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分散型金融の将来と既存金融への影響をSECコミッショナー等が議論|Forkast寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DeFiの影響と規制の在り方

「20年におけるブロックチェーン界隈で最もホットなトレンドだったDeFi(分散型金融)は今後どうなるのか、そして伝統的な銀行や中央集権的な金融の世界にとって何を意味するのか」

3月22~25日に国際決済銀行(Bank for International Settlements)が主催したグローバルサミット「BIS Innovation Summit 2021」で、業界の専門家たちがこの問いにそれぞれの見地から回答しました。

米SEC(証券取引委員会)や世界経済フォーラム(WEF)、ブロックチェーン企業のConsenSysやUSDコイン(USDC)を手がけるCentre社など豪華パネルが集結。DeFiのもたらす影響と規制当局の取るべき対応を解説しました。

DeFiはパラダイムシフトをもたらす

「中央集権型金融から分散型金融へ:世界の金融は解体/再構築されるか?(CeFi to DeFi: Can global finance be de/re-constructed?)」と題したパネルディスカッションに参加した、米ブロックチェーンソフトウェア技術企業ConsenSysのCEOジョセフ・ルービン氏は、「DeFiとその基盤となるブロックチェーン技術は、世界的にシステムを構築する方法にパラダイムシフトをもたらします」と述べました。

「DeFiは、よりシームレスなグローバル金融インフラの初期段階を構築しています」とも発言し、「現在の金融は、コルレス銀行のような関係でつながっており、非常にサイロ化しています。私たちの地球は、国家間で共有できるシステムをますます必要としています。

そのシステム上では、これらの国家の企業や国家自体が取引を行い、それらの取引を仲介するルールシステムが尊重され、自動的に適用されることを信頼することができます」と解説しました。

またルービン氏は、社会は本質的にアナログなものから本質的にデジタルなものへと進化しており、「お金や金融商品、アイデンティティ、アート、ガバナンスなどの要素がすべてソフトウェアで実現される」と言及し、デジタル化によって標準化やコンプライアンスの自動化、トークン化が進み、既存のプロセスにある摩擦はなくなると付け加えています。

個人投資家に対し、金融サービスを第三者を介することなく提供するDeFiアプリケーション数は、増加傾向にあります。銀行のような仲介者を必要とする伝統的な金融(CeFi)とは異なり、DeFiの取引は仲介者を必要としないスマートコントラクトによって管理されています。

レンディングや借り入れ、預貯金の利回り、アセットの発行、取引や保険など、多種多様な金融サービスに対応した分散型金融プロトコルがすでに構築されています。また、これらのアプリケーションは、レゴブロックのようにパーミッションレスな形で自由に組み合わせることができ(いわゆるコンポーザビリティ≒構成可能性があるため)より高性能なシステムを迅速に構築することができるのです。

機会と裏に潜むリスク

もう1人のパネリストで大手ステーブルコインのUSDコイン(USDC)を開発したCentre社のDavid Puth CEOは、分散型金融と中央集権型金融の融合は避けられないと見ています。「DeFiがこの初期の段階から進化し続けるにつれ、中央集権的な金融の世界がその驚くべき可能性を無視することはできなくなるでしょう」と発言しました。

Centreの手掛けるUSDCは、米ドルにペッグされたステーブルコインで、テザー(USDT)に次ぐ時価総額を誇る銘柄。DeFiプロトコルとステーブルコインの大部分はイーサリアムで運用されており、DeFiプロトコルにロックされている価値の合計(TVL)は、執筆時点では390億ドル(約4.2兆円)を超えています。(執筆時点で約5.3兆円:DeFiPulse参照)

DeFiのチャンスは非常に大きいですが、同時にリスクも伴います。「元本割れ、技術的な故障、知らず知らずのうちにDeFi空間で取り返しのつかないことをしてしまい、当事者が救済されない等のリスクは常に存在します」とPuth氏は発言。

「業界内で連携するだけではなく、規制機関とも協力していく必要がある」と業界の協調を呼びかけました。

国家間の連携が必要

米国証券取引委員会(SEC)のコミッショナーの一人であるHester Peirce氏は、「潜在的な障害点を抱える中央集権的なシステムから、より分散したアプローチに移行することで、特定の点が特別な重要性を持つことがなくなるという観点から、金融市場のレジリエンス(回復力)を高めることにつながる」点をDeFiのメリットとして挙げました。

「DeFiで起こっていることの多くは、SECの管轄外であり、その多くは、証券的な機能というよりは、銀行のような機能と関係しているためです。現時点では、規制当局としては動向を見守っていますが、金融システムの大規模な変化にはかなりの時間がかかると思います」と続けます。

さらに「人々が証券を模倣したものを作ったり、資産管理に関連することをしている限り、それは我々の権限の範囲内です。だからこそ、証券に関わる可能性について考えてほしい。もし、証券取引を行う分散型の取引所や自動化されたマーケットメーカーなどを設立した場合、その影響を考えなければなりません。中央集権的な取引相手を扱うことに慣れている私たち規制当局にとって、これは興味深い課題です」と付け加えました。

Peirce氏は、トークン販売の実施については、3年間の「セーフハーバー」期間を設けることを提案しています。これは、証券取引法に抵触する恐れなく、暗号資産(仮想通貨)関連事業の起業家がネットワークを構築できるようにするためのものです。

「SECの新議長に自らの提案を示し、同様のことを追求するよう提案したい。そうでなくても、ネットワークを構築しようとしている人たちに明確な情報を提供する必要があると思います」と語りました。

Peirce氏は、国によって規制に対する考え方が異なることから、国際的な規制が一様になるとは考えていません。「一般的に、国際的なメリットの多くは、お互いに学び合い、新しい規制の課題にどのようにアプローチするかについてアイデアを共有することです」と彼女は言います。

「率直に言えば、SECはいつもうまくいっているわけではありません。また、SECが他の分野で行っているようなコンプライアンスの代替適用を認めることもできます。つまり、アクターが自国のルールを遵守しており、そのルールが我々の目的と同じようなものであれば、我々はそのルールを尊重することができます」

規制当局への要望

世界経済フォーラムのブロックチェーン・データ政策の責任者であり、執行委員会のメンバーでもあるシーラ・ウォーレン氏は、「国際的な協調と複数のステークホルダーによる協力が決定的に重要だ」と述べています。また「規制が断片化する危険性があり、より純粋な仮想通貨の分野ではすでにそういった事例がいくつか観測される」と警鐘を鳴らしました。

Lubin氏も、「規制当局は、技術そのものではなく、技術の使用を規制することに注視すべきです。この破壊的な技術は、本質的に自ら規制するプロトコルを設計したり、プロトコル同士で監視したりすることが前提となっていることに留意する必要があります」と述べています。

またCentreのPuth氏は、米国通貨監督庁(OCC)が金融機関に仮想通貨を扱う許可を拡大したことを称賛しました。OCCは1月に、連邦政府公認の銀行がブロックチェーンに参加し、ステーブルコインを決済活動に使用することを認めるガイダンスを発表していました。

関連:米通貨監督庁、銀行の「ステーブルコイン導入」認める解釈書を公開

「パブリック・ブロックチェーンへの参加とステーブルコインの使用は、伝統的な銀行業務にとって、中央集権的な金融と分散型金融が交差する大きな機会になると思われることを促進する素晴らしい方法」とPuth氏は述べました。

「ブロックチェーンや分散型金融で起きていることは、世界的な現象であり、その勢いは衰えることはありません。規制当局は、私たちが今日関わっている業務の安全な適用を可能にするために協力する必要があります」と結びました。

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