「社会的に意義あるNFTの作成も可能」
暗号資産(仮想通貨)イーサリアムの共同創設者Vitalik Buterin氏が、NFT(非代替性トークン)の価値について公式ブログで意見している。「すでに裕福な著名人」がさらにお金を稼ぐために使うのではなく、より社会的価値の高い方向性を持つNFTを作成していくことが可能だとした。
この背景には、最近のNFT分野の隆盛がある。NFT(非代替性トークン)とは、各トークンが分割不可能で固有の価値を持つトークンのこと。ゲーム内アイテムやデジタルアート、アイドルやスポーツ選手のデジタルカードなどの形で流通を始めている。
先日、デジタルアーティストBeepleの作品が世界的オークションハウス「クリスティーズ」において約75億円(ETH)という高額で落札されたことも話題を呼んだ。(のちに現金化)
また、Twitter社のCEO、Jack Dorsey氏がプラットフォームで一番最初に投稿されたツイートをNFT化し、約3.1億円で落札された事例もある。
NFTは、現在イーサリアムによって構築される事例が多数を占めており、そのこともあってButerin氏はブログのトピックに取り上げたとみられる。
Buterin氏は、イーサリアムの外部で生成された何か価値あるものによって、公共の財産を支援することができれば、イーサリアムのエコシステム自体を超えた意義を持つと主張。これを可能にするのがNFTであり、NFTは、多くの種類の公共財産、特にクリエイティブなものが、慢性的に資金不足に悩まされている状況を改善することに役立つ可能性があるとした。
また、NFTは社会に大きなチャンスを提供するものだが、同時に課題も抱えていると説明。「NFTが、すでに裕福なセレブリティを中心としたカジノになってしまうのであれば、それは非常につまらなくなるだろう」と述べ、もっと意義のある方向に持って行くこともできると論じた。
2つのアイデア
Buterin氏によれば、NFTの主要な価値は、(一)そのNFTを持っていることを誇れること、所有権を自慢できること、(二)将来他の人に売却できる可能性があることの二つである。
このためには購入したNFTの価値が、他の人からも正当だと認められることが非常に重要だという。そして、アーティストやチャリティ団体などへ資金を提供する道を開くことに人々が価値を見出すようにできれば、NFTは社会的意義を持てるという趣旨で議論を続けた。
Buterin氏は、そうしたNFTプロジェクトのアイデアを二つ挙げている。
まず、収益の一部を慈善活動に使うことを保証しつつ、NFTを発行することだ。そうすると世界の貧困救済、科学研究、創造的な芸術、ローカルジャーナリズム、オープンソースソフトウェアの開発など、様々な活動を支援することができるようになる。
もう一つのアイデアは、ソーシャルメディアと連携して、NFTを人々のプロフィールに表示することだ。NFT購入者が、自分の稼いだお金を、自分の信じる価値に実際に捧げたことを示すことが可能となる。これにより、社会的に価値のある活動に貢献するNFTに、ユーザーの注目を集めることにも繋がるという。
NFTに対する認知度は、現在急速に高まりつつある状況だ。コインチェックやCrypto.comなどがNFTのプラットフォームやマーケットプレイスを立ち上げており、独自のNFTを発行する団体や個人も相次いでいる。(GoogleTrends)
この先Buterin氏が議論するような公共の価値とも結びつくNFTが増えれば、NFTに対する社会の評価をより高めていける可能性もありそうだ。