グレースケールもビットコインETF申請を狙うか
米最大手暗号資産(仮想通貨)投資企業のグレースケールがビットコインETF(上場投資信託)の申請を目論んでいるようだ。最新の求人内容から、方針が示唆されている。
グレースケールは10日、SNSに求人情報を投稿。ETFに関連する9つのポジションの募集を開示した。求人には、ETF関連の専門家やETF市場参加者関係マネージャー、ETFコンプライアンス責任者などがある。
Thinking about a career in #crypto?! We're hiring!https://t.co/j9VVt7x5FZ
— Grayscale (@Grayscale) March 9, 2021
ETFマーケットメイカー関係マネージャーのポジションでは、米国のFINRAやSEC、NYSEやCBOEなど規制当局や取引所に対応した経験のあることを条件とする。
グレースケールの思惑
グレースケールはこれまで、ビットコインやイーサリアムなど複数銘柄の投資信託を提供してきたが、ビットコインETFの提供に関する示唆は今回が初めて。タイミング的には、GBTCとETHEにおける「マイナス乖離」が発生していることがポイントとなる。
関連:グレースケール投信の「マイナス乖離」が過去最低の-10%台に、ビットコイン市場に及ぼす影響は?
GBTCやETHEはこれまで、取引価格のプラス乖離(プレミアム)が長期間にわたって継続していたが、2月末よりマイナス乖離に転換(今もマイナス)。これまで、特に2020年下半期からの上昇トレンドを背景に、機関投資家からの資金流入規模とOTCで取引する個人投資家の需要が拡大していたため、プレミアムを維持してきたが、直近の市場環境を受け、プレミアムはマイナスに転じた。
ここ数週間は、カナダにはビットコインETFが2つも誕生したことから、様々な選択肢が増えた関係で、GBTCから資金を移されている見方も散見されている。
グレースケールはGBTCのマイナス乖離やカナダのビットコインETFの台頭を懸念し、ビットコインETFの申請準備に備え関連求人を出すことに踏み出した可能性も指摘される。また、現在米国にはビットコインETFが存在せず、VanEckやNYDIGなどが新たに申請を行っているが、グレースケールは他の企業よりもビットコインに関連する投資運用に長けているため、ETFが承認される確率がより高まるといった考えもありそうだ。