はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

マルチチェーン時代の流動性課題を解決するSymbiosisとは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Symbiosisとは

Symbiosis Financeはスケーラブルなクロスチェーン流動性エンジンの開発を行っており、現在はテストネット段階にある。複数チェーンにまたがったステーブルコインのAMMプールを利用したソリューションにより、流動性の移転を容易にすることを目標としている。

現在、暗号資産エコシステムとしてもっとも繁栄しているイーサリアムは、需要の拡大と共に処理能力やガス代の高騰に悩まされてきた。そのため、SolanaやAvalanche、Fantom、Polygonに代表される、L2系や独自の生態系を持つプロジェクトはその代替ソリューションとして競争を激化させている。

マルチチェーンの共存は暗号資産の未来において、ほぼ確実になったと言えるものの、ユーザーは未だに、ブロックチェーン間の資産の移動におけるツールの不足に悩まされており、1つのエコシステム内に閉じこもっている状況にある。

Symbiosisのソリューションの基盤は、ユーザーが簡単にチェーン間で資産を移転することを可能にする、クロスチェーン流動性エンジンになる。

クロスチェーンソリューションとしては、これまでにアトミックスワップやブリッジなどが考案されており、中でもブリッジは今日のエコシステム内で多く利用されている。

ブリッジが利用されるのは、アトミックスワップより単純であり、KYCがない仕組みであることが理由の一部だという。一方で、ブリッジには欠点も存在しており、流動性の断片化、単一障害点、および不十分なUXなどが長期的に障害となる可能性を持っている。

Symbiosisは最適なクロスチェーンエンジン構築における三つの主要な課題を挙げ、それに対して解決策を提示した。三つの課題とはユーザーエクスペリエンス、流動性のスケーリング、ペギングメカニズムである。

ユーザーエクスペリエンス、流動性のスケーリング、そしてペギングメカニズム

一点目の課題である「ユーザーエクスペリエンス(UX)」とは、一般に製品やサービスを利用することで得られる体験を指す。UXはプロダクトにとって非常な要素で、ユーザーがサービスに関する技術等の知識がないままでも利用できるような体験は一つの理想形となる。

アップルの製品が説明書を必要としないアプローチで有名なように、暗号資産においても、ユーザーがどのチェーンを使っているかも気にすることなくトークンを交換できるようなマルチチェーンエコシステムが繁栄すると考えられている。

二点目の「流動性のスケーリング」は、クロスチェーンソリューションにおいて最大の課題と見なされてきた。クロスチェーンの主流なソリューションであるブリッジでは、資産を移動するために、移動先で独自のラップドトークンを発行する形が取られる。

しかし、これは単に管理を複雑にするだけでなく、流動性の断片化を起こし、ユーザーの手元には十分な流動性を持たないラップドトークンが残されるリスクをはらむ。

アトミックスワップについても、ユーザーは交換する資産ペアに限定されるのみならず、ぴったりの量を交換してくれる相手を見つける必要があり、スケーラブルな手段とはなりえない。

三点目である「ペギングメカニズム」もまた、流動性のスケーリングと同様に重要な要素になる。ペギングメカニズムはスケールさせることが難しいことから、多くの場合、信頼を必要とする手順を含んでいる。これは高速さを得られる選択肢ではあるものの、分散化に向かう場合は、中継者が流動性を盗むことを防ぐ方法を考える必要が生じてくる。

全体の流動性を計算し、ステーキングによってその2倍の価値を確保するようなアプローチは、ステーキング量を最大化する一方で流動性を最小化する必要があり、資本効率の点で課題がある。ブリッジやTHORChainのようなソリューションにおいても流動性の断片化や不必要な非効率性を生み出すことが問題になってくるという。

ソリューション

Symbiosis Financeでは、クロスチェーンスワップのための一連のスマートコントラクトである、スケーラブルなクロスチェーン流動性エンジンを開発し、上記のような課題の解決を図る。

革新的なコンセプトとしては、資本効率の高い流動性プールを利用している点だという。それぞれが別のチェーンネイティブとなっている二つのステーブルコインによって構成されたこの二つのAMMプールがある。例えばBSCとETHの資本効率の高いプールを作るためには、それぞれのチェーンで流動性の高いステーブルコインのペアを持つ必要がある。(この場合はBUSD/USDC)

目的はあくまで、チェーン間で最も簡単な流動性の移動を実現することにある。上記の仕組みでは、それらのプールがこれまで最も流動性を持ったマーケットであることが、即ち最も効率の良い方法になる。

それぞれのトークンを別のトークンとペアリングする必要や、THORChainのようにすべてのペアリングで中間トークンを使用したりする必要がないため、真にスケーラブルな流動性エンジンを構築できるという。

では、ステーブルコインやネイティブアセットのプールによって効率のよい流動性の移動ができたとして、これをどんなトークンでも利用できるようにするためにはどうすればよいのだろうか。 そこでSymbiosisではクロスチェーンルーティングと呼ばれる仕組みを用意した。

スワップが実行されるとトランザクションはアグリゲーターを介してルーティングされ、続いてステーブルコインまたはネイティブアセットプールを介してルーティングされる。この場合、どちらのルートかは効率性で判断される。これらは1inchのようなアグリゲーターに近い仕組みになっている。

出典:Symbiosis

例えば、Symbiosisを使ってUNI(イーサリアム)からCAKE(バイナンス)へのスワップをしたいとする。この場合、中間スワップは例えばUNI → USDC; sUSDC → BUSD; BUSD → CAKEのようになる。

まず、プロトコルはユーザーに代わりUNIとUSDCのスワップを最適な価格のAMMで行う(このAMMはSymbiosisに属さない)。USDCがアドレスに預けれられるとクロスチェーンスワップのリクエストが発せられる。

続いてSymbiosisのリレイヤーネットワークは合意を経てトランザクションを宛先のブロックチェーンに送信する。次に合成コントラクトはUSDCに対して1:1のsUSDCを発行、BUSDへのスワップを実行する。最後にプロトコルはUSD → CAKEを最適価格で実行する(このAMMはSymbiosisに属さない)。

一連のトランザクションに対し、ユーザーは一つの署名のみで済む。また、一見して複雑なこのプロセスによって、最小の価格ボラティリティや明確な裁定機会のインセンティブが生まれ、ユーザーの利益につながるという。

ローンチに向けた準備を進める

これまで見てきたように、Symbiosisは、異なるブロックチェーンネットワーク間での流動性の断片化と、DeFiおよびWeb3におけるユーザーエクスペリエンスの低下という2つの問題を解決することを目的としている。

現在、テストネットの構築とローンチに向けた準備が進められており、ユーザーはテストネットを体験することが可能だ。

また、トークンも既に流通しており大手取引所OKExは16日、新たにSymbiosis(SIS)を上場し、現物取引が可能となったことを発表した。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/09 火曜日
17:40
リミックスポイント、エネルギー事業の中期経営計画を発表 3年で営業利益3.7倍目指す
リミックスポイントが2027-2029年度の中期経営計画を発表。エネルギー・蓄電事業で売上高692億円、営業利益91億円を目指す。日本蓄電池と提携し系統用蓄電所7カ所を共同運営。同社は242億円超の仮想通貨も保有し、多角的な事業展開を推進。
15:52
補正予算の国会質疑で仮想通貨税制が議題に 国民民主党が質問、高市首相は「与党税調で検討中」と答弁
補正予算の国会質疑で暗号資産(仮想通貨)税制が議題に。国民民主党は雑所得として最高税率55%が適用される現行制度を見直し、分離課税化を要求。高市首相は税制改正大綱に基づき与党税調で検討を進めていると答弁した。
13:35
米XRP現物ETF、全期間で純流入を記録 約1459億円に到達
米XRP現物ETFが上場以来全期間で純流入を記録し、約1,459億円に到達。仮想通貨ETF史上2番目の速さで8億ドルを突破し、機関投資家の継続的な買いが続いている
13:20
カナダ税務当局、仮想通貨利用者の4割が未申告と推定
カナダ歳入庁が過去3年間で仮想通貨関連監査により1億カナダドル以上を徴収したが、2020年以降刑事告発は行われていない。同庁は仮想通貨プラットフォーム利用者の40%が未申告または高リスクだと推定している。
12:50
『ガス先物市場』、ヴィタリックがイーサリアム手数料を安定させるアイデアを披露
仮想通貨イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏がガス代先物市場を提案した。将来の手数料をヘッジ可能にする構想であり、コミュニティ内で議論が活発化している。
12:00
XRPの買い方|おすすめ取引所と購入手順を図解【初心者向け】
暗号資産(仮想通貨)XRPの特徴から買い方、将来性、リップル社の最新動向や取引所の選び方も紹介します。ドナルド・トランプ次期米大統領の思惑やSECゲンスラー委員長交代による規制環境の変化、価格への影響を分析。
11:45
米大手銀行CEO、上院議員と仮想通貨市場構造法案を協議予定 ステーブルコインの利息付与に反対表明へ=報道
バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴのCEOが9日、上院議員と会談し仮想通貨市場法案を協議する。銀行側はステーブルコインへの利息付与に反対し、仮想通貨分野での競争能力確保を求める姿勢だ。
11:23
テザーのUSDT、アブダビで「法定通貨参照トークン」認定範囲が拡大 9チェーン追加
テザーのUSDT、アブダビで法定通貨参照トークンの認定範囲を拡大。新たに9つのブロックチェーンで規制業務が可能に。USDC、USD1、RLUSDも承認済み。UAEがステーブルコイン規制拠点として台頭。
10:22
マイケル・セイラー氏、国家主導のビットコイン銀行システムを提案
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長がアブダビで、ビットコイン担保型の高利回りデジタル銀行システムを各国政府に提案。20兆〜50兆ドルの資本流入を見込むが、価格変動性への懸念も。中東の全政府系ファンドと会談を実施。
10:00
ハイパーリキッド・ストラテジーズ、最大約47億円規模の自社株買い実施へ
仮想通貨ハイパーリキッドの財務企業ハイパーリキッド・ストラテジーズは、最大約47億円規模の自社株買いを実施すると発表。延期や中止の可能性もあるが最大で12カ月間実施する計画である。
09:40
アルゼンチン中銀、民間銀行による仮想通貨取引の解禁を検討か=報道
ビットコイン支持のミレイ政権下で、アルゼンチン中央銀行が民間銀行による仮想通貨取引サービスの許可を検討中だと伝えられる。実現すれば普及が促進される可能性もある。
09:35
UAE初、イスラム系銀行ルヤがビットコイン投資サービスを開始
UAE拠点のイスラム銀行ルヤが8日、仮想通貨インフラプロバイダーのフューズと提携し、モバイルアプリを通じてビットコイン投資サービスを開始した。イスラム系銀行として初めて顧客にBTCの売買を可能にする。
08:15
PLUMEとJUPITERがコインベースに新規上場、機関投資家向けアクセスも提供
米コインベースが12月9日にプルームとジュピターの現物取引を開始する。RWAトークン化のプルームとソラナ系DEXアグリゲーターのジュピターが新規上場し、機関投資家向けアクセスも利用可能になる。
07:55
SECがOndoへの捜査を訴追なしで終了、トークン化証券のハードルをクリア
トークン化プラットフォームのオンド・ファイナンスが、バイデン政権下で開始されたSECの捜査が訴追なしで終了したと発表した。トークン化証券が米国資本市場の中核となる時期が到来したと同社は期待。
07:15
仮想通貨投資商品、先週は1110億円超の資金が純流入
仮想通貨投資企業CoinSharesは、デジタル資産投資商品全体の先週の資金フローは約1,116億円の純流入だったと報告。ビットコイン、XRP、チェーンリンクの投資商品の需要が高かった。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧