NFTとDeFiを先進技術として掲載
IT調査企業のガートナーが「先進テクノロジーのハイプ・サイクル:2021年」を発表。数々の最新技術の中に、非代替性トークン(NFT)や分散型金融(DeFi)が初登場した。2017年にはブロックチェーンがランクインしていたが、NFTとDeFiの登場は初。
ハイプ・サイクルとは
毎年8月に公開されるガートナーの示す「ハイプ(誇大評価)・サイクル」は、テクノロジーとアプリケーションの成熟度と採用状況のほか、実際のビジネスソリューションの解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを図示したもの。
ハイプ・サイクルは、以下の5つの時期から構成され、技術分野の進展を見定めるにあたり、前年比で指標にされやすい。
- 黎明期
- 「過度な期待」のピーク期
- 幻滅期
- 啓発期
- 生産性の安定期
「黎明期」には、新たなテクノロジーが誕生し期待が集まるが、実用化の可能性は多くの場合証明されない。「過度な期待」のピーク期では成功事例も多く生まれるものの、参入企業は少ないままだ。
「幻滅期」には成果がでないため関心が薄れるが、「啓発期」では技術のメリットや実用例が広まる。やがて「生産性の安定期」では主流採用が始まり、投資も回収され始めるという見方だ。
2021年におけるNFTとDeFiの位置づけ
ガートナーは下図のように2021年のハイプ・サイクルで、NFTを「過度な期待」のピーク期、DeFiを黎明期に位置付けている。
ガートナーのリサーチ部門責任者Brian Burke氏は「先進的な企業は、戦略的な変化と経済の不確実性が続く中、信頼性と新たな成長機会を築くために、私達が今回挙げた新しいテクノロジーを活用するだろう」とコメントした。
新たなトレンドは「信頼」、「成長」、「変化」という3つのテーマに分類されており、NFTとDeFiは「信頼性を高める技術」のカテゴリーに入れられている。
このカテゴリーで他に注目すべきテクノロジーとしては、公共部門が提供する安全なクラウドサービス「ソブリンクラウド」、ブロックチェーンを利用したIDシステム「分散型アイデンティティ」、暗号化したまま統計処理などを行える「準同型暗号」、従業員コミュニケーションアプリケーションその他が挙げられた。
分散型アイデンティティ(DID)とは
ブロックチェーンや分散型台帳に、各機関(政府、大学など)から本物であると保証されたユーザーのID情報を記録するシステム。ユーザーは自分の情報を自己管理し、生年月日など個人情報自体を明かすことなく、年齢などを第三者機関に証明することができるようになる。
▶️仮想通貨用語集
ガートナー社が昨秋公開したハイプサイクル・チャートでは、「ブロックチェーン」は幻滅期に。そのほかには、ブロックチェーンによるトークン化、非中央集権型アプリケーションや非中央集権型Webなどがあげられていた。(下図が2020年のチャート)
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