仮想通貨市場の値動き
12日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン価格は、前日比+2.5%の643万円(56,790ドル)に。
下落トレンド再開を否定した9月29日以降は、思惑先行で堅調に価格を伸ばしてきたビットコイン(BTC)であるが、レジスタンスの多い6万ドル前後では上値が重くなることが想定され、直近の上昇ペースからも反落や調整も警戒される局面か。
ビットコインの市場占有率を示すドミナンスは、40%→46.7%まで回復しており、一部銘柄では、アルト売りBTC買いのアルトドレイン現象も確認される。
思惑選考の背景には、米国初となる「ビットコインETF(上場投資信託)」の承認に関するポジティブな見通しがある。この点について、米大手暗号資産(仮想通貨)投資企業パンテラのDan Morehead CEOは、投資家宛レターで見解を披露。
過剰な期待が蔓延した場合、「噂で買って、事実で売る(セル・ザ・ファクト)」による相場の乱高下を招きかねないとして警鐘を鳴らした。
関連:米パンテラCEO、ビットコインETFの事実売りに警鐘鳴らす
オンチェーンデータ分析
データ分析企業のGlassnodeが、週次レポートを掲載。
先週の相場について、デリバティブ(金融派生商品)市場におけるレバレッジポジションの増加、長期保有者の供給数の目覚ましい成長、および最近のオンチェーン活動の上昇を分析した。
ビットコイン市場のセンチメントは、引き続きポジティブだとしている。
特に顕著なのが、10月第1週のネットワークアクティビティ増加で、2021年第4四半期(米国)に新たな需要が入り始める可能性が高まったとの見立てを示した。
BTC市場のアクティブエンティティ(週平均値)は、前週比+19%増加し、1日あたり約291,000水準に達した。
この値は、前回の強気相場開始時の2020年後半と同等だ。したがって、活発な市場参加者は、歴史的に大相場の初動におけるデジタル資産への関心の高まりと相関関係がある。
また、仮想通貨の取引規模も増加傾向にある。
9月中旬以降、トランザクションサイズの中央値は、「1.3BTC」を上回った。「1.6BTC」を超えるトランザクションサイズの中央値は、2020年3月に発生した世界同時株安(コロナ・ショック)時の暴落以降では例がない。
トランザクションサイズの増加は、価格の上昇と同義ではないものの、機関投資家規模の巨額の資本フローを示唆するものだ。
弱気市場の終息するタイミングでは、機関投資家のスマートマネーが流れ込み、蓄積しやすい。これらの期間は、チェーン上のアクティビティが控えめで、トランザクションサイズが徐々に肥大化する傾向にあるという。
デリバティブ(金融派生商品)市場の指標も着目される。 OI(未決済建玉)の上昇、先物市場でのコンタンゴ(順ざや)、永続的なスワップ資金調達率の上昇などに、強気の市場心理が現れているからだ。
一方、先物の建玉は、今年9月の安値以来、56億ドル(+45%)上昇した。
この建玉のサイズは、アルト市場過熱の反動で相場急落を招いた5月中旬、9月上旬のそれと類似しており注意したい。
ファンディングレート(資金調達率)のプラス乖離では、「今のところ過度な過熱感はない」としているが、過去の相場でも、アルト市場が過熱してハイレバレッジポジションが蓄積すると、強制ロスカットの連鎖で雪崩売りが発生しやすくなるため、定点観測が必要な指標の一つと言えるだろう。
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