Jelurida Africaのコメント
今月5日にナイジェリア中央銀行(CBN)が、国内金融機関に対して、仮想通貨関連のサービス禁止を通告した件に関して、ブロックチェーン開発企業ジェルリダのアフリカ支部であり、ナイジェリアの最大都市ラゴスを拠点とするジェルリダ・アフリカ(Jelurida Africa)の代表、Adedayo Adebajo氏が、以下の見解を発表した。
CBNの仮想通貨禁止令は脅威であり、ブロックチェーン関連のフィンテック組織が遂げる絶え間ない発展に、難題を突きつけるかもしれない。しかしそれは、まるで段ボール紙で大海の流れを止めようとしているかのように、一時的なものに過ぎない。現在様々な取引が、P2Pという新たな方法で実現され、あらゆる手段が登場している。ナイジェリアを初めとした国で、このような状況に対抗するには、問題から遠ざかっていくのではなく、直接的に当事者として関与しながら、規則を作っていくことが最善の方法だ。
政府が雇用政策に失敗したナイジェリアでは、生計を立てることが最優先事項であるため、国民の多くが仮想通貨分野と関わりを持っている。仮想通貨を禁止することは、人々の食事を禁止するのと同程度の効果しか発揮しない。つまり、不可能だ。人々が予期している以上の波及効果があるかもしれないが、それ以上のことは起きないだろう。
ジェルリダ・アフリカとは
ジェルリダ・アフリカとは、アーダーブロックチェーン開発などで知られる、スイスのブロックチェーン開発企業ジェルリダのアフリカ支部だ。分散型台帳技術普及およびスマートコントラクトの専門家で構成され、アフリカでのブロックチェーン技術促進をミッションに、コンサルティング、教育およびプロダクト開発支援など、幅広い分野で活動している。
このような活動の一環として、ジェルリダ・アフリカは、アフリカ拠点の起業家や開発者の育成を目的としたABDC(Africa Blockchain Dev Call)プログラムを開催。3月には、「タンザニア・ブロックチェーン・ミートアップ 」と題した、教育目的のミートアップを主催する予定だ。
ジェルリダの共同創設者Lior Yaffe氏曰く、ジェルリダがアフリカに拠点を置き、アフリカ基盤のプロジェクトをサポートしているのは、同地域の金融サービスの少なさ、および透明性への需要増加が理由だという。このようなケースは、分散型台帳技術の最適なユースケースであると、同氏は述べている。
ナイジェリアの仮想通貨事情
アフリカの経済を牽引するナイジェリアは、仮想通貨普及率が高いことで知られている。20年9月に実施されたChainalysisの調査によると、ナイジェリアは仮想通貨普及率で、世界第8位に位置している。
その存在感はアフリカのみならず、世界中に拡大しており、19年には大手仮想通貨取引所バイナンスが、同取引所初となる法定通貨建ての取引ペアに、ナイジェリアの法定通貨ナイラを採用している。また20年には、ナイジェリア拠点のスタートアップ「Xend Finance」が、世界で初めて信用組合向けの分散型金融(DeFi)プラットフォームを開発するなど、仮想通貨の利用だけでなく、開発面でもその勢いを増している。
この動向は、20年10月にナイジェリア国内で勃興した、ナイジェリア警察特殊部隊(SARS)の暴力行為に対する抗議運動「EndSARS」により加速している。この抗議活動の過程で、資金調達および寄付金受け入れに利用されていた決済プラットフォームが、CBNによって閉鎖。この措置を受け抗議者側は、ビットコイン(BTC)で寄付の受付を開始した。
この件に関して、TwitterのCEO、Jack Dorsey氏もビットコインでの寄付を呼びかけていた。
Donate via #Bitcoin to help #EndSARS 🇳🇬 https://t.co/kf305SFXze
— jack (@jack) October 14, 2020
このような国内での仮想通貨情勢に鑑みて、ナイジェリア政府は、経済の多様化を目指し、国家戦略としてブロックチェーン技術を導入する指針を発表している。また、ナイジェリア証券取引委員会(SEC)も20年9月に、投資家保護を目的として、デジタル資産全般の規制に乗り出している。
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CBNの仮想通貨サービス禁止令
ナイジェリアでの仮想通貨人気に逆行するかのように、CBNは2月5日に、国内の金融機関に対して回覧文書を発表。国内で仮想通貨関連の銀行口座サービスが禁止されていることを理由に、即座に対象銀行口座の閉鎖を命じている。今回の文書にてCBNは、17年および18年に同組織が出した回覧文書に言及し、今回の通達は、仮想通貨に新たな制限を儲けるためのものではなく、銀行の仮想通貨取扱いは、17年1月時点で既に禁止されていたと強調した。
CBNは、この声明を発表した2日後に、追加の文書を公開。中国など他国も仮想通貨送金に制限をかけていることや、資金洗浄およびテロ資金供与など犯罪の温床となるリスクがあることを理由に、当初の回覧文書の正当性を主張した。
CBNの文書に関して、国内の政治家からも多くの反発の声が上がっており、ナイジェリア上院議会は、CBNに説明を求めている。またこの影響を受け、ナイジェリア証券取引委員会の仮想通貨規制案も保留になっている。
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