CoinPostで今最も読まれています

データで紐解く、バイナンス・スマートチェーンの台頭とBNB高騰の背景

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

データで紐解くBSC

DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)への関心が高まる中、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスが手がけるバイナンス・スマートチェーン(BSC)の出来高とユーザー数急増がデータから鮮明となった。DeFi領域のデータ分析サイトDappRadar社が調査を行い、データからBSCの人気を紐解く。

バイナンス・スマートチェーン(BSC)は、仮想通貨取引所バイナンスが2020年9月にローンチしたブロックチェーン。イーサリアム仮想マシン(EVM)を導入していることからスマートコントラクト機能が導入されており、dApps(分散型アプリ)やネイティブトークン「BNB」のステーキングなどができることから、DeFi(分散型金融)プラットフォームとして活用が拡がっている。

DappRadarの分析では、21年2月においてBSCの取引量は7,450億ドル(約81兆円)を記録、ユニーク・アクティブウォレット数も2月の1ヶ月だけで30,000から108,000まで266%増加した。対照的にイーサリアムのユニーク・アクティブウォレット数は67,000まで減少したという。

(ピンク:BSC、青:ETH、赤:ThunderCore、緑:Flow、紫:WAX)

出典:DappRadar

また、下記の図を見ると、2021年に入り、BSCの取引量が急激に増加したことが伺える。

出典:DappRadar

バイナンススマートチェーン台頭の要因

バイナンススマートチェーンの人気上昇の要因としてDappRadarは「ETHより安い取引手数料」と「1億ドルの新規プロジェクト用ファンド」の存在を挙げた。

DeFi領域で主に利用されてきた時価総額2位のイーサリアム(ETH)はNFT(非代替性)ブームも重なり、取引手数料の高騰が取り沙汰されてきた。対照的にBNBはイーサリアムの10分の1の手数料が抑えられるなどのメリットがあるとDappRadarは指摘。

さらに有望な新規プロジェクトには1万ドル(約110万円)の支援や、バイナンスで上場する機会があることがプロジェクトを誘致するきっかけになったと分析した。

事実、dAppsを提供するバイナンススマートチェーンでは、DeFi関連のプロジェクトが大半を占める状況が発生している。2月には90以上のdAppsがBSCでローンチされたが、約80%がDeFi関連だった。

(青:DeFi関連、ピンク:その他)

出典:DappRadar

数多くのプロジェクトの中でも、2021年2月にはDeFi関連のdAppsでもVenusとAutofarmが全体の取引量の97%を占めたという。Venusは2月だけで4,000億ドル(約4.4兆円)の出来高を記録した。

中央集権的な側面を批判する声も

安い取引手数料の反面、BSCがバイナンス主導で動くプロジェクトであるため一部では中央集権的な側面を批判する声もある。しかしバイナンスCEOのCZ氏は先週改めて「段階的に分散化」する姿勢を示し、分散化(Decentralization)はユーザーが重視する「低い手数料、早いトランザクションと自由」を実現するための一つの手段であると強調していた。

仮想通貨BNBも時価総額TOP5に浮上

バイナンススマートチェーン(BSC)の台頭に伴い、担保通貨として頻繁にロックされる仮想通貨バイナンスコイン(BNB)の価格も急騰。2021年初めには37ドル(約4,000円)から現在250ドル(約27,000円)台を推移するなど、年間騰落率は564%を記録している。

時価総額ランキングでも仮想通貨XRP(リップル)を抑え、上位4位以内に浮上した。

出典:CoinMarketCap

時価総額で見てもBNBのドミナンス(市場占有率)は年初の0.7%から一時は3.0%まで急増、執筆時点では仮想通貨市場の2.3%の時価総額を占めるまでに発展した。またETHとBNBの時価総額を可視化する下記のチャートでは、2021年に入りイーサリアムの時価総額との差が縮まっていることも伺える。

出典:DappRadar

ローンチから半年弱のバイナンススマートチェーンの動向はバイナンスコインの実需を示す。BSC基盤の大手分散型取引所である「パンケーキスワップ」における流動性マイニング需要では、入手可能なPancakeSwap(CAKE)高騰に伴い通貨ペア先となるBNBが大量ロックアップされており、需給面からもBNBの購入動機・高騰へとつながっている。

関連:DeFi相場高騰の火付け役、イールドファーミングでは何が起こったのか|特徴と熱狂の理由を解説

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
09:45
3兆円運用の米ミシガン州の退職年金基金、10億円以上のビットコイン現物ETF保有
仮想通貨ビットコインの現物ETFに対する米国の年金基金からの需要は増加傾向にある。運用資産総額3兆円に相当するミシガン州の退職年金はウィスコンシン州とニュージャージー州のジャージー市の年金基金に続き、ビットコインETFの株を保有していることを報告した。
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア