ビットコイン相場と金融マーケット
24日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン価格は、前日比-2.92%の363万円(32,730ドル)で推移した。
売られ過ぎていたアルト市場を中心に雪崩式に買い戻しが入ったものの、株を含め金融相場全体が及び腰であることから、一時的に反発しても後が続きにくく、様子見基調は否めない。
そんな中、海外トレーダーKevin Svenson(@KevinSvenson_)氏は、「ワイコフ理論」のフェーズCで反発を試したと主張。相場の回復を示すマークアップ(上昇)フェーズに移行する可能性があるとして、現在のBTCチャートとワイコフ理論のチャートを重ね合わせてみせた。ワイコフ理論は、1930年にリチャード・D・ワイコフによって提唱されたものだ。
Wyckoff Accumulation Model – Spring Test
— Kevin Svenson (@KevinSvenson_) June 22, 2021
Seems like a possibility. We just got the lower low at $28.8K … If this model plays out we will now enter the final phase of the recovery back up. Lets see how it play out. #Bitcoin pic.twitter.com/stuWJRWWoL
アナリストのAlexKrüger氏(@krugermacro)は現在の下落トレンドについて、「厳密には、三尊天井のネックラインの条件を満たしていない」と指摘。41,300ドルでブルトラップを。28,800ドルでベアトラップを形成した(潮目が変わる可能性がある)と主張した。
$BTC trend reversed (again), leaving a bear trap below. The chart is NOT a head & shoulders (H&S), those pitching the H&S are either tripping to confirm their bias, or playing psyops on you. A H&S has a neckline connecting all three peaks. Not the case here. pic.twitter.com/lHn7HxmWnJ
— Alex Krüger (@krugermacro) June 23, 2021
ベアトラップとは、下値支持線からの下方ブレイクアウト直後に急反転する値動きを指す。さらなる下落を見込んだ売り方(ベア)が、罠にかかるように踏み上げられることを示唆する。対義語は、強気の罠(ブルトラップ)。
23日の急落からの反発局面では、エルサルバドルの「ビットコイン法定通貨化」法案可決の材料を手掛かりに大幅反発した時の角度を上回り、鋭角なスパイクボトムを付けていることがわかる。(下図)
ネガティブなデータとしては、週間平均流入額(All Exchanges Inflow Mean)を参照し、仮想通貨取引所へのインフローが増加している点について懸念を示した。下落トレンドを鮮明にする中、大口投資家(クジラ)による売り圧力が高まっていることを示している。
CoinSharesが開示したデータによれば、機関投資家のビットコイン保有数は6週連続で縮小した。現在は強い下落トレンドの最中にあり、金融市場の不確実性も高まっていることから、再び31,000ドルのサポートラインを割り込むかどうかを含め、慎重な見極めが必要な場面と言えるだろう。
その一方、CryptoQuantのKi Young Ju CEOは以前、All Exchanges Inflow Meanが2.5BTC水準を超えた時、大量の売り圧をこなした相場急落局面では、一巡・底打ち後に「トレンド転換」する傾向にあることを指摘している。
過去3年間のオンチェーンデータ(下図)を参照すると、昨年3月にビットコイン市場を含む金融市場全体が暴落したコロナ・ショック時のように、全取引所の平均入金額が2.0BTC付近まで上昇した場合は、底打ちが近いことを示す買いシグナルのひとつとなり得る。
CMEの先物MSQ迫る
アナリストのジャスティン・ベネット氏が6月9日に考察した、ビットコイン先物に関するレポートによれば、CME先物SQの6月25日(日本時間26日)を目処に、市場が底を打つ可能性がある。
「過去の傾向を分析すると、先物限月(取引満了月)に向けたポジションに対する反対売買の差益決済取引(オフセット)の影響などを受け、大幅下落局面のSQ後(21年1〜3月)はいずれも反発している。」などと指摘した。四半期(3・6・9・12月)先物の限月は「仮想通貨市場のメジャーSQ」と呼ばれることもある。
中国マイナー情勢は
昨今の仮想通貨市場では、中国当局によるビットコイン取引、及びマイナー(採掘業者)への取り締まり強化を受け、売りが先行。採掘能力を示すハッシュレートも過去例のないレベルで急落しており、市場の警戒要因となっている。
5月13日時点で171.4EH/sあったハッシュレートは、6月23日時点で83.44EH/sまで-50%以上激減した。22日には、大規模マイニング工場への立入検査で電力ケーブルが半強制的に切断されたとの報告も確認されるなど、中国政府の締め付けは一段と強まっている模様だ。
すでに中国内の仮想通貨マイニング事業者は、カザフスタンや米国など海外に設備を移転し始めており、中国・四川省で採掘能力を停止した事業者は、その3日後には米カルフォルニアのアバロンで稼働を再開させたという。また、中国・広州の物流会社によれば、3トン相当に及ぶビットコインの採掘マシンを米メリーランド州に空輸している。
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