USDC発行企業が上場へ
ステーブルコイン「USDC」の運営などを行う米Circleは8日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場することを発表した。
ブランク・チェック・カンパニー(SPAC)である「Concord Acquisition Corp」との契約に正式に合意。企業価値の総額は45億ドル(約4940億円)となる見通しで、上場予定時期については言及されていない。
SPACとは
「Special Purpose Acquisition Company」の略で、「特別買収目的会社」と訳される。その企業自体は事業を有さず、未上場企業の買収を行うことを目的とする。
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CircleがSPACを活用して上場する可能については、5月に報じられている。4億4,000万ドル(約480億円)の資金調達を行ったことが明らかなった際、情報筋の話として「この資金調達はSPAC上場への布石」だとされていた。
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SPAC上場では、先にSPACが上場して資金調達を行い、その後でターゲットとなる企業(今回はCircle)を選定し買収。それによって、ターゲットとなる企業が株式上場を果たす仕組みで、近年増加している上場手段だ。
未公開企業にとっては、上場に係るコストを削減したり、上場までの時間を短縮できるメリットがある一方で、買収先が正式な審査を経ずに上場できる点などからリスクも指摘されている。
CircleのJeremy Allaire最高経営責任者(CEO)によると、USDCの流通量は過去12カ月間で55倍に増え、260億USDCに届きそうだという。その上で、今回の発表について以下のようにコメントを寄せた。
Circleの株式上場は、当社だけでなく、仮想通貨やブロックチェーンのコミュニティ全体にとっても大きな出来事である。
基盤となるインフラは大きく進歩しており、USDCのような米ドルの通貨モデルも成長が加速してきた。我々は未来を楽観的に捉えており、これからの発展を楽しみにしている。
1/7 Today, we announced that we have signed definitive agreements for a transaction that will result in Circle becoming a publicly listed company on the NYSE trading under the ticker CRCL. https://t.co/WIK9CUKNIR
— Jeremy Allaire (@jerallaire) July 8, 2021
Circleの収益源
今回の株式上場の発表に合わせ、Circleの収益源にも注目が集まっている。Circleの金融サービス事業の柱は「USDCの運営」、「決済・財務サービス」、「クラウドファンディングプラットフォームの運営」の3つだ。
仮想通貨業界ではUSDCの運営が最もよく知られているかもしれないが、この中で1番収益が多いのは現時点で「決済・財務サービス」だという。上記画像の通り、このサービスは、大手仮想通貨取引所の「FTX」、DeFi(分散型金融)のレンディングプラットフォーム「Compound」、「NBA Top Shot」を手掛ける「Dapper Labs」らが利用している。
サービスでは利用企業に対し、決済や財務について、APIなど一連のツールを提供しているという。先週にはCompoundについて、新法人「Compound Treasury」が設立されたことが分かった。Compound Treasuryは、機関投資家のDeFi市場へのアクセスを高めるとしているが、Circleと大手カストディ企業Fireblocksと提携して事業を行う。
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Circleが公開している資料によると、6月時点における2021年の損益の見積もりは以下のようになっている。
- USDC運営:4,000万ドル(約44億円)
- 決済・財務サービス:6,500万ドル(約71億円)
- クラウドファンディングプラットフォーム:1,000万ドル(約11億円)