完全に規制された仮想通貨・デジタル証券業界誕生へ
スイスでブロックチェーンを促進する法律「分散型台帳関連法(DLT法)」の第一段階が2月1日より施行された。
DLT法は今回の会社法改正と、8月初旬に予定される金融市場インフラの更新という2つの段階で実施されることになる。これにより、スイスに完全に規制された暗号資産(仮想通貨)およびデジタル証券業界が開かれる。
会社法改正では、3社(SEBA銀行、Sygnum銀行、Crypto Finance)が新たにデジタル証券発行を開始した。
昨年末に投資家から2,000万スイスフラン(約23億円)を調達した仮想通貨銀行SEBAは、その調達ラウンドへの参加証明書をブロックチェーン上でトークン化。このイーサリアムERC20トークンは、デジタル市場で取引できるよう設計されている。
SEBAのHans Kuhn取締役は、次のように述べる。
DLT法により、スイスは、ブロックチェーン上でデジタル証券の発行を完全にサポートする、世界で最も革新的な管轄区域の1つであることを再認識させる。
ワインやダイヤモンドの所有権を分割できるトークン
仮想通貨銀行Sygnumは、昨年ローンチしたトークン化プラットフォーム「Desygnate」でFine Wine Capitalのプレミアムワインをトークン化するなど、新たな取り組みを行なっている。
このトークンは、アート・収集品の投資分野におけるSygnumの最初の資産トークンオファリングともなった。2月1日よりすべてのSygnum顧客が、Fine Wineトークンの購入を行える。
Sygnumのプレスリリースによれば、プレミアムワイン、ファインアート、ダイヤモンドなどの高成長する実物資産への投資は、流動性が低く、アクセスが難しいことが多い。この点、Sygnumのトークン化ソリューションにより、所有権を分割可能にすることで手ごろな価格から投資できるようになる。また取引も便利になり、より広い投資機会が生まれるという。
Fine WineCapitalの共同創設者Alexandre Challand氏は次のように説明した。
ワイン資産のトークン化により、投資家層を、実物資産の分割所有権に関心のある新たな個人投資家や機関投資家に拡大することができる。これは投資家に、こうした資産を効率的に保有、取引、決済する機会を提供するものだ。
尚、Sygnumは昨年12月に、イーサリアムのブロックチェーンを使用して自社株式をトークン化している。このトークン化された株式を、スイスとシンガポールで上場させることを目指しているという。
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また昨年10億スイスフラン以上の取引を処理した証券会社CryptoFinanceは、スイスの金融規制当局FINMAから仮想通貨仲介業部門のライセンスを取得。
同社顧客はデジタル株式やトークン化された不動産、高級品、収集品などの新しい種類のデジタル証券を取引できるようになった。
8月に予定されているスイスのDLT法の二段階目では、スイスの金融市場インフラストラクチャの大幅な更新が行われる見込み。デジタル証券の取引やその他の仮想通貨取引に法的な支援を与えるものとなる。