韓国取引所、サービス制限事例相次ぐ
韓国で9月24日より施行予定の暗号資産(仮想通貨)取引所の新ライセンス制度を受け、韓国内における一部サービスを停止する取引所が増加していることがわかった。地元紙のYonhap Newsによれば、LINEグループ傘下のBitfrontが韓国居住者向けサービスを停止する方針だ。
9月14日に韓国語サービスの対応と、韓国系のクレジットカードによる決済対応を停止する。
これに先立ち、バイナンスは今月初め、韓国ウォンを使用した取引ペアと支払いオプションの停止を発表している。
韓国当局は、仮想通貨取引所にマネロン対策の一貫として韓国金融委員会(FSC)に属する金融情報分析院(FIU)からライセンス登録を義務付ける制度を今年5月に発表。届出を怠り事業を継続した場合には、5年以下の懲役または5,000万ウォン(約500万円)以下の罰金が科せられるペナルティが発生する。
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地元紙のYonhap Newsは、マイナーな取引所も含めると韓国では100近くの取引所が韓国で事業を展開しているものの、規制強化を受け大多数が撤退を余儀なくされると分析。このような動きが今後も続くと予想した。
各国から取り締まり強化を受け、コンプラ姿勢の改善を迫られている大手仮想通貨取引所バイナンスも先週13日、韓国に対するサービス提供を停止すると発表したばかり。法定通貨の韓国ウォンの取引ペアや支払いオプションの他、サイトの韓国語表記も取り止めている。
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ライセンス登録のためには銀行と提携し、ユーザーの実名口座を開設することが条件の一つだが、銀行側が仮想通貨取引所と提携を避ける状況があるため、取引所にとっては苦しい状況となっている。
取引所のライセンス制度以外でも、韓国では仮想通貨取引のキャピタルゲインに対する20%の課税が度重なる反対の中でも施行される見込み。FATFの提唱するトラベル・ルールに沿った規制展開を図っている。
トラベル・ルールとは
国際的な規制機関である金融活動作業部会(FATF)が定めるマネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルール。VASP(暗号資産サービス提供者)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。
また、対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
▶️仮想通貨用語集
人気高まる仮想通貨投資
韓国では、若年層の仮想通貨投資に対する人気が高まっており、規制当局は警戒の目で市場の動向を見守ってきた経緯がある。
韓国メディアKorea Heraldが4月に実施したアンケート調査では、回答者した1,855名の事務職員のうち、40.4%が仮想通貨に投資していると回答。30代の会社員では半数近い49.8%、40代では34.5%と中年層で人気が高かった。
仮想通貨投資に対する過熱感が業務に支障をきたす場面も一部ではあったため、複数の地方銀行は過度な仮想通貨取引を控えるよう警告を発令。一例として、ウリィ銀行では従業員の勤務中の投資と、同僚の間で取引で得た利益の自慢話が禁止されたという。
また、仮想通貨人気に乗り遅れまいと、高齢者の間でも投資を始める人が増加。FOMO状態が発生し、投資詐欺などが横行しやすい状況が発生している状況も、当局による仮想通貨のマネロン体制強化の動きに繋がっていると考えられるだろう。
仮想通貨犯罪も増加
5月には韓国の科学技術情報通信部(MSIT)が仮想通貨フィッシング詐欺に対する取り締まりを強化すると発表。2020年には41件だったフィッシング詐欺は、2021年の1Q(第1四半期)だけで32件摘発されており、相場の高騰とともに詐欺事件も増加する傾向が確認されていた。
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