて、環境へのインパクト計測等でブロックチェーン技術を活用することが言及された。
また、共同出資を行うヘルスケアテック企業「ジーネックス」ではブロックチェーンを活用したヘルスケア関連のデータプラットフォームを構築する。
プラットフォーム上のデータは製薬などに提供され、利益をデータ提供者に還元する仕組みが構築されている。