xDaiサポートでガス代高騰に対処
イーサリアムブロックチェーンを基盤に、分散型VPNサービスを提供しているオーキッド(Orchid)が、高騰するイーサリアムのガス代への対処を目的に、xDaiチェーンのサポートを開始。これにより、オーキッドのVPNサービス利用に必要なアカウント作成が、1ドル(約100円)から可能になる。
オーキッドのサービスを利用するには、帯域幅プロバイダーおよびユーザー共に、アカウントを開設し、アカウント内でOXTを保有する必要がある。OXTとは、ネットワーク内で経済的インセンティブとして機能している、オーキッドの独自トークンだ。アカウント開設に必要なコストは、イーサリアム(ETH)価格、ガス代、およびOXT価格によって変動するが、現在は185OXT(約1万3,600円)の保有が推奨されている。
xDaiに対応することにより、このコストが最小で1ドルにまで大幅に減少。アカウント開設コスト、すなわち新規参入コストが削減されることにより、新規ユーザーが増えるのではないかと期待されている。
一方でxDaiのサポート開始以降も、オーキッドのVPNプラットフォーム設計は、従来のものと全く同様であり、ピアツーピアで行われるサービス利用料の支払いに、オーキッド独自のL2ソリューション「確率的ナノペイメント」が利用されている点や、帯域幅プロバイダーがOXTをステークする必要がある点などに変更はない。
開発背景
今回オーキッドがxDai対応に至った背景には、オーキッドが構築されているイーサリアムネットワークの、ガス代高騰問題が存在している。ガス代が高騰したことにより、オーキッドのVPNサービス価格にも影響が出ている。
20年夏以降、イーサリアムブロックチェーンでは、分散型金融(DeFi)プロジェクト数、トランザクション数、およびユーザー数が激増。イーサリアムでは、手数料の高いトランザクションから優先的にブロックに取り込まれる仕組みになっているため、トランザクション数が増えるにつれて競争が激化し、結果的にガス代が高騰している。
オーキッドは、xDaiをはじめEVM(イーサリアム仮想マシン)と互換性のあるチェーンをサポートし、ブロックチェーンインフラを拡充することにより、この課題に対応していくという。
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xDaiチェーンとは
オーキッドがサポートを発表したxDaiチェーンとは、高速かつ低コストのトランザクションを特徴としたブロックチェーンで、イーサリアムおよびMakerDAOのDaiステーブルコインと互換性を持つように設計されている。バリデーター、およびバリデーターを選出するデリゲーターから構成される、POSDAOと呼ばれる一種のPoS(Proof-of-Stake)メカニズムをコンセンサス形成に採用することにより、平均5秒かつ500トランザクションあたり0.01ドル(約1円)で、トランザクションを完了することができる。
xDaiチェーンのネイティブトークン「xDai」は、MakerDAOのステーブルコイン「Dai」にペッグされているステーブルコインだ。Dai自体が米ドルにペッグされているため、xDaiも間接的に米ドルにペッグされていることになる。Token Bridgeと呼ばれるxDaiのブリッジ機能(あるチェーンにある通貨を他のチェーンに持ち込む機能)を利用することにより、イーサリアム上で発行されるDaiを、xDaiチェーン上のxDaiに変換可能だ。