米インフラ法案の投票が再び延期、仮想通貨条項で議論難航

インフラ法案、投票は再び延期

米国で議論が続くインフラ法案について、与党派の議員2名は米時間8日、暗号資産(仮想通貨)の税申告に関する規定の新たな修正案を相次いで提出。多くのブロックチェーン企業などから反発を受けた6日に提出した修正案を改めたが、最終的な判断は難航している。

民主党のWarner議員は6日にも代替修正案を提出した政治家。仮想通貨業界からはマイナーやウォレット企業、そして開発者を「ブローカー」の定義から外す修正案が支持されているが、ホワイトハウス側も支持する当初の代替修正案ではPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のマイナーとウォレット企業のみが外される方向となっていた。

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業界の有識者らはSNS上などでコミュニティによる政治家への声かけを行うよう促したところ、米議員らに対して仮想通貨規定に関する問い合わせが殺到。

新興技術の推進団体である「Fight for the Future」は米時間6日、米議員に仮想通貨規制の改善を呼び求めるSNS活動を開始。多くのユーザーがクリプト領域を支持し、米議会も無視できない水準に。課題の認知度を上げることに成功した。

大手メディアのワシントン・ポストの一面でも、仮想通貨規制に関する議論がインフラ法案の成立が難航する要因となっていることが取り上げられるなど全国基準で話題となった。

8日に提出された新たな修正案では、物議を醸したマイナーに関する部分が変更。技術に中立的な表現があったと思われたが、同日に新たな修正案を提出、現段階で最新の修正案では1)PoWとPoS(プルーフ・オブ・ステーク)銘柄のマイナーと2)ウォレット企業のみが免除を受ける形に。

ただ、仮想通貨擁護派のRon Wyden議員、Cynthia Lummis議員やPat Toomey議員らはイノベーションを促進する規制の緩和を求めており、議論は足踏み状態。また、共和党のBill Hagerty議員など一部の反対派議員らはインフラ法案の1.2兆ドルに及ぶ予算が実際は足りていないと非難、米国の財政赤字拡大につながるとしている。

業界のロビー団体であるCoin CenterのJerry Brito氏は仮想通貨規定は法案の予算埋め合わせのために含まれているため、仮想通貨規定をなくすのは不可能と説明。

そもそも法案の予算が足りていない状態も指摘されているため、与党側としては早急な可決を目指す意向がある中、インフラ法案は硬直状態にあるとした。

党派越える議論に発展

特筆すべきは、民主・共和党など党派の垣根を超えて仮想通貨の過度な規制を反対する声が続出している点だ。大統領候補であった共和党のTed Cruz議員や、Andrew Yang議員もホワイトハウスが支持する代替修正案を批判した。

Andrew Yang議員

議会がこの仮想通貨規制を間違えれば、アメリカからイノベーションと投資の海外流出につながる。少なくとも時間をかけて正しい方向へ進むべきだ。

Ted Cruz議員

議会は仮想通貨にとって悲惨な法案を可決する寸前だ。インフラ法案は仮想通貨とブロックチェーン領域のイノベーションに壊滅的な影響を与える条項が含まれている。

クリプト支持者は声を挙げるべきだ。

Cruz議員は先週、仮想通貨に関する条項を全て排除する修正案を提出していたが、仮想通貨領域から課税が期待される3兆円の税収は法案実現の予算として含まれているため、現実的ではないとして却下されていた経緯がある。

インフラ法案自体はバイデン政権が主導で推進している政策だが、最低でも10名の共和党議員も支持を表明しており、「超党派」の法案という位置付けとなっている。

このような状況を受け、当初の予定では米時間土曜日に行われるはずだった投票は米時間日曜日に延期。

米仮想通貨・ブロックチェーン推進団体のデジタル商工会議所(CDC)のPerianne Boring会長は最終的な投票は米時間日曜日(9日)の19時にインフラ法案に関する投票が行われると説明。ただ、仮想通貨規定の修正案に関する投票は行われない可能性もあるとした。

追記(9日午前11時)

米国の仮想通貨事情に詳しいJake Chervinsky弁護士はその後、上院議会が68-29で議論を終わらせる方向で投票したと報告。仮想通貨条項の修正案に関する投票はおこなわれなかったことを明かした。

ただ最終投票は米時間火曜日に行われることとなり、修正が加えられる可能性はまだ残っていると言及した。

ワシントン・ポストの統計によれば、5年前は1つだった仮想通貨・ブロックチェーン関連ロビー団体が現在では60近く存在すると指摘。今年8月時点でのロビー活動費は500万ドル(約5.5億円)に上り、すでに昨年の2倍に達しているという。

バイデン政権が主導し超党派で早急な成立が推進されているインフラ法案だが、実現の足止めとなる要因の一つが仮想通貨領域の規制となっている点は、クリプト業界の成熟と注目度の高まりを表していると言えるだろう。

インフラ法案とは

米上院から提出され、今後8年間で1.2兆ドル(約130兆円)を道路・橋、鉄道、港湾・空港、水道、高速通信網、電力網などの国内インフラへの投資を提案する法案。バイデン政権の経済分野の主要政策の1つである。

▶️仮想通貨用語集

有識者の声

ビットコイン(BTC)擁護派として定評のあるツイッター社のJack Dorsey CEOもインフラ法案の仮想通貨規制について言及。開発者やマイナー、およびノード運営者がそもそも提供できないデータの開示を義務付けることはクリプト領域の海外流出につながると指摘した。

その上で、議論がまとまらないなら場合には、ブローカーの定義は法定通貨とデジタル通貨を交換する主体に限定するべきと提案。このような企業や団体が税収の9割に相当するため、残りの1割については委員会を設置して入念な議論を進めるべきだとした。

また、米国の仮想通貨規制に精通するJake Chervinsky弁護士は現在も妥協案の策定が進んでいると分析。ただ、仮想通貨以外の政治的な部分が重要度を増している点もあるため、現状の(代替修正案) の文言がそのまま成立することになるかもしれないとコメントした。

米有名ロックバンド「KISS」のヴォーカリストであるGene Simmons氏もWyden-Loomis-Toomey議員らの修正案を支持するとSNSに投稿した。

ワシントン・ポストのJeff Stein経済記者もアメリカの水道や電力システムなど、1兆ドル規模のインフラ法案の最後の課題となっているのが仮想通貨というのは「本当に驚くべき点だ」と述べた。

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