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「ビットコイン担保に日本円借り入れ」中小企業の資金調達手段としてFintertechが高い需要を生む理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインを利用した新たな資金調達法

2020年以降の暗号資産(仮想通貨)高騰に伴い、暗号資産・ブロックチェーン業界は3年ぶりに大きな盛り上がりを見せました。

米ドルのインフレヘッジを理由に米上場企業がビットコインやイーサリアムを資産に組み入れる事例が相次いだほか、米上場企業のPayPalが暗号資産決済を導入するなど、上場企業による暗号資産保有や暗号資産関連事業への参入も多く見られ、国内でも大手暗号資産取引所のコインチェックやbitFlyerなどがテレビCM放映を再開。マスメディアで取りあげられる機会も急増しています。

コインチェックが21年1月に公開したサービス利用動向によれば、会社員の取引回数は前年比2.3倍まで増加しており、コロナ禍によるリモートワーク導入も相まって、国内市場にも多くの資金が流入したことがわかります。

そのような中、保有資産のビットコインを担保にして、日本円を資金調達できるという画期的なサービス「デジタルアセット担保ローン」が誕生しました。

出典元:Fintertech株式会社

海外では似たような仕組みがすでに普及し始めていますが、日本国内で暗号資産を担保にしたローンサービスを唯一提供している企業が、Fintertech株式会社です。

Fintertech社は、豊富な金融ノウハウを有する「大和証券グループ」と「クレディセゾン」の合弁会社で、先端テクノロジーを活用した次世代金融サービスを提供。「デジタルアセット担保ローン」などの金融サービスを2020年4月から次々に発表しています。

これまで大和証券グループの提供する証券担保ローンサービスでは、株式や債券などの有価証券を担保として、お金を貸し出す仕組みが提供されてきましたが、 新たに暗号資産ビットコインも担保に出来るような事業スキームが開発されました。

暗号資産を保有する事業者の中には、「課税などの観点から、現時点で売却するつもりはない」「値上がりを見込んで長期保有しておきたい」と考える人も少なくありませんが、「デジタルアセット担保ローン」であればこれらの需要を満たしつつ、新たな資金調達が可能となります。

デジタルアセット担保ローンの特徴は?

同社のデジタルアセット担保ローンは、法人あるいは個人事業者を対象に、ビットコインを担保に日本円を融資するサービスです。同サービスの注目ポイントとして以下の5点が挙げられます。

  • 世界最低水準の年利(4.0%~8.0%)
  • 最短4営業日で融資可能
  • 融資額は最大5億円
  • いつでも全額返済可能
  • ビットコインで返済可能

まずは、年率4.0%~8.0%という低金利。この水準は、すでに各国で「暗号資産担保ローンサービス」を提供する13社の実質年率の中でも最低水準です(21年6月末調査時点)。契約期間は1年で、ロールオーバーすることができるのも特徴です。

また、最短4営業日で融資可能なため、急遽手元資金が必要になった場合にも即座に対応できます。

資金はいつでも全額返済することができ(元利一括返済方式)、ローンの使途は原則自由です。融資額も最大5億円となっており、中小企業にとっては大きな運転資金を調達することができます。

担保となる資産に対する融資限度の割合である担保掛目は「50%」。例えば2,000万円相当のビットコインを担保とすれば、現金1000万円を借り入れることができます。上場企業株式は担保掛目60%、不動産は担保掛目80%が一般的とされていますが、暗号資産が比較的新しい資産クラスであることを考慮すると、十分な水準であると言えます。

出典元:Fintertech株式会社

※2021/8/12追記:最低融資額については、要望に応える形で1000万円から500万円に引き下げられました。

主なユースケース

主なユースケースを3点紹介します。

1. 事業用途として

法人・個人事業者における事業用地取得や新店舗開業準備、設備投資のための新たな資金調達手段として。長期保有予定の暗号資産の活用により、まとまった資金の調達が可能となります。

2. 資産運用手段として

投資戦略の一環として、暗号資産を長期保有しつつ、借入資金で別の投資を行うという、新たな資産運用手段の実現が可能となります。

3. 代表者個人の暗号資産を有効活用

代表者個人から法人に貸し付けた暗号資産を担保として差し入れる方法や、代表者個人による第三者担保差入(物上保証)などの方法により、代表者個人の暗号資産を有効活用するケースもあるようです。

拡大する市場規模

デジタルアセット担保ローンなどの暗号資産を担保とした融資サービスは、暗号資産レンディングを含め、広義には「クリプトバンク」とも呼ばれることがあり、同市場は近年急速に拡大しています。

以下は、「クリプトバンク」の最大手Genesis社が公開した、2018年3月から2021年3月までの期間における貸出残高です(単位:百万ドル)。2020年後半から急増し、2021年3月には約90億ドル(約1兆円)にまで膨れ上がっていることがわかります。

出典元:Genesis Q1 Market Observations 2021

中でも、特に大きな成長を遂げているのが、暗号資産担保ローンサービスです。米国では、世界的大手金融機関Fidelity Investmentsの子会社や大手暗号資産取引所Coinbaseなど複数の大企業が参入に乗り出し、ビッコインやイーサリアムを担保にした融資サービスを展開しています。

海外における「クリプトバンク」サービスの主要顧客は、マイニング(採掘業社)企業や暗号資産取引所ですが、国内では中小企業の需要が中心となっており、暗号資産・ブロックチェーン業界以外の企業による利用も増加傾向にあるようです。

関連:暗号資産は売買だけじゃない!暗号資産長期保有者の新たな選択肢「クリプトバンク」サービスとは

デジタル資産を売却せず資金調達するメリット

暗号資産取引による所得は、個人事業者の場合、利益は原則として「雑所得」扱いとなり、事業所得など他の所得と合算した金額に対する累進課税がかけられ、住民税と合わせると最大約55%の税率が課されます。損益通算は適用されず、生じた損失は翌年以降の利益と相殺できない仕組みです。

出典元:国税庁

暗号資産が課税対象となるのは、他の通貨に換金したタイミングや売却したタイミングであるため、売却せずに有効利用したいという個人事業者の需要も少なくありません。

一方、法人の場合、利益は事業所得となり税率は19%〜23.4%、実効税率はこれに10%程度の事業税や住民税などが加算されます。

また、個人事業者とは異なり、損益通算や損失を翌年以降に繰越すことが可能ではありますが、時価会計が適用されるため、含み益も課税対象となります。

Fintertech社が提供する「デジタルアセット担保ローン」であれば、保有するビットコインを担保に資金調達できるので、ビットコインを売却せずに、事業拡大や新規事業のために必要な資金や、含み益に課せられる納税資金を調達できるようになります。

(※税金の詳細につきましては、税理士等の専門家にお問合せください。)

会社概要

会社名:Fintertech株式会社

大和証券グループ、クレディセゾングループのFintertechが提供する「デジタルアセット担保ローン」は、暗号資産を担保にした新しいローンサービスです。

所在地:東京都千代田区

代表:武田 誠

電話番号:03-3222-7333

貸金業登録番号:東京都知事(1)第31772号

指定紛争解決機関:日本貸金業協会貸金業相談・紛争解決センター

 相談・苦情受付窓口:TEL 0570-051-051

 受付時間:平日9:00~17:00(土・日・祝日・年末年始を除く)

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