火山熱利用のビットコイン採掘
エルサルバドルのブケレ大統領は29日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のマイニング(採掘)を火山熱を利用して行う取り組みに関する動画を公開した。
「First steps」と言葉を添えて、取り組みの「第一歩」を踏み出したことを報告。25秒の動画にはマイニング機器にケーブルを挿す作業などが撮影されている。6月に明らかにした計画を、着実に進めている様子を伝えた。
First steps…
— Nayib Bukele 🇸🇻 (@nayibbukele) September 28, 2021
🌋#Bitcoin🇸🇻 pic.twitter.com/duhHvmEnym
マイニングとは
ビットコインなど、コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用するブロックチェーンにおいて、取引を検証・承認する作業を指す。取引の検証には膨大な計算が必要になるため、電力の消費を問題視する声も上がっている。
▶️仮想通貨用語集
関連:初心者でもわかる、ビットコインのマイニング(採掘)とは 3種類の方法を解説
エルサルバドルではビットコインを法定通貨にする法案が可決した直後に、ブケレ大統領が、火山の地熱エネルギーを使ったビットコインマイニング施設の計画を立てるように、現地の電力会社に指示したことが明らかになった。
ブケレ大統領は当時、「私はLaGeo(エルサルバドルの国営地熱発電会社)の社長に、『我々の火山からビットコインをマイニングする施設に、非常に安価で100%クリーン、かつ100%再生可能で排出物ゼロのエネルギーを提供する計画を立てて欲しい』と指示したところだ」とツイートしている。
今回のツイートでは「First steps」と説明していたが、この指示の数時間後にはすでに、「我が国のエンジニアから、火山から約95メガワット相当の地熱エネルギーを提供する新たな井戸を掘ったとの報告があった」と発表していた。
関連:火山熱をビットコイン採掘に活用 エルサルバドル政府が事業支援へ
エルサルバドルの地熱発電
エルサルバドルは、20以上の火山があり、以前から地熱発電が盛んな国。また、潜在的な地熱エネルギーの量は644メガワットだが、そのうちまだ3分の1程度しか発電に利用されていないとされている。
それに加え、LaGeoは2023年と2026年にも新しい発電施設を建設することを目指していて、新たな施設が稼働した際には、エルサルバドルの地熱発電設備容量は87メガワット増加すると試算。
2020年時点では、施設開発に伴う課題として、潜在的な地熱エネルギーを利用するための短期、中期、長期のプロジェクトを計画することが指摘されていた。ビットコインのマイニングは、地熱を活用できるプロジェクトの1つになりそうだと見られている。