はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

国際通貨基金、デジタル通貨の管理戦略を発表 監視強化の流れは加速するか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

IMFのデジタル通貨戦略

国際通貨基金(IMF)は、7月29日、様々なデジタル通貨に対応する戦略について新たな論文を発表した。

「デジタルマネーの台頭 ー IMFの権限の遂行を継続するための戦略的計画」と題された論文では、政府及び民間発行のデジタルマネーの普及が拡大する中、IMFがその役割を遂行するためには、どのように対応するべきかを論じている。

国際通貨基金(IMF)とは

国際通貨制度の安定を確保するため、1944年に設立された国際機関。190の加盟国の政策や世界経済及び金融の動向をモニタリングし、政策に関する助言や推奨を行う。 また、国際収支の問題を抱える加盟国に対し、融資を提供する。

▶️仮想通貨用語集

論文では、「急速な技術革新によるデジタルマネーの新たな時代の到来」により、決済は「より簡単に、早く、安く、アクセスしやすく」なり、「すべての人々に大きな利益をもたらす」可能性があるとして、デジタル通貨の多大なメリットを認めている。

一方、その導入には、政策立案者が取り組むべき新たな課題があり、IMFは、加盟国の経済・金融の安定、及び国際通貨制度の安定維持に貢献するため、他の機関と緊密に連携、協力しつつ「迅速にデジタルマネーに関する取り組みを拡大、かつ深化させなければならない」と主張した。

デジタル通貨導入の課題

論文では、デジタル通貨導入に際して求められる条件を列挙している。

  • 「信頼性」の観点から、消費者を保護し、健全な法的枠組みに支えられ、金融の整合性を保つ安全なものでなければならない。
  • 慎重に設計された官民連携、銀行の役割の円滑な移行、および公正な競争によって、国内経済・金融の安定性を保護すること。
  • 気候への影響の配慮や効率的な財政政策をサポートすること
  • 各国が、財政政策、金融情勢、資本勘定の開放性および外国為替制度のコントロールができるように設計され、規制され、提供されること。
  • 決済システムは、全ての国で機能するように統合されたものであること。
  • 基軸通貨の構成や緊急対策がスムーズに進化していくこと。

ほぼ全世界の国が加盟する組織であり、多様な専門知識を持ち、加盟国の中央銀行や財務省などとのつながりも深いIMFは、このような複雑な条件を満たすデジタル通貨への移行を監視し、加盟国に対して適切な政策助言を行うべきであるとまとめた。

そして、IMFが効果的に機能するために、「リソースを急速に増強し、スキルを高める」必要があると主張した。同時に、各国の中央銀行や規制当局、また世界銀行などの機関との連携を強化することが重要であるとした。

IMF理事会の見解

24名の加盟国の代表からなる理事会では、同論文に関する協議が行われ、上記の内容に概ね同意する結果となった。

理事会は、通貨のデジタル化が急速に進展していることから、IMFが迅速に行動し、この取り組みの最前線に立ち、加盟国への支援を可能にすることの必要性を指摘。特に、デジタル通貨が国際通貨システムやクロスボーダー決済、そして、各国の国内経済の構造や安定性に与える影響が大きいことから、デジタル通貨の設計への配慮や、国際金融機関をはじめ、規制当局、及び民間部門との連携と協調の重要性について強調した。

仮想通貨の法定通貨採用を批判

IMFは、金融包摂の推進や決済の効率化という点において、デジタル通貨が持つ可能性についてはポジティブに捉えている。しかし、デジタル通貨の一種である仮想通貨については、中央銀行デジタル通貨などの「他のデジタルマネーとは根本的に異なる」と主張。特に、マクロ経済への影響や金融政策の効果などの面から、「仮想通貨に法定通貨の地位を与える」ことについては、強く批判している。

また、国内物価が不安定化する可能性や、マネーロンダリングやテロ資金供与などで金融の健全性が脅かされると警鐘を鳴らした。さらに、法的問題や価格変動による金融機関への影響、サイバー攻撃や技術的不具合から消費者保護の面での不安が生じることについても触れた。

仮想通貨を支える技術の利点を無視するべきではないが、「ビットコインを国の通貨に採用する試みは、近道として賢明ではない」と結んでいる。

関連:IMFエコノミスト「ビットコインの法定通貨化はリスクがリターンを上回る」

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/24 日曜日
16:45
DeFi Development Corpの最高執行責任者、ソラナトレジャリー企業戦略を解説|SuperTokyo 2025
NASDAQ上場のDeFi Development Corp(DFDV)がSuperTokyo 2025で発表したSolanaトレジャリー戦略を解説。バリデーター運営による10%利回りの実現、3ヶ月で60%の成長実績、日本市場への展開計画について詳しく紹介。
15:10
VISA・日銀・Ant、国際決済の3大課題をデジタル通貨で解決へ|WebX Fintech EXPO powered by SBI Group
WebX Fintech EXPO 2025で、VISA、日本銀行、Ant Internationalが国際決済の課題を議論。高い手数料、長い決済時間、透明性の欠如という3大課題に対し、CBDCやステーブルコインなどデジタル通貨による解決策を提示した。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、BTCの次の上昇タイミングやETHのパフォーマンス向上要因など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
13:11
Sortes、配当率90%で完全透明な分散型宝くじが変える社会貢献の新しい形
Sortesは世界初の完全オンチェーン宝くじプロトコル。約90%の高配当率、10%の自動慈善寄付、透明性の高い運営を実現。BTCベースの賞金プールと負けても報酬が得られる独自の仕組みで新しい社会福祉を提供。
11:30
ビットコイン1680万円台で軟調推移、ジャクソンホール警戒|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリスト長谷川氏による今週のビットコイン分析。BTC/JPYは1680万円台で軟調推移、アルトコイン売りとジャクソンホール会議への警戒感が影響。パウエルFRB議長の講演が今後の相場方向を決める重要材料として注目。オンチェーンデータと詳細チャート分析も掲載。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|国民民主党代表のステーブルコイン支援表明に高い関心
今週は、国民民主党の玉木代表によるステーブルコイン支援表明、米SECと米FRBのトップによる仮想通貨規制方針転換宣言、ビットコインの次の上昇タイミングに関するニュースが最も関心を集めた。
08/23 土曜日
22:13
UPCX、ペイクル、NTT Digitalが分散型決済システムの社会実装で基本合意
UPCX、ペイクル、NTT Digitalの3社が、UPCXブロックチェーンを基盤とした次世代分散型決済システムの共同研究・技術開発で基本合意書を締結。金融機関向けインフラ構築と日本市場での実装を推進。
19:30
石破内閣総理大臣「ご挨拶」|WebX2025
石破内閣総理大臣の国際Web3カンファレンス「WebX 2025」登壇が決定。8月25-26日にザ・プリンスパークタワー東京で開催。来場者2万人、参加企業3000社以上の規模でWeb3業界の最新動向を発信。
18:00
ソラナエコシステムを解説|ウォレット設定から.solドメインの取得まで
SolanaはWeb3分野で急成長する効率的かつユーザーフレンドリーなブロックチェーン SolanaはWeb3分野で最も効率的かつユーザーフレンドリーなブロックチェーンの一つと…
17:30
武藤 経済産業大臣「ご挨拶」|WebX2025
武藤 経済産業大臣の国際Web3カンファレンス「WebX 2025」登壇が決定。8月25-26日にザ・プリンスパークタワー東京で開催。来場者2万人、参加企業3000社以上の規模でWeb3業界の最新動向を発信。
13:55
時価総額3位のステーブルコインUSDe、担保資産にBNBを初承認
ステーブルコイン発行エテナ(Ethena)のリスク委員会がBNBをUSDe永続先物担保の初の新規資産として承認。10億ドル以上のOI等の基準を設定した適格資産フレームワークを正式導入。
11:45
仮想通貨スイ発ゲーム機「SuiPlay0x1」にトランプ関税が直撃
仮想通貨スイ発のポータブルゲーム機「SuiPlay0x1」に高額関税が課せられる事例が報告されている。米トランプ政権による関税引き上げの影響を受けている形だ。
10:50
香港上場のチャイナルネッサンス、1億ドルのBNB専用配分投資を発表
香港上場のチャイナルネッサンスがYZi Labsとの戦略提携でBNB資産に約1億ドル投資。香港初のBNB専用デジタル資産配分を目指し規制取引所上場も推進。
10:30
ビットワイズ7社、XRP現物ETFの修正書を一斉提出 SECとの協議に進展か
ビットワイズなど7社が仮想通貨XRP現物ETFの申請で修正書を提出した。米証券取引委員会との協議進展を示唆しており、年内の承認に向けて期待が高まっている。
09:35
トランプ関連WLFI、9月1日にイーサリアムで取引開始へ
トランプ一族関連のワールドリバティファイナンシャルのWLFIトークンが米時間9月1日午前8時から取引可能に。早期支援者の20%がアンロック対象、残り80%はコミュニティ投票で決定。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧