CoinPostで今最も読まれています

カルダノ初のDeFi銀行サービス「MELD」とは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

MELDとは

MELDは、カルダノエコシステム初の銀行サービスを提供するプロトコルで、暗号資産(仮想通貨)を担保として法定通貨を借りたり、預金で金利収入を得るといったことが可能になる。

MELDは、トークンによる資金調達を実施し、今年10月に目標額を達成している。カルダノ初のレンディングプロトコルという点からも注目を集め、資金調達には約4万人が参加した。

プロトコルは、ICOやSTOといった資金調達手法に代わるISPO(後述)という形式を用い、7月1日から10月27日という期間の中で1,000万ドル(約11億円)の収益を確保することに成功している。

スマートコントラクトプラットフォームのカルダノを基盤としているMELDは、カルダノの特徴である低トランザクションコストや高いスループット(性能)などを受け継ぐ。

また、MELDの最大の特徴は、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)を担保として法定通貨を借りることができる点だ。暗号資産を法定通貨へ交換する際、キャピタルゲインによる納税義務が発生することは、暗号資産ユーザーが交換をためらう理由の一つとなっている。

MELDを利用することで、暗号資産を保有しながら、法定通貨の借り入れや銀行への送金、そして返済までを一気通貫で行うことができる。本記事では、その仕組みを具体的に見ていく。

サービスの背景

MELDはミッションとして、銀行サービスへのアクセスを持たないユーザーへのサービス提供を掲げている。

MELDがソリューションを提供する暗号資産及び金融の課題は大きく6点あり、暗号資産から現金へのアクセス、法定通貨の不足、信頼・透明性の欠如、資産の流動性不足、カストディアルの集権性、そして与信調査になる。

このうち、「暗号資産から現金へのアクセス」、「法定通貨の不足」、「資産の流動性不足」の3点については、主要サービスとなる暗号資産担保ローンなどを通してソリューションを提供する。また、ローン等において「与信調査」は行われない仕組みを整えている。

そのほか、「カストディアルの集権性」はユーザーが自分で秘密鍵を管理することで、「信頼・透明性の欠如」についてはブロックチェーン及びスマートコントラクトを利用することで確保しているという。

MELDの仕組み

MELDでは、法定通貨の貸し手(流動性提供者)によって法定通貨が貸し出され、借り手は暗号資産を担保として、法定通貨を借りる。これらのやり取りはスマートコントラクトにて行われる。

以下の画像がMELDのビジネスモデルを図解しており、法定通貨の流動性提供者と法定通貨の借り手をMELDとそのトークンがつなぐ仕組みになっている。

出典:MELD Whitepaper 1.5

貸し手にとってのメリットは、借り手からの支払いや手数料からの高い金利収入であり、借り手にとっては暗号資産を保有し続けながら法定通貨を確保できる点にある。

預け入れが可能になるのはADA、BTC、ETH、BNBの4種類となっており、MELDは他ブロックチェーンのネイティブトークンであるこれらの資産のラップドトークンサービスも提供する。

カスタマーは預け入れを行うことで、担保資産の価値の50%までを借りることが可能だ。その後、ローンを返済すると、担保の暗号資産も返還される流れだ。

また、預けられた暗号資産は、それぞれがMELD Vaultsと呼ばれる、MLEDトークンとのペアのプールに置かれ、外部のDEXなどに流動性を提供しその取引手数料を得る。

Vaultの変動損失(Impermanent Loss)については、MELDトークンのステーキングプールがその他の損失も含めた保険ソリューションとして機能するとしている。

そして、通常の暗号資産担保ローンに加え、ユニークな仕組みとして導入されているのが、Genius loanと呼ばれる仕組みだ。

このローンでは、カスタマーは暗号資産を担保にして、わずかに高い利率でローンを組む。通常と異なる点は、カスタマーは金利のみを払い、借りた額そのものを返済する必要がないことだ。

これは、担保資産から生まれた収入の一部が借りた額の返済に支払われることで実現されている。市場の状況に左右されるものの、チームの試算によると、3~6年で10万ドルを返済することができるという。

分散化を見据えた取り組み

MELDでは、将来的な分散化を見据え、MIPs(MELD Improvement Proposals)が導入されている。MIPによって、イーサリアムのEIPのように、コミュニティはプロトコルの将来に貢献することができる。

分散化は段階的な実施を予定しており、最初の段階では、チームがプロトコルのコントロールを持ちプロジェクトのローンチを進める。そして次の段階では、依然としてチームが管理するものの、バグの修正などは別として急を要さない意思決定については、コミュニティに委ねられるという。

最終的にはチームのコントロールを離れて、投票によって、参加者のコンセンサスでプロトコルの改善が行われる状況を目指す。

ガバナンスに参加するにはMELDのステーキングホルダーである必要がある。各々の投票力(Voting Power)については、MELDトークンのステーキング量と、ステーキング期間に比例して増加する仕組みになっている。

資金調達とロードマップ

先に述べた通り、MELDは業界では初めてISPOと呼ばれる方法で、資金調達を実施した。

ISPOは、イニシャル・ステーク・プール・オファリングの略称で、プールに任意の期間中、暗号資産(ADA)をステーキングすることでMELDトークンを引き換えに得ることができる。

今年の10月27日にステーキングの新規受け入れを停止した時点で、総額6億2,000万ADAが預けられ、累積で上限となる10億ドル(1,100億円)に達した。資金調達によるMELDの収益は1,000万ドル(11億円)に達したとしている。

また、ISPOと同時にプライベートセールも実施。資金調達ラウンドに参加した投資家のトークンにはべスティング(受給権)が設けられている。スケジュールは以下の通り。

出典:MELD Whitepaper 1.5

MELDはシンガポールで登記しているMELD LABSが開発を行い、ガバナンスはスイスのMELD財団が行う。

開発陣はベトナムに拠点を置いており、CEOのKen Olling氏とCTOのHai Nguyen氏らは、日本に在住した経歴を持つ。

今後のロードマップとして、プロトコル、トークン、(モバイル)アプリを2022年1月31日に同時ローンチ予定。ユーティリティのNFTシリーズも発売されると言います。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/25 月曜日
21:35
5000BTC以上ビットコイン買い増し、米マイクロストラテジー
米マイクロストラテジーは新たに1.47億ドルのコストで5,445 BTCの仮想通貨ビットコインを取得した。
20:14
三菱UFJ信託銀行、バイナンスジャパンと協業で新たなステーブルコイン検討へ
三菱UFJ信託銀行は、バイナンスジャパンとステーブルコイン発行・管理基盤「Progmat」の協業により、円建てやドル建てを対象とした新たなステーブルコインの共同検討を開始することがわかった。
14:16
テラクラシックコミュニティ、 ステーブルコインUSTCの発行停止を決定
仮想通貨テラ・クラシック(LUNC)のコミュニティは、ステーブルコインUSTCの全ての新規発行及び再発行の停止を決定した。コミュニティ投票では、59%が賛成票を投じ、発行停止が可決された。
13:36
コインベース、世界最多のビットコイン準備金「推定94.7万BTC」保有か|Arkham分析
ブロックチェーン分析企業Arkhamは、大手仮想通貨取引所コインベースがサトシ・ナカモトの推定保有量に匹敵する94.7万BTC(3.7兆円相当)のビットコイン準備金を保有しているという分析を発表した。
11:52
軟調推移のビットコイン、イーサリアムのガス代平均は過去最低水準に
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)価格が続落する中、イーサリアムのガス代平均は過去最低水準となった。ETHの通貨供給量はデフレからインフレに転じている。
10:50
韓国大手仮想通貨取引所Upbit、偽アプトス(APT)の入金処理めぐり大騒動に
韓国の大手取引所Upbitで、仮想通貨アプトス(APT)のフェイクトークンが正規トークンとして入金認識され、不特定多数のアカウントに配布される事件が発生した。
09/24 日曜日
14:00
「ビットコインは最も寿命が長いブロックチェーン」VCが語る
第2回のGM Radio: Beyond The Priceは21日に公開。ゲストは仮想通貨ビットコインに特化したVCのファウンディングパートナーNico Lechuga氏である。
11:30
BTC上値トライに失敗、目先は下げ渋る展開見込む|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリストが、一時400万円台に乗せるも上値トライに失敗し、ほぼ横ばいで推移している今週のビットコインチャートを図解。今後の展望を読み解く。ビットコイン・オンチェーンデータも掲載。
11:00
週刊まとめ|ETH初期投資家の相次ぐ資産移動に注目集まる
今週は、イーサリアム初期投資家の相次ぐ資産移動について書いた記事が最も多く読まれた。このほか、日本政府が、仮想通貨企業が資金調達を行う際の規制を緩和することなど、一週間分の情報をお届けする。
09/23 土曜日
18:00
米コインベースが過去に欧州FTX買収を検討
米仮想通貨取引所コインベースは破綻したFTXの欧州法人を買収することを検討していた。デリバティブ商品に力を入れていることが背景とみられる。
17:10
グーグルクラウド、BigQueryにアバランチなど11のブロックチェーンを追加
Google Cloudは、ビッグクエリ公開データセットにアバランチ(AVAX)など11の仮想通貨ブロックチェーンを追加したと発表した。
07:40
イーサリアム「Dencun」、2024年に実施か
仮想通貨イーサリアムの開発者は21日に会議を開催。次期アップグレードDencunについて、実施が来年初めになる可能性が示された。テストの開始が遅れる可能性があるという。
09/22 金曜日
16:29
大手VCパラダイム「仮想通貨は新たな惑星のようなもの」 投機需要も欠かせないと見る理由
仮想通貨関連技術に特化した米大手ベンチャーキャピタルParadigmは、「火星のカジノ」と題した論説で、仮想通貨を新しい惑星に例え、投機的な投資も「移住の起動プロセスの一部」として欠かせないものだと主張した。
16:15
セガ三国志大戦IP活用のBCG「Battle of Three Kingdoms」、動画初公開
  三国志大戦のIP活用BCGのチュートリアル動画公開 セガの人気ゲーム『三国志大戦』のIPを活用し、double jump.tokyo株式会社が開発を手がける新作ブロックチェ…
14:00
米FRB「資産のトークン化」に警鐘
米FRBは、トークン化が金融安定性に及ぼす影響について詳細に調査した論文を公開した。トークン化がデジタル資産のエコシステムと伝統的な金融システムとの相互接続を促進し、伝統的な金融システムに新たなリスクをもたらす可能性があると指摘している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧