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FATFの仮想通貨ガイダンス修正案に大きな問題点か、米業界団体が指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FATFガイダンス修正案に異議を唱える

金融活動作業部会(FATF)が発表した暗号資産(仮想通貨)ガイダンスの最新更新案には、これまでの世界的なコンセンサスを覆す問題点が多く含まれると、米ワシントンDCに拠点を置く仮想通貨業界団体、コインセンター(Coin Center)が警鐘を鳴らした。

コインセンターのPeter Van Valkenburgh研究部長は、この修正案にはプライバシーとイノベーションの観点から問題があると主張している。

コインセンターは仮想通貨/ブロックチェーン関連の政策・規制問題に特化した研究と権利擁護活動を行っている非営利団体で、2014年に設立。政策立案者に向け、仮想通貨関連技術に関する平易な解説書の発行や、個別のミーティングやブリーフィングを通した教育活動を行う。さらに、「革新の自由を維持しつつ規制目的を達成できるような」政策策定の支援、並びに解決策に基づいた法制化を目指し、ロビー活動を展開している。

仮想通貨とVASPに対するガイダンス

コインセンターが問題視しているのは、FATFが先週公開した「仮想資産と仮想資産サービスプロバイダー(VASP)に対するリスクベースアプローチへのガイダンス」の最新草案。このガイダンスは2015年に初めて発表され、2019年に更新されたが、今回、その2019年版をさらに修正する草案が提出された。

Van Valkenburgh氏によると、2019年のガイダンスは、「大規模な令状なしの監視」を求めているものの、少なくとも、2013年以降実施されてきた、米国の銀行秘密法及び財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の政策に基づいた体制に準じるものだったという。

しかし、今回の修正案は、そのような既存の枠を大きく変更したため、少なくとも三つの点で問題があると指摘した。

1.非カストディ事業体への監視義務

まず、新ガイダンス案では、VASPの定義を拡大し、スマートコントラクトやレイヤー2技術の参加者を含むネットワーク参加者にまで監視義務を課すことを提唱。その場合、分散型取引所のソフト開発者やコントラクト参加者、またライトニングネットワークのノード運営者までも対象となる可能性があるという。

この条項が最終決定された場合、FinCENの方針でもあり、世界的なコンセンサスとしてコインセンターが支持してきた「顧客の資金を独立して管理する者=規制対象の送金業者」の定義を根本から覆すことになるという。

VASPに分類されると、規制当局に登録し、自身及び他者の活動情報を政府機関に報告し、さらに取引相手全ての身元を把握する義務を負うことになる。つまり、オープンネットワークに参加する個人にも、銀行などの金融機関と同様の義務を課すことになる。Van Valkenburgh氏は、このような義務は個人にとっては「全くもって不適切」であり、大量のデータ収集は個人のプライバシーの侵害であり、令状なしの監視に対する憲法上の権利に反すると強調した。

2.P2P取引やプライバシー向上技術の精査

新ガイダンス案は暗にP2P取引や、Taprootや Zcash、Moneroなどのプライバシー向上技術に反対しているとコインセンターは指摘。ガイダンスでは、規制対象外である「非ホスト型」ウォレット(個人ウォレット)へのサポートをVASPは制限するべきだと主張している。さらに、新たなプロトコル開発者に、プライベートな取引やP2P取引の利用を制限するような設計を行うように求めている。

3.顧客の取引相手の識別

新ガイダンス案ではVASPの全ての取引をトラベル・ルールの記録保持義務の対象とすることを推奨している。つまり、取引所などのVASPは顧客が誰に送金をし、誰から送金されているかという情報を収集する義務が生じることになる。一方、現行の米国法では、トラベル・ルールが適用されるのは規制対象となっている企業間の取引のみ。

トラベル・ルールとは、資金洗浄等防止のため国際的な電信送金に関するルールで、仮想通貨取引所などのサービス・プロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することも求められる。

対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的なKYCルールが適用されることになる。

利害関係者が取るべき行動

FATFはG7を含む36の国と地域、および2つの国際機関が参加する政府間機関。資金洗浄対策やテロ資金対策などにおける国際的な協調指導、協力推進などを行う。

FATFが示すガイドラインや勧告自体には法的拘束力はないが、加盟国に対し相互審査を行い、資金洗浄やテロ資金供与対策におけるハイリスク・非協力国リストを公開するため、加盟国に対し外交的かつ経済的に、多大な影響力を持っている。

FATFは民主的に選ばれた機関ではないため、一般市民の意見を考慮したり、プライバシー問題などに関して法的な説明責任を負うことはないが、4月20日までは、新ガイダンス案に対するパブリックコメントを受け付けているため、コインセンターは、一般にも広くコメントを提出することを呼びかけている。

ここで取り上げた草案は、まだ承認されておらず、FATFのメンバーがこの夏の会議でさらに修正を加えていく予定であるため、このガイダンスを改善する余地は残されているとVan Valkenburgh氏は訴える。さらに、問題があると判断した勧告に対しては、加盟国が実施に反対の意を表明するという手段も残されていると付け加えた。

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