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サステナブルなエコシステム構築を目指すアーダー(Ardor)、南米などでのユースケース解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サステナブルなブロックチェーンプロジェクト

アーダーブロックチェーン上には、消費電力を抑えるPoSプロトコルを活用した、環境面への配慮を売りにするプロジェクトが多数ある。

ブロックチェーンが環境に与える負荷については、米テスラのイーロン・マスクCEOがビットコインマイニングによる消費電力増加による環境負荷への懸念を表明しビットコイン支払い受付を停止したことをきっかけに、改めて注目を浴びるようになった。

純粋なPoSを初めて採用したことで有名なブロックチェーンプロジェクト、Nxt(ネクスト)をベースにした、アーダーブロックチェーンを運営するJeluridaの共同設立者でありアーダーのコア開発者でもあるLior Yaffe氏は、イーロン・マスクが提起した問題はアーダーによってすでに解決済みであると述べる。

ビットコインとイーサリアムが現在採用するPoWコンセンサスアルゴリズムには、電力消費問題がつきまとう反面、アーダーエコシステムが採用するPoSの特色を生かした、仮想通貨の消費電力への懸念を払拭するプロジェクトも複数存在している。地球と環境に優しい、アーダーエコシステムによる持続可能なブロックチェーンプロジェクトを3つ、本記事では紹介する。

HotCity

オーストリア政府から資金援助を受けたゲーミフィケーション・プロジェクトのHotCity(ホットシティ) は、オーストリア連邦政府の気候行動・環境・エネルギー・モビリティ・イノベーション・技術省から資金提供を受けた共同プロジェクトだ。

このプロジェクトでは、ゲーム的要素をゲーム以外のものに応用する「ゲーミフィケーション」を通して、都市計画のためのデータ生成を目的とする。ブロックチェーン技術を活用したゲーミフィケーションにより、排熱に関するデータをクラウドソーシングする手法を通し、政府は潜在的な排熱源に関するデータを市民側から自発的かつ遊び心をもって収集することが可能となる。

ゲーミフィケーションのシステムでは、さまざまな報酬ポイントが渡される。このシステムはブロックチェーンによって保護されており、報酬ポイントはアーダーブロックチェーンのメインとなるチャイルドチェーン、「Ignis(イグニス)」上に記録されたデジタル資産(トークン)となる。

TreeCycle

スイスを拠点とするTreeCycle(ツリーサイクル)が南米パラグアイで展開中のプロジェクトは、アーダーブロックチェーンに依拠したデュアルトークン・モデルを用いた収益性の高い森林再生の実現を目指している。

TreeCycleでは、イグニスのチャイルドチェーン上にローンチされるTREEトークン(セキュリティトークン)とTXCトークン(決済用トークン)を利用する。

TREEトークンの保有者は、1トークンにつき一本の植林に貢献することとなり、合計22年間の森林再生投資サイクルを通して収益の40%を受け取ることができる。TREEトークンの購入時にはボーナスとしてTXCトークンが付与される仕組みだ。

TreeCycleは、投資家や観光客がパラグアイのビジャリカ市を訪れる際に宿泊できるホテルを建設予定で、予約時の支払いにTXCを唯一の通貨として受け入れる予定であり、現地パートナーに対する決済時に10〜15%の割引が得られる特典が付くという。

Cycle4Value

Cycle4Value(サイクル・フォー・バリュー)は、ブロックチェーンを利用した報酬システムだ。これは環境にやさしい自転車を移動手段として推進するもので、汚染を軽減する手段としてモビリティ(人や移動手段の移動)に着目している。

Cycle4Valueでは、サイクリングを促進するためにアーダーブロックチェーンを用いた報酬モデルが研究されている。今後オーストリアのグラーツとクレムス、そしてドイツのベルリンの3都市で現在実証試験が行われ、システムのユーザビリティ、受容性、スケーラビリティなどが分析される予定だ。

この仕組みにおいては経済的、健康的、そして生態学的なメリットがシンプルで分かりやすい方法で提示され、「サイクルトークン」に変換される。サイクルトークンはデジタルウォレットに保存され、テスト用に設置されたマーケットプレイスで払い戻し可能となる。

この研究プロジェクトが従来のインセンティブシステムと違う点は、サイクリングがもたらす経済的・環境面・健康面での利益が収益化につながる点だ。

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