金融市場と仮想通貨の動き
米イエレン財務長官は29日、「米国はこのままだと10月18日以降にデフォルト(債務不履行)に陥るおそれがある」として、議会上院の公聴会で警鐘を鳴らした。
米上院共和党が27日、米連邦政府の債務上限適用を凍結する措置などを含む法案の採決を阻止したことを踏まえ、政府による国債発行を拡大するための議会対応が進んでいないことを受けた発言だ。10年で計3.5兆ドル(約390兆円)の財政支出をめざす法案をめぐり、米議会が紛糾している。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた長期金利上昇も相場の重石となり、米ニューヨークのダウ平均株価は一時500ドル超安に。東京株式市場では日経平均株価が前日比一時700円安と大幅下落した。
金融サービス会社Sun Global Investmentsの最高経営責任者であるMihir Kapadia氏は、「最近の米国市場はあまり楽観的とは言えない。米国政府が抱える28.4兆ドルの債務上限の期限が近づいているためだ」と指摘。米ドルの信用力低下や金融・経済の混乱リスクについて懸念を示している。
株価急落など投資家心理の悪化に伴い、リスク資産に分類されるビットコイン(BTC)など仮想通貨市場も全面安となった。悪材料の相次いだ直近では再び下落トレンド転換しており、薄氷の上で推移する。
中国情勢も先行き懸念強まる
他方、仮想通貨市場では、中国政府による規制強化を受け売り圧力が高まっている。中国居住者向けに関連サービスを提供する海外事業者も対象に、違法とする行為には刑事責任を追求することを示唆するなど、これまでで最も厳しい措置を打ち出した。
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中国情勢の有識者であるSonny Wang氏はこの点について、マイニング関連事業者をはじめ、デジタルウォレット企業、OTC取引業者など、その影響は多岐にわたると指摘。ドルの価値に裏付けられたステーブルコイン「テザー(USDT)」の一時的な下落については、事業撤退を余儀なくされた事業者が保有分を一斉売却したとの見解を示した。
Poolwatch.ioによると、イーサリアム(ETH)ネットワークのハッシュレートの約15%を占める「Sparkpool」が月末に閉鎖する予定を発表した。一部のマイニングプールは北米に海外移転する準備を進めている。
短期的にはハッシュレート(採掘速度)下落によるネットワークの堅牢性低下も懸念されるが、チャイナリスクの軽減と採掘拠点の分散化といった観点では、仮想通貨市場にとって中・長期ではポジティブだろう。
なお、新華社通信が27日に報じたところによれば、規制当局は、マイニング集積地の一つとして栄えていた内モンゴル自治区で大規模な取り締まりを強化している。
仮想通貨のマイニングファーム45箇所を閉鎖に追い込んだとした上、「理論的には年間65億8000万キロワット時の電力を節約し、標準的な石炭200万トンに相当する」として、各国が取り組む環境政策の成果を誇示した。
過去には、中国国内の大気汚染が度々社会問題となってきた。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を念頭にした国際社会にアピールする思惑や、再生可能エネルギー分野での人材雇用など新たな経済政策も背景にあるものと考えられる。
ボルケーノ・マイニング始動
ビットコインの法定通貨化法案を施行したエルサルバドルにて、火山の地熱(再生可能エネルギー)を利用したビットコインの採掘(ボルケーノ・マイニング)事業が第一歩を踏み出した。ナジブ・ブケレ大統領が報告した。wikipediaによれば、同国内には20以上の火山があるとされる。
First steps…
— Nayib Bukele 🇸🇻 (@nayibbukele) September 28, 2021
🌋#Bitcoin🇸🇻 pic.twitter.com/duhHvmEnym
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