「仮想通貨のもたらす機会と課題」がテーマ
インド政府の関係者は15日、地元の暗号資産(仮想通貨)業界関係者から意見を聴取する予定がわかった。
インドの下院議会が、このことについて通知を出しており、議題は「CryptoFinance(仮想通貨金融)に関する関連組織・業界専門家からの意見聴取:機会創出と課題」というものであるという。
インドの首都ニューデリーにある国会議事堂で、月曜日の午後3時(インド標準時)に開催され、国会の財務常任委員会が会議を主導する予定だ。この委員会は約30名で、元財務担当国務大臣でもあるJayant Sinha議員が委員長を務めている。
地元の仮想通貨取引所Unocoinの共同創業者Harish BV氏によると、業界団体「ブロックチェーン・仮想通貨評議会(BACC)」のメンバーが招待されているという。
BACCはインドインターネット・モバイル協会(IAMIA)が結成した組織だ。IAMIAは2020年、インド準備銀行(インド中銀)が同国の銀行に、仮想通貨関連企業にサービスを提供しないようにとの布告を行ったことを違憲とする裁判で勝訴している。
今年6月に、BACCは正式な理事会を設置。マネーロンダリング・テロ資金調達予防策、顧客身元確認(KYC)、その他の会社法や税法などについて、業界の自主規制を監督している。
「継続的な対話が必要」との意見も
Harish氏によると、インド政府が業界関係者を招いて仮想通貨について議論するのは、2017年以来のことだ。今回、政府は仮想通貨業界とその取り組みについて理解するために会合を招集したという。Harish氏は「政府のアプローチを歓迎する」とコメントした。
一方、インド中銀とIAMAIの訴訟で、IAMAIの代理人を務めた法律事務所のJaideep Reddy氏は、政府が業界関係者と協議することは「前向きな一歩」だが、それは「最初の一歩に過ぎない」と指摘していた。
今後も引き続き協議が行われるかどうか、業界は見守っていく必要があるとする形だ。また、もし継続されるとすれば、どのようなテーマが協議されるのか国民に詳細を知らせ、国民の意見も募集するような、透明性の高いプロセスにすべきだとも続けた。
仮想通貨を多方向から検討中か
最近、インドでは、政府が仮想通貨をコモディティとして規制し、完全には禁止しないという報道がなされている。
コモディティとは
世界の商品取引所などで取引される商品のこと。エネルギー類(原油・天然ガス等)、貴金属類(金、プラチナ等)、農産物類(トウモロコシ・大豆等)を指し、世界の商品取引所で、これら商品の先物等が取引されている。投資信託においても、商品指数に連動するETFなどが開発されている。
▶️仮想通貨用語集
例えばThe Economic Timesは、匿名の政府関係者に取材して、政府はすべての利害関係者の間でバランスを取るような、「中間的な道」を取るだろうと報じた。
また、財務省を含む政策立案者向けに、仮想通貨の長所と短所、他国で採用されている規制、インド人による投資状況、インド中銀の見解などに関するプレゼンテーションが行われているところだという。
この関係者は、まもなく仮想通貨取引への課税についてもプレゼンテーションが行われ、法的な検証が行われた後、内閣に資料が提出されるだろうと推測している。
10月末には、インド政府が仮想通貨市場を規制するための法的枠組みを策定しており、早ければ2022年前半にも発表される可能性があると報じられた。
なお、インド準備銀行のShaktikanta Das総裁は以前、金融安定性の面から仮想通貨についての懸念を抱いていると表明。「仮想通貨への投資は個人が慎重に判断するべき」とも述べていた。こうした見解は、現在も変わっていない模様だ。