仮想通貨詐欺の取締強化
韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は9日、相場の高騰とともに多発する暗号資産(仮想通貨)関連のフィッシング詐欺に対する監視体制を強化すると発表した。警察庁と連携して取り締まりを強化する姿勢を示した。
MSITの発表によれば、過去3ヶ月で既に32ものフィッシングサイト(偽サイト)が発見、ブロックされたという。2020年には年間で41件だったため、相場の高騰に伴い、詐欺も多発している格好だ。
科学技術情報通信部は大韓民国警察庁(National Police Agency)と連携して24時間の監視体制を強化し、フィッシングサイトを発見次第、即時ブロックする方針を促進するとした。
警察庁も3月よりフィッシングサイトに対する取り締まりを強めており、5月上旬では21件の捜査が進められているという。仮想通貨ユーザーから、パスワードやIDなど取引所のアカウント情報を不正入手して、資産を奪い去る事例が頻発している状況だと説明した。
規制強める韓国
仮想通貨取引所の現物価格が従来より高くなる「キムチ・プレミアム」現象などで、今春再び注目を浴びた韓国では、市場参加者も急増。仮想通貨関連の規制や取り締まり事例も目立ってきた。
3月には仮想通貨関連のサービスプロバイダー(VASP)にマネロン対策(AML)を義務付ける法令が承認された。国際的な規制機関である金融活動作業部会(FATF)により定められた、いわゆる「トラベル・ルール」が背後にある。
VASPには仮想通貨の取引、カストディ、管理サービスを提供するプロバイダ、並びに仮想通貨の購入と販売、取引と送信、保管と管理、仲介などに従事するデジタルウォレットサービスのプロバイダーが含まれる。
トラベル・ルールとは、マネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールで、VASPには取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。
対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
3月には韓国の国税庁(NTS)が仮想通貨を利用して脱税を行った容疑で2,400人以上の取り締まりを行った事例。
5月には仮想通貨取引所V Globalがマルチ商法による詐欺の疑いで当局からの捜査を受け、出口詐欺を防ぐため、2400億ウォン(233億円)相当の資産の凍結が許可された事例がある。